セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)肝臓(肝再生、肝不全、移植) |
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タイトル | 消P-85:Heparin-binding EGF-like growth factor(HB-EGF)による肝線維化制御:TGF-βシグナルとのクロストークについて |
演者 | 吉田 雄一(大阪大大学院・消化器内科学) |
共同演者 | 竹村 貴代(大阪大大学院・消化器内科学), 古田 訓丸(大阪大大学院・消化器内科学), 木津 崇(大阪大大学院・消化器内科学), 柄川 真弓(大阪大大学院・消化器内科学), 茶谷 徳啓(大阪大大学院・消化器内科学), 濱野 美奈(大阪大大学院・消化器内科学), 江崎 久男(大阪大大学院・消化器内科学), 松本 仁(大阪大大学院・消化器内科学), 鎌田 佳宏(大阪大大学院・消化器内科学), 木曽 真一(大阪大大学院・消化器内科学), 竹原 徹郎(大阪大大学院・消化器内科学) |
抄録 | 【目的】肝における線維化進展に重要な役割を果たしている肝星細胞(HSC)は、TGF-βを中心とした様々な液性因子間のクロストークによるシグナル制御を受けている。我々はこれまで、“肝再生因子”としてのHeparin-binding EGF-like growth factor(HB-EGF)に着目してきた。今回我々は、HB-EGF の“肝線維化制御因子”としての可能性について、遺伝子欠損マウス及びマウスHSC培養系を用いて検討を行ったので報告する。【方法】1)IFN誘導性Mx1-Cre遺伝子を有するHB-EGF flox;Mx1-creマウスにIFN誘導体(pIpC)を投与しKOマウス(以下KO)を作製、対照としてpIpC投与したHB-EGF floxマウス (以下WT)を用いた。WT及びKOに胆管結紮術(BDL)を行い、術後10日目の肝組織像及び肝内遺伝子発現を検討した。2)HSC活性化に対するHB-EGFの影響についてcollagen1遺伝子発現を指標に検討した。また、TGF-β応答性9xCAGA Lucを導入したHSCを作製し、TGF-β依存性の転写活性に対するHB-EGFの影響を検討した。3)TGF-βシグナル特異的な転写抑制因子であるTGIFのHSC核内発現に対するHB-EGFの影響について検討した。【結果】1)KOではWTに比しBDLによる肝線維化領域が約1.4倍に増加し(p<0.05)、collagen1、TIMP-1の肝内遺伝子発現が有意に増加した(p<0.05)。また、F4/80、CD68の肝内遺伝子発現はKOで有意に増加したが(p<0.05)、TNFα、IL-6等の炎症性サイトカインの肝内遺伝子発現には差を認めなかった。(2)HSCにおいて、HB-EGFの添加はcollagen1の遺伝子発現を約50%抑制し(p<0.05)、TGFβ依存性転写活性を約70%抑制した(p<0.001)。3)HB-EGFはHSCにおいてTGIFの核内発現を増加させた。【結語】HB-EGFは、肝線維化に対して抑制的に機能し、その一つの分子機序として肝星細胞におけるTGF-βシグナルに対する関与が示唆された。 |
索引用語 | HB-EGF, HSC |