セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(腫瘍)4

タイトル 消P-74:

当科での進行肝細胞癌に対するsorafenibを中心とした集学的治療

演者 石崎 守彦(関西医大・外科)
共同演者
抄録 【背景・目的】肝細胞癌の術後再発率は依然と高く、予後を改善するにはSorafenibを含めた集学的治療を行う必要がある。今回当科での進行肝細胞癌に対するSorafenibの治療成績につき検討した。【方法】Sorafenib投与例全67例のうち、Sorafenib単剤治療例55例の検討、およびVp3以上の切除不能進行肝細胞癌に対するSorafenib+CDDP分割肝動注療法(Phase-I、UMIN000004107)12例の検討を行った。またSorafenibに対する人参養栄湯の併用効果についても検討した。【結果】Sorafenib単剤治療例55例の平均年齢は69.6歳、男性44例、女性11例、平均投与期間は338.2日で1年以上投与例は14例であった。有害事象はGrade3が9例、Grade4が1例であった。治療効果は奏功率5%、病態制御率67%(CR3例、PR0例、SD34例、PD18例)、予後は全生存期間中央値25.4ヵ月、無増悪生存期間中央値4.2ヵ月であった。また、有害事象軽減目的に漢方人参養栄湯の併用を試みた結果、対照群と比較し食欲と便通の改善が見られ、投与後4週目にAST・ALT値上昇の有意な改善、投与後12週目に血小板数低下の有意な改善が見られた。SorafenibによりPDとなった症例のうち、腹膜播種に対し2回の播種切除を行い長期生存が得られた1例、肺転移に対するsorafenib併用CDDP全身投与が有効であった3例(うち1例はCR)を経験した。55例の予後は中央値PFS:4.2カ月, OS:25.4カ月であった。Sorafenib+CDDP分割肝動注療法を行った12例の治療効果は奏功率17%、病態制御率75%(CR0例、PR2例、SD7例、PD3例)、1例はVp3が消失しTACE可能となり肝内病変のコントロールができ、PRの1例はVp4から3へ改善し、拡大肝右葉切除および門脈腫瘍塞栓摘出術を行い根治手術を施行し得た。【考察】Sorafenibの長期継続投与により切除不能肝細胞癌の予後改善が期待でき、人参養栄湯などを用いた有害事象対策も有用と考えられた。またVp3以上症例に対する動注併用療法やPD後の2次治療などの集学的治療により長期予後が得られる可能性が示唆された。
索引用語 進行肝細胞癌, 集学的治療