セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胆道(治療)1

タイトル 消P-116:

急性胆嚢炎に対する内視鏡的経鼻胆嚢ドレナージ術と経皮経肝胆嚢ドレナージ術の比較検討

演者 奥 隆臣(帯広第一病院・消化器内科)
共同演者 三関 哲矢(帯広第一病院・消化器内科), 酒井 俊(帯広第一病院・総合内科), 阿部 友哉(帯広第一病院・外科), 井伊 貴幸(帯広第一病院・外科), 林 啓一(帯広第一病院・外科), 富永 剛(帯広第一病院・外科), 神賀 貴大(東北大病院・胃腸外科), 高見 一弘(東北大病院・肝胆膵外科)
抄録 【はじめに】急性胆嚢炎の診療ガイドラインでは,治療の第一選択は早期の胆嚢摘出術である.しかし背景疾患や耐術能,医療側の体制により,まず内科的に胆嚢ドレナージが行われる場合が多いのが現状である.胆嚢ドレナージには経皮経肝的胆嚢ドレナージ術(PTGBD)と内視鏡的胆嚢ドレナージ術(EGD)があるが,ガイドラインではPTGBDが推奨度の上では勝っている.本検討では内視鏡的経鼻胆嚢ドレナージ術(ENGBD)とPTGBDの成績を比較検討し,急性胆嚢炎におけるENGBDの位置づけについて考察した.【対象および方法】2008年4月から2011年10月までENGBDおよびPTGBDを施行された急性胆嚢炎症例を対象とした.まず初回治療としてのENGBD群(46例)とPTGBD群(26例)について検査時間,手技成功率,偶発症の頻度を比較した.そして最終的なドレナージ法としてENGBD群(34例)とPTGBD群(38例)について炎症反応改善効果,入院期間,ドレナージから手術までの期間,手術時間を比較検討項目とした.【結果】初回治療としての検討では,手技成功率はENGBD群73.9%,PTGBD群100%であり有意差を認めた.検査時間はPTGBD群で有意に短かった.偶発症はENGBD群で8例に認め,PTGBD群の1例に比べ多い傾向であった.最終ドレナージ法としての両群の比較では,重症例では炎症反応改善効果がENGBD群で低い傾向であった.入院期間,ドレナージから手術までの期間,術式,手術時間には有意差はなかった.【考察】急性胆嚢炎に対する初回治療としては,手技成功率および偶発症を考慮するとENGBDはPTGBDに比較すると劣り,改善の余地が残されている.しかし,ドレナージ効果やその後の胆嚢摘出術への影響では両者は同等と考えられ,重篤な基礎疾患を有していたり,PTGBDが禁忌と考えられる症例,総胆管結石合併例などでは試みられるべき治療法のひとつと考えられた.
索引用語 急性胆嚢炎, ENGBD