セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(門脈圧亢進症)

タイトル 消P-84:

当院における急性門脈血栓症9例の検討

演者 村上 坤太郎(西神戸医療センター・消化器科)
共同演者 荒木 理(西神戸医療センター・消化器科), 津田 朋広(西神戸医療センター・消化器科), 佐々木 綾香(西神戸医療センター・消化器科), 安達 神奈(西神戸医療センター・消化器科), 島田 友香里(西神戸医療センター・消化器科), 林 幹人(西神戸医療センター・消化器科), 井谷 智尚(西神戸医療センター・消化器科), 三村 純(西神戸医療センター・消化器科)
抄録 【はじめに】門脈血栓症は様々な基礎疾患を背景に起こる。血栓の発達が急速で上腸間膜静脈まで血栓が拡大した場合には、腸管のうっ血や壊死をきたすことより緊急手術を要することもあるが、反対に血栓の発育が緩徐である場合には数ヵ月以内に側副血行路が形成され肝外門脈閉塞症(EHO)となる。門脈血栓に対する治療としてはurokinaseやt-PAを用いる血栓溶解療法、heparinやwarfarinを用いる抗凝固療法の投与が投与経路に関係なく有用であるが、腸管の循環障害をきたす場合、血栓摘除術が行われることもある。今回我々は当院で経験した急性門脈血栓症に対して原因疾患、治療方法、治療効果について検討を行った。【対象】2001年1月から2012年3月までの間に当院で経験した急性門脈血栓症9例を対象とした。内訳は男性4例、女性5例、平均年齢62.8歳(46~80歳)、原因疾患は肝膿瘍2例、胆道系感染症2例、膠原病1例、黄体ホルモン製剤投与後1例、大腸癌術後1例、大腸穿孔1例、特発性1例であった。【結果】最初にヘパリンナトリウムを使用し、その後ワルファリンを投与した症例が1例、最初にウロキナーゼとヘパリンナトリウムを併用し、その後ワルファリンを投与した症例が1例、ヘパリンのみの投与が1例、最初からワルファリンのみを投与した症例が6例であった。t-PAを使用した症例はみられなかった。最初にウロキナーゼとヘパリンナトリウムを併用し、その後ワルファリンを投与した1例で門脈血栓の縮小を2ヵ月後に認めた。また、ワルファリンのみ投与した2例で門脈血栓の縮小をそれぞれ2週後,6ヵ月後に認めた。ワルファリン投与により11例中3例に門脈血栓の縮小が認められた。【考察】急性門脈血栓症に対する治療効果は決して満足のいくものではなかった。ワルファリンによる治療方法は長期間の投与を必要とするが、外来で施行可能であり、急性門脈血栓症の初期治療として試みてよい治療の一つと考えられた。
索引用語 急性門脈血栓症, ワルファリン