セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胆道(治療)1

タイトル 消P-117:

当院における急性胆嚢炎に対する経皮的胆嚢ドレナージ術の検討

演者 松原 悠(札幌東徳洲会病院・消化器内科)
共同演者 網塚 久人(札幌東徳洲会病院・消化器内科), 芹川 真哉(札幌東徳洲会病院・消化器内科), 七尾 恭子(札幌東徳洲会病院・消化器内科), 好崎 浩司(札幌東徳洲会病院・消化器内科), 坂本 淳(札幌東徳洲会病院・消化器内科), 木村 圭介(札幌東徳洲会病院・消化器内科), 太田 智之(札幌東徳洲会病院・消化器内科)
抄録 【目的】急性胆嚢炎の治療は早期の胆嚢摘出術が推奨されている。しかし高齢化社会において、全身状態や抗凝固薬、抗血小板薬の内服既往など、緊急手術の適応とならない症例も多く存在し、その際行われるドレナージ術の意義は依然高いと考える。この度、当院で経験した急性胆嚢炎に対する経皮的胆嚢ドレナージ術をretrospectiveに検討する。【方法】2008年2月から2012年1月までの期間に、当院で経皮的胆嚢ドレナージ術を施行した急性胆嚢炎90例を検討した。【成績】症例は90例(M/F=51/39)、平均75.8歳。抗凝固薬、抗血小板薬の内服既往は31例(34%)に認められた。経皮胆嚢ドレナージの選択は経皮経肝胆嚢穿刺吸引術(PTGBA)が行われた症例が4例、経皮経肝胆嚢ドレナージ術(PTGBD)が行われた症例が86例であり、いずれも成功率は100%であった。これらの急性胆嚢炎の重症度は、軽症6例、中等症50例、重症34例であった。発症からドレナージまでの平均日数は4.5日であり、ドレナージ留置期間の平均は22.9日であった。チューブ留置された86例で合併症を生じたのは17例(20%)であり、多い順からチューブ抜去6例、チューブ閉塞5例、腹腔内でのたわみ4例、胆汁漏出(腹膜炎併発)2例であった。施術後待機的に手術が行われた例は52例で、38例は全身状態やADLの理由から手術を行わなかった。また胆のう摘出術が行われた後、病理結果からIncidental Gallbladder Cancer(IGC)として胆嚢癌が指摘された症例が1例存在した。生存例は75例であり15例が死亡したが、そのうち11例(73%)は他病死であった。【結論】PTGBA、PTGBDは急性胆嚢炎に対する有効な治療手段であり、その成功率から中等症以上の症例で緊急手術に適応しない場合は必要不可欠であると考える。しかしその一方で、特にPTGBDは合併症の発症に注意しなければならず、またIGCが含まれていることも念頭に置かねばならない。
索引用語 急性胆嚢炎, 経皮的胆嚢ドレナージ術