セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(症例報告/その他)

タイトル 消P-102:

肝細胞癌・脳転移の18例

演者 佐藤 隆久(杏雲堂病院・消化器肝臓内科)
共同演者 梶山 祐介(杏雲堂病院・消化器肝臓内科), 河井 敏宏(杏雲堂病院・消化器肝臓内科), 八島 陽子(杏雲堂病院・消化器肝臓内科), 杉本 貴史(杏雲堂病院・消化器肝臓内科), 菅田 美保(杏雲堂病院・消化器肝臓内科), 河野 勤(杏雲堂病院・消化器肝臓内科), 佐藤 新平(杏雲堂病院・消化器肝臓内科), 小尾 俊太郎(杏雲堂病院・消化器肝臓内科)
抄録 【背景】肝外転移を有する進行肝細胞癌の中でも、脳転移はきわめて予後不良であることが経験的に知られている。しかし、脳転移の予後や治療法に関するまとまった報告は数少ない。【方法】2007年1月から2011年12月までに当科で治療を受けた肝細胞癌患者のうち、脳転移を診断されたものが18例あった。この18例について、脳転移発症からの予後、治療法、脳転移発症のリスクを検討した。【結果】年齢62.2±10.6、男/女=15/3、HBV/HCV/HBV+HCV/NBNC=7/7/1/3例、Vp 0/1/2/3/4=8/0/2/4/4例、Vv 0/1/2/3=0/0/0/5例、stage 1/2/3/4a/4b=0/0/0/1/17例、遠隔転移部位の詳細は肺/骨/リンパ=17/2/1例(重複あり)であった。18例中15例は有症状(中枢神経症状)を機に診断され、残りの3例はスクリーニングで施行した頭部CTによって無症状で診断された。診断時の平均腫瘍径は20mm、脳転移腫瘍数は1/2/3個以上=13/2/3例、生存期間の中央値は42日で、2012年2月29日時点で18例全例が癌死であった。治療は全例にデキサメサゾンとグリセオールの点滴静注が行われ、他院に転院治療可能であった4例のうち、3例にガンマナイフ、1例に血腫除去術と全脳照射が施行された。このうち右小脳の25mm単発の脳転移に対してガンマナイフを行った症例は、生存期間219日と18例中最長であった。【結論】18例中17例が肺転移を伴っており、肺転移は脳転移を予測する最も強力な危険因子と考えられた。また、ガンマナイフ治療を行ったものの中に比較的長期の生存が得られた例があり、肝細胞癌脳転移に対するガンマナイフの有効性が示唆された。脳転移高危険群に対する積極的介入が予後を改善するかどうかは今後の課題と考えている。
索引用語 肝細胞癌, 脳転移