セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(腫瘍)3

タイトル 消P-65:

原因不明肝細胞癌とアルコール性肝細胞癌の臨床的特徴

演者 佐々木 恭(川崎医大・肝胆膵内科)
共同演者 富山 恭行(川崎医大・肝胆膵内科), 土肥 展子(川崎医大・肝胆膵内科), 仁科 惣治(川崎医大・肝胆膵内科), 吉岡 奈穂子(川崎医大・肝胆膵内科), 原 裕一(川崎医大・肝胆膵内科), 日野 啓輔(川崎医大・肝胆膵内科)
抄録 【目的】非B非C型肝細胞癌(NBNC-HCC)の大半を占めるNASH-HCCを含む原因不明HCC(Cryptogenic-HCC)とアルコール性肝疾患に合併するHCC(Alcoholic-HCC)とを比較検討しその臨床的特徴について検討した.
【方法】1999年から2010年迄に初発のNBNC-HCCと診断した104例を対象として背景肝疾患別に分類し,Cryptogenic-HCCとAlcoholic-HCCについて比較検討した.
【成績】NBNC-HCCの内訳はCryptogenic53例(51%)、Alcoholic41例(39%),PBC7例(7%),AIH2例(2%),ヘモクロマトーシス1例(1%)であった.Cryptogenic-HCCでは高齢,血小板高値,肝機能良好,大腫瘍径,糖尿病の合併が多く,Alcoholic-HCCでは男性が圧倒的多数(98%)であり,いずれも有意差を認めた.治療法別やHBc抗体の有無別にみた累積生存率および無増悪期間には両群間で差を認めなかった.予後不良因子は,Cryptogenic-HCCではアルブミン値(HR;0.204,P=0.002)と血管浸潤(HR;3.847,P=0.038)であり, Alcoholic-HCCでは%PT値(HR;0.963,P=0.011)とAST値(HR;1.017,P=0.009)であった.肝切除症例を行ったCryptogenic-HCC13例のうち7例(54%)はF0~F1の肝線維化非進展例であり,肝脂肪化も乏しく,AFPの陽性率が低くPIVKAの陽性率が高い傾向にあり(14% vs.71%),他臓器癌の合併(43%)を高頻度に認めた.残りの6例のうちNASHの確定診断が得られた症例は1例(8%)のみで,5例(38%)はburned out NASHが否定できない肝線維化の進展例であった.一方Alcoholic-HCC10例では肝線維化非進展例からの発癌は1例(10%)のみで,殆どが肝線維化の進展を認めた。
【結論】肝線維化はNBNC-HCCにおいても肝発癌の重要な危険因子であるが、Cryptogenic-HCCの中には正常肝や線維化非進展例にも発癌がみられ,他臓器癌の合併やPIVKAが診断の手がかりになると考えられた.
索引用語 肝細胞癌, 非B非C