セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(門脈圧亢進症)

タイトル 消P-81:

B-RTOによる傍臍静脈シャント閉塞の有用性

演者 中澤 学(埼玉医大・消化器内科・肝臓内科)
共同演者 今井 幸紀(埼玉医大・消化器内科・肝臓内科), 安藤 さつき(埼玉医大・消化器内科・肝臓内科), 水野 芳枝(埼玉医大・消化器内科・肝臓内科), 吉野 廉子(埼玉医大・消化器内科・肝臓内科), 菅原 通子(埼玉医大・消化器内科・肝臓内科), 濱岡 和宏(埼玉医大・消化器内科・肝臓内科), 本谷 大介(埼玉医大・消化器内科・肝臓内科), 稲生 実枝(埼玉医大・消化器内科・肝臓内科), 中山 伸朗(埼玉医大・消化器内科・肝臓内科), 岡 政志(埼玉医大・消化器内科・肝臓内科), 持田 智(埼玉医大・消化器内科・肝臓内科)
抄録 【目的】B-RTOによる胃腎シャント閉塞は胃静脈瘤の治療に有用である。門脈圧亢進症では胃腎シャント以外に様々な門脈大循環シャントが形成されこれによる肝血流量減少が肝予備能低下に寄与している。従って,これらシャントの閉塞は,肝機能改善に繋がると考えられる。そこで,傍臍静脈シャントの発達した症例を対象にB-RTOを施行し,肝性脳症及び肝予備能に対する影響を評価することで,胃静脈瘤の治療法以外としての有用性を検討した。【方法】2010年3月以降に傍臍静脈シャントに対しB-RTOを施行した5例が対象。男3例,女2例で年齢は中央値が61歳(56~64),基礎疾患はアルコール性3例,C型2例で1例は肝細胞癌を合併。Child-Pugh分類はgrade Bが2例,Cが3例,治療目的は肝性脳症が4例,肝機能低下の進行が1例。左右の大腿静脈または腹壁静脈を穿刺し,傍臍静脈シャント内にバルーンカテーテルを挿入し,バルーン閉塞下に7.5~35 mLの5%EOを静注,1例でコイル塞栓を併用。バルーンは24時間留置した。治療前,治療後3~6ヵ月後にAlb,PT%,T.Bil,NH3,Child-Pugh score(CPS)を評価した。【結果】手技は全例で成功した。治療前後の検査値(中央値)はAlbが2.4から3.0 g/dL,PTが48から52 %,T.Bilが2.7から1.7 mg/dL,NH3が125から48 μg/dL,CPSが10から7へと改善した。特に,NH3低下は有意であり(p<0.05),CPSにも改善傾向を認めた(p<0.1)。2例で食道静脈瘤増悪を認め,予防的に内視鏡治療を実施した。また,2例は門脈血栓を併発し,1例ではダナパロイドNaとアンチトロンビンIII製剤の投与で血栓は溶解した。難治性腹水の出現は認められなかった。全例で入院が必要となる肝性脳症を再発しなかった。【結論】傍臍静脈シャントへのB-RTOは肝性脳症の改善に有効である。また,治療後に門脈圧上昇で静脈瘤が増悪する場合があるが,肝予備能の改善が認められ,患者にとっては有益な治療法であると考えられた。
索引用語 傍臍静脈シャント, B-RTO