セッション情報 シンポジウム6(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)

画像強調内視鏡の現状と今後の展開-咽頭から十二指腸まで

タイトル 消S6-2:

表在咽喉頭癌の深達度診断におけるNBI拡大内視鏡の有用性

演者 菊池 大輔(虎の門病院・消化器内科)
共同演者 飯塚 敏郎(虎の門病院・消化器内科), 貝瀬 満(虎の門病院・消化器内科)
抄録 【緒言・目的】NBI拡大内視鏡により多くの表在咽喉頭癌が発見され内視鏡治療がなされている。表在咽喉頭癌の深達度診断は、表在食道癌に類似すると考えられるが、その詳細は不明である。表在咽喉頭癌の深達度診断におけるNBI拡大の有用性を検証することを目的とした。【方法】2008年4月から2012年3月に160病変の表在咽喉頭癌に対し内視鏡切除を行っている。このうち、全身麻酔下にNBI拡大観察を行い、一括切除された138病変を対象に内視鏡画像をretrospectiveに解析した。乳頭内血管は日本食道学会の拡大内視鏡新基準に従い、B1~B3に分類した。さらにB1血管をドット状血管のみのB1α、ループは形成するものの伸長した形態を呈するB1βに細分類した。B1~B3に取り囲まれた血管構造の認められない領域をavascular area(AVA)とした。病理学的に基底層が保たれている病変をCIS(Carcinoma in situ)、上皮下に浸潤した病変をSEP(sub-epithelial carcinoma)とした。SEPの浸潤距離は腫瘍の表層から最深部までとした。【結果】病変の主座は下咽頭96病変、中咽頭36病変、喉頭6病変であった。CISは100病変、SEPは38病変であった。138病変のうち122病変はB1のみであった。B1αのみは89病変であり、SEPは14病変(15.7%、平均浸潤距離547μm)であった。B1βが混在していた病変は33病変であり、SEPは11病変(33.3%、平均浸潤距離934μm)であった。B2が認められたものは13病変であり、SEPは10病変(76.9%、平均浸潤距離833μm)であった。B1βと比較してB2を有する病変では有意にSEPの割合が高頻度であった(p<0.05)。またB3の認めたものは3病変で、すべてSEPであった(100%、平均浸潤距離2493μm)。AVAが認められた病変は18病変であり、その内SEPは13病変(72.2%)であった。AVAを認めなかった120病変ではSEPが25病変(20.8%)であり、AVAを認めると有意(p<0.05)にSEPが高頻度であった。【結語】NBI拡大内視鏡を用いて血管構造とAVAを同定することは、表在咽喉頭癌の深達度診断に有用であると考えられた。
索引用語 表在咽喉頭癌, NBI拡大内視鏡