セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胆道(診断)

タイトル 消P-115:

所属リンパ節腫大が類上皮細胞肉芽腫であった肝サルコイドーシス合併肝門部胆管癌の1例

演者 鈴木 和志(大同病院・外科)
共同演者 宇野 雄祐(大同病院・外科), 河原 健夫(大同病院・外科), 印牧 直人(大同病院・消化器科), 野々垣 浩二(大同病院・消化器科), 榊原 聡介(大同病院・消化器科), 藤城 卓也(大同病院・消化器科), 小川 和昭(大同病院・消化器科)
抄録 【症例】52歳、女性。【主訴】心窩部痛。【既往歴】数年前に下腿に皮疹が出現し生検でサルコイドーシスと診断され全身検索されたが、他部位に異常は認めず無治療で経過観察中。【現病歴】心窩部痛にて受診し閉塞性黄疸を認め入院となった。【血液検査所見】T.bil 7.5mg/dl, GOT 176IU/l, GPT 300IU/l, ALP 932IU/l, γGTP 1039IU/l, CEA 2.2ng/ml, CA19-9 54.1U/ml, ICG‐R15 41.6%【CT】肝門部に腫瘍性病変を認め右門脈が根部で完全閉塞していた。No.8a、No.12a、No.16b1のリンパ節腫大を認め、リンパ節転移を伴った肝門部胆管癌(右葉肝内胆管癌肝門浸潤)と診断した。肺門リンパ節や他部位にリンパ節腫大は認めなかった。【逆行性胆道造影】肝門部で総肝管は狭窄し右肝管は閉塞していた。左葉胆管B4合流部はintactであった。【手術】開腹後まず腫大したNo.16b1リンパ節を術中迅速病理診断に提出した。悪性所見は認めず類上皮細胞肉芽腫との診断であった。肝拡大右葉・尾状葉切除、肝外胆管切除再建、門脈合併切除再建、リンパ節郭清術を施行した。【切除標本病理結果】中分化管状型腺癌で右門脈と神経線維への高度浸潤を認めた。背景肝に類上皮細胞肉芽腫が観察され、肝サルコイドーシスに合併した肝門部胆管癌と診断した。郭清した腫大リンパ節には悪性所見を認めず、びまん性に類上皮細胞肉芽腫を認めた。【まとめ】悪性腫瘍の所属リンパ節に稀にサルコイドーシスに類似した類上皮細胞肉芽腫を認める場合があり、サルコイド反応として報告されている。肝サルコイドーシスを合併した胆管癌の報告が稀であるが、本症例は皮膚サルコイドーシスの既往はあったが肺門リンパ節など他部位に目立ったリンパ節腫大がなく、所属リンパ節のみに腫大所見を認めたため癌の転移を疑ったが組織学的には類上皮細胞肉芽腫(サルコイド反応)であり、また背景肝に肝サルコイドーシスを認めた非常に興味深い症例であった。
索引用語 肝門部胆管癌, 類上皮細胞肉芽腫