セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(腫瘍)4

タイトル 消P-71:

進行肝細胞癌に対する治療戦略~放射線/IA call TAI併用療法および5FU-IFN動注療法

演者 谷口 博順(日赤医療センター・消化器内科)
共同演者 吉田 英雄(日赤医療センター・消化器内科), 島 佑介(日赤医療センター・消化器内科), 中田 史子(日赤医療センター・消化器内科), 白田 龍之介(日赤医療センター・消化器内科), 濱田 毅(日赤医療センター・消化器内科), 伊藤 由紀子(日赤医療センター・消化器内科), 水野 英雄(日赤医療センター・消化器内科), 光野 雄三(日赤医療センター・消化器内科), 中田 良(日赤医療センター・消化器内科)
抄録 【目的】
当院ではVp3/4を伴うHCC患者のうち根治的な手術が不可能と判断された例には5FU-IFN動注療法(FAIT)を積極的に勧めているが、FAIT施行困難な場合や不応の場合に放射線/IA Call動注併用療法を施行、比較的良好な成績が得られている。放射線/IA Call動注併用療法群と5FU-IFN動注群間で治療成績・予後につき比較検討した。

【方法】
2006年1月~2011年9月に当科に入院した手術適応がないと判断されたVp3/Vp4を伴うHCC患者25名。FAITは費用/奏功率等説明の上同意を得た15名を対象とし、動注カテ留置後1Kur4週間あたりPeg-IFN90ugを週1回4週間皮下注射、5FUは500mg/dayを5投2休で2週間動注。FAITを希望しない、または施行困難な患者10名にはIA call 1mg/kgをLipiodolに10mg/mlの濃度で懸濁、PVTTの存在する領域に動注、1週後より放射線療法を2Gy/dayで開始、総線量60Gy/6週間をPVTT領域に照射。半年後に効果判定、生存率/腫瘍マーカー/予後因子等につき解析。

【成績】
FAIT群では制御率(SD+PR+CR)71.4%、奏功率(PR+CR)42. 8%、MST=249日と各施設の既報と同等であった。一方IA call動注/放射線併用群では制御率85.7%、奏功率62.5%、MST=557日と何れもFAIT群と比較して良好であった。長期生存例ではPVTTのみならず肝内病変も良好に制御され、腫瘍マーカーが早期に低下、肝内病変が片葉に限局している等の特徴があった。IA call群のうち1例ではPVTT退縮(Vp4→Vp3)により右葉切除が可能となり現在も治療開始後1730日間生存中である。重篤な合併症としてはSorafenibを後治療として追加した例で放射線性胃炎増悪・消化管出血が経験されており、注意が必要である。

【結論】
放射線/IA call TAI併用によりFAITと比較しても遜色無い治療効果/生命予後を得られた。FAIT施行困難例や、長期間の入院を希望しないVp3/4例に対して放射線/IA callTAI併用も有力な選択枝として検討すべきと考えられた。
索引用語 肝細胞癌, 動注化学療法