セッション

検索結果は7件です。

司会の言葉
渡辺 守(東京医科歯科大学消化器病態学)
 消化管における幹細胞研究の進展は目覚しい.正常幹細胞の研究と癌幹細胞の研究が別々に,あるいは一部交差しながら進んでいる.正常幹細胞の場合,幹細胞の維持機構と幹細胞から分化細胞への誘導機構の解明で研究の進捗が見られる.一部では内視鏡治療後の粘膜上皮再生や炎症性腸疾患における実地医療への応用が図られている.しかし,ニッチの解明など,周囲環境との関連では報告進捗が十分ではない.他方,癌幹細胞については...

第100回日本消化器病学会総会消化管幹細胞研究の新たな展開

消化器癌における癌幹細胞研究
石井 秀始(大阪大学消化器癌先進化学療法開発学)
難治性消化器の治療戦略において,癌幹細胞の考え方は有効な診断および治療方法を策定する上で重要である.Dick博士が白血病幹細胞を報告し(1997年),私達は消化器癌の癌幹細胞を初めて報告した(2006年).癌幹細胞は放射線療法や抗癌剤療法後に局所で残存し,転移再発への関わりが示唆されている.(1)癌幹細胞の標的化:活性酸素(ROS)の制御が正常とともに癌幹細胞の制御において重要な役割を担う.ROS...

第100回日本消化器病学会総会消化管幹細胞研究の新たな展開

マウスモデルを用いた大腸がん幹細胞マーカー候補Dclk1の同定
千葉 勉(京都大学消化器内科学講座)
がんには正常組織幹細胞と類似した性質を持つ「がん幹細胞」が存在する.このため,がん幹細胞を標的とする治療法の開発が期待されている.しかしがん幹細胞マーカーの多くは正常組織幹細胞にも発現しているため,それらを標的とすると,正常組織幹細胞も傷害され副作用は避けられない.そこで正常組織幹細胞から区別し得る「がん幹細胞特異的マーカー」の同定が必要である.我々は,大腸がん組織に発現するDclk1が,大腸がん...

第100回日本消化器病学会総会消化管幹細胞研究の新たな展開

iPS細胞応用医学の現状と未来
青井 貴之(神戸大学iPS細胞応用医学)
人工多能性幹(induced Pluripotent Stem,iPS)細胞は,体細胞にいくつかの因子を導入し,特定の環境下で培養することで得られる多能性幹細胞株である.iPS細胞は,(1)生体を構成する様々な細胞に分化することができる能力,すなわち分化多能性と,(2)(1)の性質を保ちながら無限に増殖することができる能力,すなわち自己複製能を有している.加えて,iPS細胞は様々な患者あるいは健常...

第100回日本消化器病学会総会消化管幹細胞研究の新たな展開

iPS細胞からiGutの作製
中島 祥介(奈良県立医科大学消化器・総合外科学)
【背景と目的】多能性幹細胞は,次世代医療の展開に貢献する細胞として期待が持たれている.今回,ES細胞を用いた独自の研究実績をもとに,iPS細胞から立体臓器,人工腸管(iGut)を分化誘導できるか,世界初のin vitroでの臓器作製を試みた.
【方法と結果】iPS細胞(iPS-MEF-Ng-20D-17)を用い,胚様体(embryoid body:EB)の形成に懸垂培養系を導入した.hang...

第100回日本消化器病学会総会消化管幹細胞研究の新たな展開

消化管上皮幹細胞培養の基盤と応用
佐藤 俊朗(慶應義塾大学医学部消化器内科)
消化器組織は体内において最も再生能力の高い組織の1つである.我々は,Wntシグナル活性化により,たった一つの腸管上皮幹細胞から体外で腸管上皮を擬似した3次元組織構造(オルガノイド)を形成させるオルガノイド培養を開発してきた.本培養法はマウス小腸のみならず,ヒト胃・小腸・大腸にも応用できることがわかった.Wntシグナル活性化は消化管組織内の幹細胞制御機構に大きな影響を有し,腸管傷害により幹細胞が死滅...

第100回日本消化器病学会総会消化管幹細胞研究の新たな展開

培養腸管上皮細胞移植における幹細胞の挙動
中村 哲也(東京医科歯科大学消化管先端治療学)
消化管上皮幹細胞研究が大きく進みつつある.我々はこれまでに,マウス大腸上皮細胞の体外培養技術を開発した(TMDU法).この方法では,正常な大腸上皮細胞を非上皮細胞なしに,無血清培地で,3次元的に培養することが可能となった.また,ここに得られる培養細胞を用いた移植実験の結果,体外培養を経た大腸上皮細胞が,傷害部位の欠損上皮を補充し粘膜修復に寄与しうること,かつこの上皮修復が単一の幹細胞を初発材料とし...

第100回日本消化器病学会総会消化管幹細胞研究の新たな展開