セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(症例報告/その他)

タイトル 消P-99:

胆道感染を契機に感染性肝嚢胞を併発した2例

演者 岩岡 泰志(浜松医療センター・消化器科)
共同演者 影山 富士人(浜松医療センター・消化器科), 太田 和義(浜松医療センター・消化器科), 下山 真(浜松医療センター・消化器科), 松下 直哉(浜松医療センター・消化器科), 森 泰希(浜松医療センター・消化器科), 鈴木 聡(浜松医療センター・消化器科), 山崎 哲(浜松医療センター・消化器科), 高井 哲成(浜松医療センター・消化器科), 本城 裕美子(浜松医療センター・消化器科), 吉井 重人(浜松医療センター・消化器科), 山田 正美(浜松医療センター・消化器科)
抄録 【はじめに】肝嚢胞はまれに感染や出血をきたし治療を要するが、感染例はその頻度・報告が比較的少なく診断および治療の選択に苦慮する。今回我々は胆道感染を契機に発症した感染性肝嚢胞の2例を経験し報告する。【症例1】70歳男性。平成13年より胆石症で胆管炎を繰り返し内視鏡を用いた切石術を行っていた。肝左葉外側区に11cm大の腹痛を伴う単純性嚢胞を認め、平成20年3月に腹腔鏡下胆嚢摘出術・嚢胞開窓術を行った。同年10月発熱を主訴に再入院し術後肝嚢胞の増大および壁肥厚を認め感染性肝嚢胞と診断した。経皮的肝嚢胞ドレナージを行いK. pneumoniae, E.coliが検出された。造影で感染嚢胞と胆管の交通を認めたために保存的治療が困難と判断し嚢胞を含めた肝外側区域切除術を行った。【症例2】86歳男性。平成23年6月に肝胆道系酵素の上昇と、胆嚢および胆管内に石灰化結石を認め急性胆道感染症と診断された。この時肝内に多発する単純性嚢胞を認めた。入院直後に敗血症を併発したため経皮的胆嚢ドレナージを行ったが、1週間後に再び発熱・炎症反応の上昇がみられ肝右葉後区域の嚢胞壁の肥厚を認めたために同部位の嚢胞の感染と判断した。経皮的肝嚢胞ドレナージを追加し、血液・胆汁および嚢胞内の培養からはK. pneumoniaeを含む複数の起炎菌が検出された。感染嚢胞からの造影で胆管との交通を認めたが自然閉鎖が得られたために嚢胞内へミノサイクリンを注入しその後双方のドレーンを抜去し治療を終了した。【考察】胆道感染を契機に肝嚢胞内への感染を併発した2例を経験した。2例ともに胆道と交通があり経胆道感染が示唆された。肝嚢胞を伴う症例では胆道感染症を来した際には嚢胞内への感染も念頭に置く必要があるが多発する嚢胞がある場合は診断に苦慮する事もある。特に胆道との交通を伴う場合は治療の選択が難しい。診断および治療について若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 感染性肝嚢胞, 治療