セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胆道(治療)1

タイトル 消P-119:

超高齢者,認知症患者の良性胆道疾患治療に有用なEBD長期留置法

演者 有井 一雄(公立那賀病院・外科)
共同演者 清水 敦史(公立那賀病院・外科), 木下 博之(公立那賀病院・外科), 坂田 好史(公立那賀病院・外科), 森 一成(公立那賀病院・外科)
抄録 90歳以上の超高齢あるいは認知症患者の良性胆道疾患治療は手技の安全性のみでなく術後QOLも考慮して選択すべきである。手術後QOLが低下した症例と内視鏡治療(EBD長期留置)後QOLが維持された症例を提示し、治療法の選択基準を検討した。〔症例〕1:90歳の女性で転倒し大腿骨頸部骨折となり整形外科での手術後に急性胆嚢炎を発症し腹腔鏡下胆嚢摘出術を行った。認知症悪化で施設に戻るまで4ヶ月のリハビリを要した。2:86歳の女性で十数年前に胆嚢結石で胆摘術を、総胆管結石でESTを受けていた。総胆管結石再発で再ESTを行ったが、不十分でEBDを留置した。入院中に転倒し上腕骨骨折となり整形外科で手術適応なしと判断され、EBD長期留置を勧めたが、家族の強い希望で総胆管截石,総胆管十二指腸吻合術を行った。認知症悪化,嚥下困難となり4ヶ月リハビリしたが回復せず、経管栄養の状態で転院。3:89歳の男性で胃癌にて幽門側胃切除,B-II再建術を、胆嚢結石で胆摘術を受けていた。総胆管結石に対しEBDを試みたが、術中空腸穿孔し緊急で修復術を行い、後日総胆管截石,総胆管十二指腸吻合術を行った。認知症はなく経過良好。4:くも膜下出血後の94歳,男性で総胆管結石症に対しEBDを留置した。約1年後に肺癌で亡くなるまで経過良好。5:認知症のある96歳,男性で総胆管結石症に対しEBDを留置し、その際に発見した早期胃癌を後日ESDして、元の施設に帰った。6:軽度認知症のある89歳,女性で膵・胆管合流異常による肝機能障害,膵炎に対しEBDを留置し、以後2年間経過良好。7:腰椎圧迫骨折後の87歳,女性で近医にて総胆管結石に対しESTを受け腹腔鏡下胆嚢摘出術目的に転院。総胆管に遺残結石があり、これを截石しEBDを留置した。その後手術を拒否され2年間経過良好。以上より、超高齢あるいは認知症患者では手術後QOLの低下が強く、EBD長期留置が良性胆道疾患の良い治療法の一つと考える。我々は自己転倒し骨折する程に認知症が進んでいるかQOLが低下している高齢者にはEBDを勧めている。
索引用語 良性胆道疾患, EBD長期留置