セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(門脈圧亢進症)

タイトル 消P-80:

胃腎シャントに対するバルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術(BRTO)の現状

演者 松岡 俊一(日本大・消化器肝臓内科)
共同演者 馬嶋 恒博(日本大・消化器肝臓内科), 森山 光彦(日本大・消化器肝臓内科)
抄録 【目的】バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術(BRTO)ではシャント血管およびそれに付随する側副血行路はバリエーションに富むため全く同じ治療は存在しない。今回当施設におけるBRTO施行例においてデバイスを中心に、治療内容と工夫症例について報告する。【対象と方法】2008年5月から2012年3月までのBRTO症例で胃腎シャントにのみ施行した36例について検討した。年齢中央値65.7(44-81)歳、男:女=22:14、Child-Pugh A:B:C=24:12:0で成因はHBV:HCV:NBNC=4:27:5。BRTOに使用したデバイス(シース、バルーン付カテーテル、金属コイル)とEOI総量を調べた。成功率は、日本門脈圧亢進症学会編:門脈圧亢進症取扱い規約「改訂第二版」2004の内視鏡所見記載基準に従いF1以上の改善を示したもの、ないしは消失したものを成功例と判定して算出した。【成績】成功率は86.1%(31/36)であった。総EOI注入量中央値は14.8(4.5-40)ml、シースは8F:10F=34:2で、バルーン径(mm)は13:20:30=22:12:2であった。金属コイルは使用:不使用=21:15で使用最高数は12個。工夫症例1:49歳男性。HCV-LC(Child-Pugh B)、F3胃静脈瘤。3D-CTで排血路がかなり太かった為、20mmのバルーンカテでBRTO試みたが閉塞不完全で断念。翌月30mmバルーンカテで再施行し成功した(MOYAN ST-5-80LB30mmバルーンカテーテル‐東海メディカル社、メディキットカテーテルイントロデューサーCI10L50TPK)。EOI総量40ml。6ヶ月後の内視鏡でほぼ静脈瘤の消失を確認した。工夫症例2:63歳女性。HCV-LC(Child-Pugh A)、F3胃静脈瘤に対しBRTV施行し下横隔膜静脈の他奇静脈系短絡を複数認めた。胃静脈排血路からそれらが流出する部位より奥(胃静脈瘤側)にバルーンカテを挿入することを試み、金属コイルを使用せずにEOIを18mlにて塞栓し得た。【結語】工夫症例2のように金属コイルを使用せずに済めばコストベネフィットの点で有効である。何らかの工夫はBRTOには必要で今後更に症例を増やし検討していく所存である。
索引用語 胃腎シャント, BRTO