セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(肝再生、肝不全、移植)

タイトル 消P-87:

肝細胞におけるアダプター蛋白質Gab1欠損は、マウス肝線維化を増悪させる

演者 木津 崇(大阪大大学院・消化器内科学)
共同演者 吉田 雄一(大阪大大学院・消化器内科学), 古田 訓丸(大阪大大学院・消化器内科学), 竹村 貴代(大阪大大学院・消化器内科学), 柄川 真弓(大阪大大学院・消化器内科学), 茶谷 徳啓(大阪大大学院・消化器内科学), 濱野 美奈(大阪大大学院・消化器内科学), 江崎 久男(大阪大大学院・消化器内科学), 松本 仁(大阪大大学院・消化器内科学), 鎌田 佳宏(大阪大大学院・消化器内科学), 木曽 真一(大阪大大学院・消化器内科学), 竹原 徹郎(大阪大大学院・消化器内科学)
抄録 【目的】肝線維化の発症・進展過程には、障害肝における肝非実質細胞と肝細胞間の液性因子による細胞間ネットワークが重要な役割を果たしている。Grb2 associated binder-1(Gab1)は、様々な受容体型チロシンキナーゼの下流で機能するアダプター蛋白質で、肝細胞においてはERK、AKTといった増殖シグナルを制御している。今回我々は、同分子に着目し、肝細胞における同分子を介したシグナルの異常が、マウス肝線維化に与える影響を検討した。【方法】1)肝特異的Gab1flox;AlbCreマウス(KO)を作製し、対照としてGab1floxマウス (WT)を用いた。2)これらのマウスに対して、総胆管結紮術(BDL)ならびに四塩化炭素(CCl4)投与で肝線維化を誘導し、Gab1の活性化を評価した。3)両モデルにおいて、肝線維化ならびに、その過程における肝障害と肝再生を評価した。【成績】両モデルにおいて肝臓におけるGab1のチロシンリン酸化を認めた。2)肝線維化の検討では、BDL後10日目及びCCl4 6週投与後において、KOマウス肝組織中のsirius red陽性領域がWTに比し、それぞれ2.0、1.6倍に有意に増加し(p<0.01)、肝内ヒドロキシプロリン含量が、それぞれ1.5、1.1倍に有意に増加していた(p<0.05)。3)KOでは、両モデルにおいてWTに比し肝組織のαSMA免疫染色陽性細胞の増加を認め、Col1a1、Col1a2、αSMAとTGFβの肝線維化関連マーカーの遺伝子発現量が、有意に増加していた (p<0.05)。4)BDL後5日目とCCl4単回投与後において、KOでは、Ki 67免疫染色陽性肝細胞数が、WTに比し、それぞれ52.3、49.4%と有意に減少し(p<0.05)、TUNEL染色陽性肝細胞数が、それぞれ1.5、1.9倍と有意に増加していた(p<0.05)。【結論】肝細胞Gab1欠損は、肝組織修復過程における肝再生障害と肝細胞アポトーシスを亢進させ、結果的に肝星細胞の活性化の誘導を通して、肝線維化を増悪させた可能性が示唆された。
索引用語 肝線維化, Gab1