セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(腫瘍)4

タイトル 消P-75:

肝細胞癌に対するソラフェニブ療法とリザーバー動注療法(New FP療法)の治療効果に関する比較検討

演者 中下 俊哉(佐賀大・内科)
共同演者 岡田 倫明(佐賀大・内科), 磯田 広史(佐賀大・内科), 高橋 宏和(佐賀大・内科), 岩根 紳治(佐賀大・内科), 大塚 大河(佐賀県立病院好生館・内科), 江口 有一郎(佐賀大・内科), 川添 聖治(佐賀県立病院好生館・内科), 尾崎 岩太(佐賀大・内科), 水田 敏彦(佐賀大・内科)
抄録 【目的】ソラフェニブは、進行肝細胞癌の化学療法において初めて予後改善効果が証明された分子標的治療薬である。一方、わが国では治療選択のひとつとしてリザーバー動注療法が広く行われてきたが、比較試験が実施されていないため国際的な評価は得られていない。今回我々はリザーバー動注療法とソラフェニブ療法の治療効果について比較検討を行なった。【方法】対象は2006年1月から2012年2月までにソラフェニブ療法(S群)またはリザーバー動注(New FP)療法(R群)を行なった131例(S群69例(男/女57/12)、R群62例(49/13))。2群間における抗腫瘍効果(ORR:objective response rate, DCR:disease control rate)、無増悪期間(TTP)および全生存期間(OS)について比較検討を行なった。【結果】背景因子では、年齢はS群76.0±8.5、R群69.0±8.3歳とS群が有意に高齢であった。肝機能はPT(%)がS群84.3±13.8、R群79.3±12.4(p<0.01)とR群で不良だったが、Child-Pugh scoreには差がなかった。Tumor stage (II/III/IVA/IVB)はS群9/17/16/27、R群2/25/26/9でS群にIVB、R群にIVAの症例を多く認めた。AFP、PIVKAIIに有意差はなかった。ORRはS群10.1%、R群32.3%、DCRは43.5%、54.8%といずれもR群で高い傾向であった。TTPはS群56.0±111.5、R群105.5±135.1日、OSは207.0±193.0、233.0±379.6日といずれもR群で長い傾向が見られたが有意差はなかった。Stage IVA (S群16例、R群26例)のみ、またはChild-Pugh A (S群55例、R群45例)のみでの解析、いずれにおいても両群のTTP、OSには有意差を認めなかった。【結論】進行肝細胞癌に対するリザーバー動注療法とソラフェニブ療法との治療効果に明らかな有意差は認めなかった。しかし本研究は背景が異なる症例を対象としたretrospectiveな検討であり、今後多数例での前向き比較試験により両治療の有用性について検討する必要がある。
索引用語 リザーバー動注, ソラフェニブ