セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(肝再生、肝不全、移植)

タイトル 消P-88:

肝切除後肝再生におけるIL-17Aの関与について

演者 古屋 信二(山梨大・1外科)
共同演者 河野 寛(山梨大・1外科), 原 倫生(山梨大・1外科), 土屋 雅人(山梨大・1外科), 大菊 正人(山梨大・1外科), 藤井 秀樹(山梨大・1外科)
抄録 【目的】IL-17AならびにIL-17Fは、第3のリンパ球サブセットであるTh17より産生されるサイトカインであり、関節リュウマチや炎症性大腸疾患などに関与する。一方、これまでのわれわれの検討より、IL-17AはKupffer cellのTNF-α産生を亢進させる事実を報告した(J. Immunology; 2011 In press)。この結果は、IL-17Aの肝再生への関与を強く示唆する。そこで、今回、IL-17A knockout(KO)マウスを用いて、肝切除後の肝再生におけるIL-17Aの関与と脾臓の役割について検討した。
【方法】KOならびにwild-typeマウス(WT)を用い、70%部分肝切除モデルを作成した。肝切除後、0、1、3、5、7、10日目で犠牲死させ、肝体重比を検討した。BrdUとKi-67陽性細胞数と、Cyclin D1の肝での発現を検討した。また、肝切除後早期における、TNF-αとIL-6 mRNAの肝発現について検討した。さらに、IL-17A発現ならびに肝再生における脾臓の関与を検討する目的で、脾摘後肝切除モデルを2種類の動物で作成し肝再生を検討した。肝切除後マウスよりCD4陽性リンパ球を分離し、FACSにて細胞内IL-17A発現を比較検討した。
【結果】WTと比較しKOで肝再生が有意に遅延した。これを反映し、KOにおいてBrdUならびにKi-67陽性細胞数は減少、Cyclin D1の発現と、肝臓でのTNF-αならびにIL-6mRNA発現も有意に低下した。WTにおける脾摘群では、非脾摘群と比較し有意に肝再生が遅延していたが、KOにおいては、脾摘は肝再生に影響を与えなかった。肝切除後マウスより分離したリンパ球の解析において、肝臓リンパ球ではIL-17A陽性細胞は認めなかったが、脾臓リンパ球でIL-17A陽性リンパ球の比率増加を認めた。
【結論】IL-17Aは、肝切除後肝再生初期に関与するTNF-αやIL-6の発現を誘導する役割を有し、肝切除後肝再生に関与していた。また、脾摘によりWTにおいてのみ肝再生が遅延した結果より、脾臓由来IL-17Aが肝切除後肝再生において重要であることが明らかとなった。
索引用語 肝切除, 肝再生