セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(腫瘍)4

タイトル 消P-72:

肝細胞癌に対するソラフェニブ治療時における血中濃度測定の有用性

演者 塩谷 淳(滋賀医大・消化器内科)
共同演者 西村 貴士(滋賀医大・消化器内科), 大崎 理英(滋賀医大・消化器内科), 稲富 理(滋賀医大・消化器内科), 馬場 重樹(滋賀医大・消化器内科), 佐々木 雅也(滋賀医大・栄養治療部), 安藤 朗(滋賀医大大学院・感染応答・免疫調節部門(消化器免疫)), 藤山 佳秀(滋賀医大・消化器内科)
抄録 【目的】切除不能肝細胞癌に対し、ソラフェニブは800mgが開始量として設定されている。しかし、ソラフェニブが肝硬変の進行した症例や併用薬の必要な症例において、初回800mg投与が妥当かどうか議論の余地があると思われる。今回我々は、ソラフェニブ初回投与400mgによる治療を行った肝細胞癌の患者5例において血中濃度を測定し、初回400mg投与の妥当性を検討した。【方法】肝細胞癌症例5症例において400mgよりソラフェニブを開始、内服開始3-5日後における血中トラフ値を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法にて測定した。その後は外来受診時の採血時に血中濃度を測定、血中濃度の推移と副作用の発現や治療効果について検討を行った。【成績】4症例においてトラフ値は2-4μg/mlと論文報告されているレベルと同様であった。高度の門脈浸潤をを有する1症例では6μg/mlとやや高値を示した。Child分類Aの症例とBの症例において、明らかな血中濃度の差異は認められなかった。また、1症例はワーファリン、1症例はプレドニン、1症例は腎不全による透析症例であったが血中濃度は安定していた。1例において投与5日目に食欲不振となり、患者の希望により再投与が不能であったが、その他の4例では少なくとも30日以上の投与が可能であった。【考察】ソラフェニブの有効血中濃度や中毒域、代謝経路については未だコンセンサスがなく、血中濃度による奏功率や副作用については、症例を増やして長期の検討が必要である。しかし、治療薬物モニタリングを行うことにより、副作用を早期に予測したり、増量を検討することが可能となり、安全で適切なソラフェニブ投与を行うことができる可能性がある。
索引用語 ソラフェニブ, 血中濃度