セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(その他)

タイトル 消P-108:

症候性肝嚢胞に対し5%EO注入療法を施行した8例の検討

演者 藤田 祐司(横浜労災病院・消化器科)
共同演者 稲生 優海(横浜労災病院・消化器科), 河島 圭吾(横浜労災病院・消化器科), 内藤 舞(横浜労災病院・消化器科), 飯沼 瑞惠(横浜労災病院・消化器科), 江塚 明子(横浜労災病院・消化器科), 内山 詩織(横浜労災病院・消化器科), 村瀬 貴之(横浜労災病院・消化器科), 谷 理恵(横浜労災病院・消化器科), 川名 憲一(横浜労災病院・消化器科), 大谷 節哉(横浜労災病院・消化器科), 永瀬 肇(横浜労災病院・消化器科)
抄録 【目的】肝嚢胞は良性疾患だが,症候性肝嚢胞は治療の対象となる.従来はエタノールや塩酸ミノサイクリンの注入,開窓術,肝部分切除術などが施行されてきた.近年はmonoethanolamine oleate(EO)注入療法が有用であるとの報告があり副作用が少ないとされる.今回,我々は症候性肝嚢胞8例に対してEO注入療法を施行したので報告する.【方法】超音波ガイド下に経皮経肝的に嚢胞を穿刺し9Frピッグテールカテーテル留置後,内溶液を吸引し,数日間開放したまま排液がほぼなくなるまで経過観察する.その後にウログラフィンで造影し,嚢胞と胆管・脈管との交通のない事を確認した上でイオパミドールと混合した5%EOを40ml注入し30分間体位変換しながら留置後回収.カテーテルを再度開放して数日~1週間後,再度同様に5%EOを注入してから数日後に抜去した.症例によって巨大なものは60ml注入した.副作用により20mlに減量したもの,本人の都合により1度のみの注入で退院としたものもある.【結果】2008年5月以降45歳~71歳の男性2例,女性6例の8症例に対して施行した.EO注入の際に2例は右肩への放散痛が生じたが症状は軽度で注入後すぐに消失した.全例で50%以上嚢胞は縮小し,症状は8例中7例で消失した.1例は現在再増大傾向であるが,症状の再燃は認めない.症状が消失しない症例と再増大している症例はいずれも,注入量を減らしたり回数を減らしたりした症例であった.【考察】EOを用いた肝嚢胞注入療法は嚢胞縮小効果が大きく再増大や副作用も少なかった.従来報告されてきたエタノールの注入は副作用も少なからず認められ塩酸ミノサイクリンは嚢胞壁障害性が弱く再増大が多いとの報告もあり,外科的手術に比べ侵襲性も低く安全・簡便に施行できるEO注入療法は症候性肝嚢胞の治療に有用であると考える.若干の文献的考察を加えて報告する.
索引用語 症候性肝嚢胞, EO注入療法