セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胆道(治療)2

タイトル 消P-129:

当院でのWire-guided Cannulation法と従来法の比較

演者 宮本 秀一(苫小牧市立病院・消化器科)
共同演者 高橋 一宏(苫小牧市立病院・消化器科), 福島 拓(苫小牧市立病院・消化器科), 武藤 修一(苫小牧市立病院・消化器科)
抄録 【背景・目的】Wire-guided Cannulation(WGC法)は従来の造影剤先行法(C法)に較べて、ERCP後膵炎の発症率の低下や手技時間の短縮が期待されている。しかし、WGC法を有用とした報告の多くは1名の熟練した内視鏡科医によって試行されたもので、複数名の内視鏡科医による検討ではその有用性は証明されていない。WGC法の有用性を4人の内視鏡科医で検討した。【方法】当院では2011年6月から従来の造影剤先行法をWGC法に変更した。そこで、その前後8か月間に新規にERCPを実施した110名(C法:48名、75±12(平均±SD)歳。WGC法:62名、73±10歳)について、ERCP後膵炎の発症率、手技施行時間、施行2時間後と24時間後の血清膵臓AMY値を比較検討した。なお、ERCP後膵炎発症率と高AMY血漿症に関してはERCP施行前から膵炎(C法:6名、WGC法:4名)、高AMY血漿症(C法:6名、WGC法:3名)を呈したものは除いた。【成績】急性膵炎の発症率はWGC群が6.9%でC群の19.4%より少ない傾向を示した(p=0.066)。しかし、手術時間はWGC群57±29分に対しC群56±29分(p=0.437)、 ERCP2時間後の血清膵臓AMY値が150(IU/l)以上を呈したものはWGC群18.6%、C群26.1%(p=0.365)、24時間後はWGC群20.3%、C群26.2%(p=0.489)と、いずれも両法で有意差を認めなかった。【結論】今回、複数の内視鏡医の検討でWGC法は急性膵炎の発症率を低下させる可能性が示唆されたが、その他の有用性については証明できなかった。本報告では検討期間途中に術者の一部が変更になった点,施行症例が少ない点などの問題点もあり、安全かつ効率のよい手技をめざし今後さらなる検討が必要である。
索引用語 Wire-guided Cannulation, ERCP後膵炎