セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(症例報告/その他)

タイトル 消P-104:

肝疾患診療ネットワーク構築後のHCVキャリアの受診行動の実態と今後の課題

演者 阿部 弘一(岩手医大・消化器・肝臓内科)
共同演者 小山 富子(岩手県予防医学協会), 佐々木 純子(岩手県予防医学協会), 熊谷 一郎(岩手医大・消化器・肝臓内科), 宮坂 昭生(岩手医大・消化器・肝臓内科), 鈴木 一幸(岩手医大・消化器・肝臓内科)
抄録 【目的】各種肝炎検診において潜在しているHCVキャリア(HCVC)を発見しても医療機関への受診や有効な治療に結びつかなければ肝癌撲滅への効果は得られない。そこで肝疾患診療ネットワーク体制下の医療機関に対してアンケート調査を行い、受診や治療について検証した。【対象および方法】対象はI県において1997年から2010年に行われた集団検診(集団)、個別検診(個別)、人間ドック(ドック)、職域検診(職域)で診断されて医療機関を受診した1521例。方法は医療機関285施設(A群: 肝疾患診療連携拠点病院1、B群:肝疾患専門医療機関15、C群:一般診療所205、D群:肝炎かかりつけ医 (肝疾患専門医療機関の医師と同等の専門知識と治療経験を有する各医師会から推薦された医療機関) 64に対して1999年から2010年までアンケートを年1回行った。【結果】1)医療機関受診率:集団、個別、ドック、職域の検診後の医療機関受診率は各々1,137例:63.0%、24例:96.0%、224例:43.4%、136例:50.4%で個別>地域>職域>ドックの順に高かった。2)通院治療状況:定期通院、不定期通院、中断、他院紹介の各割合はA群(89.9%、0%、5.8%、0%)、B群(76.6%、0%、4.9%、13.7%)C群(74.3%、0.7%、3.6%、15.0%)、D群(82.4%、2.4%、9.0%、3.8%)だった。3) IFN治療状況:IFN治療は241例(18.5%)に投与されていたが各群の割合はA群:37.1%、B群:19.5%、C群:8.1%、D群:21.5例であった。【まとめ】1)検診等で発見されたHCVCの医療機関受診率は医師や保健師などが関係する程高かった。2) 定期通院率は専門医が診療をしている施設程高かった。3) IFN治療率も専門医が診療をしている施設程高かった。以上より、受診行動やIFN治療率の改善のためには医療従事者のアドバイスや治療担当の専門医の拡充が有効と考えられた。
索引用語 肝疾患診療ネットワーク, HCVキャリア