セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(腫瘍)3

タイトル 消P-63:

当院における非B非C型肝癌の現状

演者 石橋 啓如(国保旭中央病院・消化器内科)
共同演者 紫村 治久(国保旭中央病院・消化器内科), 糸林 詠(国保旭中央病院・消化器内科)
抄録 【目的】非B非C型(nBnC)肝癌患者の長期生存に寄与する因子の検討を行った。【方法】1)1990年から2011年迄に当院で診断加療した肝癌1092例(男905、女187、66±9.2歳、HCV853、HBV73、HBVHCV17、nBnC149)を対象にJISscore毎に生存分析を行い、nBnCとウイルス性で平均生存日数と平均年齢の比較をした。2)nBnC肝癌149例(男120、女29、69±10歳、アルコール52、NASH 8、NAFLD66、AIH5、HBc抗体陽性4、正常10、住血吸虫2)を対象に、診断時のChild-Pugh分類(C-P)、高齢、肝癌Stage、血小板減少(12万未満)、糖尿病、肥満(BMI25以上)が生存期間に与える影響を検討した。解析にはKaplan-Meier法と比例ハザード分析を使用。【成績】1)JISscore(0-1/2/3/4-5)別の平均生存日数はnBnC(3251/2273/1302/193)、ウイルス性(2644/1855/1372/411)であり、JIS0-1ではnBnCが有意に長く(P=0.008)、JIS4-5ではウイルス性が有意に長かった(P=0.0003)。JISscore別の平均年齢(歳)はnBnC(71/69/67/67)、ウイルス性(67/66/65/64)であり、いずれもnBnCで高い傾向を認めた。2)単変量解析ではC-P(A/B/C)、年齢(80歳以上/未満)、肝癌Stage(1-2/3/4)の3年生存率(%)は各々75/66/25(P=0.76、P=0.0015)、66/50(P=0.078)、90/57/28(P<0.0001、P=0.0005)と生存率に有意差を認めた。一方、血小板減少、糖尿病、肥満を有する患者は各々74人(49%)、42人(28%)、53人(35%)で認められたが、生存率に有意差は示されなかった(P=0.75、P=0.54、P=0.98)。有意差を示した共変量での多変量解析では肝癌Stage(ハザード比3.50、P=0.00001)とC-P (ハザード比2.19、P=0.00001)で有意差を認めた。【考察】nBnC肝癌患者の多くは飲酒、糖尿病、肥満を背景とした脂肪性肝障害に伴う肝硬変患者であり、ウイルス性と比較して高齢者が多い傾向を示した。80歳未満で肝機能良好な肝癌stage0-1症例の予後は比較的良好であり、画像スクリーニングが予後を延長する可能性が示唆された。【結論】nBnC肝癌はウイルス性よりも早期肝癌Stageでの予後延長が期待できる可能性が示唆された。
索引用語 非B非C型肝癌, 生存分析