セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(肝再生、肝不全、移植)

タイトル 消P-90:

ABMi療法を施行したアルコール性肝硬変患者の骨髄シンチグラフィと肝予備能の変化についての検討

演者 芳賀 弘明(山形大・消化器内科)
共同演者 斎藤 貴史(山形大・消化器内科), 奥本 和夫(山形大・消化器内科), 冨田 恭子(山形大・消化器内科), 佐藤 智佳子(山形大・消化器内科), 石井 里佳(山形大・消化器内科), 西瀬 雄子(山形大・消化器内科), 渡辺 久剛(山形大・消化器内科), 上野 義之(山形大・消化器内科)
抄録 【目的】これまで肝硬変は不可逆的なものと考えられてきたが、肝再生医療の発展とともに改善する可能性が示されつつある。人においては非代償性肝硬変患者に対する自己骨髄細胞投与療法(ABMi療法)により、肝予備能が改善することが報告されている。私たちは、禁酒し得たアルコール性肝硬変患者に対し、ABMi療法を施行しているが、効果があまりみられない症例も存在する。今回、私たちは骨髄シンチグラフィを測定し、肝集積の変化と長期間(2年間)の肝予備能の変化について検討したので報告する。【方法】対象は非代償性アルコール性肝硬変患者6例。いずれも術前6か月間以上の禁酒を確認している。骨髄細胞は、全身麻酔下で400mlの骨髄液を採取し、洗浄後に静脈内投与を行った。In-111を用いた骨髄シンチグラフィはABMi療法前と2週間後に施行し、肝臓内のIn-111の集積の変化を検討した。なお1例は最終的に禁酒が守られず、今回の検討から除外した。【結果】症例の平均年齢 は64.6±2.9歳。治療前総蛋白 6.92±0.25g/dl、albumin 3.28±0.22g/dl、血小板 6.52±1.04万/μl、PT 76.6±6.1%であった。移植6カ月後では総蛋白 7.74±0.10g/dl、albumin 3.76±0.22 g/dl、血小板 8.28±1.01万/μl、PT 87.6±6.0%と有意な変化が認められた。移植1年後および移植2年後では肝予備能の悪化は見られず、肝予備能は維持されていた。骨髄シンチグラフィを施行した4症例中3例においてIn-111の集積が上昇し、更にIV型コラーゲン7Sの低下と肝予備能の改善がみられ、移植2年間の臨床経過は良好であった。一方、In-111の集積が低下した1例では肝予備能の改善は見られず、またIV型コラーゲン7Sの上昇がみられた。【考察】骨髄シンチグラフィで肝に集積の増加がみられた患者は2年間にわたり良好な経過をたどっており、ABMi療法後の肝予備能改善の指標になる可能性があり、今後更に症例を重ね検討していきたい。
索引用語 自己骨髄細胞投与療法, 骨髄シンチグラフィ