セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(症例報告/その他)

タイトル 消P-100:

肝動脈門脈短絡を合併した肝硬変の2症例

演者 安良岡 高志(日本医大・消化器内科)
共同演者 楢原 義之(日本医大・消化器内科), 金沢 秀典(日本医大・消化器内科), 佐藤 航(日本医大・消化器内科), 橋本 知美(日本医大・消化器内科), 枡 卓史(日本医大・消化器内科), 近藤 千紗(日本医大・消化器内科), 福田 健(日本医大・消化器内科), 松下 洋子(日本医大・消化器内科), 城所 秀子(日本医大・消化器内科), 厚川 正則(日本医大・消化器内科), 中塚 雄久(日本医大・消化器内科), 坂本 長逸(日本医大・消化器内科)
抄録 【症例1】55歳女性。1年前にB型肝硬変と肝性胸腹水を指摘され、近医で胸腹水に対して利尿剤を投与されていた。5ヶ月前から急激に右胸水の増加を認め、近医に入院となった。減塩、利尿剤増量、アルブミン投与するも週に2回の胸腔穿刺排液を必要とした。このため、難治性胸水の精査加療目的で当科に転院となった。腹部血管造影検査では、肝左葉外側区域に肝動脈門脈短絡(APシャント)を認め、門脈本幹は遠肝性に描出された。また、肝静脈圧較差(HVPG)は31mmHgと極めて高値であった。そこで、APシャントに対して塞栓術を施行したところ、HVPG は26mmHgに低下したものの依然高値であった。このため、さらなる減圧目的で経頸静脈的肝内門脈大循環短絡術(TIPS)を施行したところ、門脈大循環圧較差は12mmHgに低下した。術後胸腔穿刺は不要となり胸水は少量残存するものの減少した。【症例2】72歳女性。C型肝硬変のため近医通院中であった。4ヶ月前から腹水貯留のため近医に入院となった。利尿剤を投与されコントロールが得られ、3ヶ月前には食道静脈瘤に対して内視鏡的硬化療法が施行された。その後、再び腹水の増加をきたし利尿剤を増量するも肝性脳症が出現し、利尿剤の減量を余儀なくされ利尿剤不耐性難治性腹水と診断された。連日腹水穿刺排液が必要なため、精査加療目的で当科に転院となった。腹部血管造影検査では、肝右葉後区域にAPシャントを認め、門脈本幹は遠肝性に描出された。また、HVPGは26mmHgと高値であった。APシャントに対してコイル塞栓術を施行したところ、HVPG は13mmHgに低下した。術後2週に1回の腹水穿刺排液を必要とする状態にまで改善した。今回APシャントを合併した肝硬変2症例に対して、塞栓術とTIPSの併用療法とコイル塞栓術単独治療により門脈圧を減圧することで症状の改善が得られたため、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 APシャント, 門脈圧亢進症