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司会の言葉
 
 肝疾患では頻繁に金属代謝異常を伴い,鉄,銅ならびに亜鉛の異常はよく遭遇する.いくつかの肝疾患で鉄が肝細胞に蓄積するが,様々な遺伝子異常による家族性鉄過剰症やC型肝炎感染症では肝細胞の産生するhepcidin低下による腸管上皮細胞でのferroportin発現亢進が鉄過剰の原因と明らかとなった.また脂肪性肝疾患においても鉄が肝細胞に沈着する.これらは肝細胞癌の発生にも関与していると考えられている....

第99回日本消化器病学会総会肝疾患における金属代謝研究の進歩

肝臓への鉄沈着の非侵襲的な評価方法について―各種慢性肝疾患との関連―
斎藤 聡(虎の門病院肝臓センター)
【はじめに】肝臓への鉄沈着に関しての評価方法として,画像診断はヘモクロマトーシスなどの高度鉄沈着があるのみで,報告が少ない.これまで経過観察に関しては,血清のフェリチンをモニターにして肝臓内の鉄量を評価することが多かった.肝細胞の鉄量を非侵襲的に評価することは病態評価の上でも重要と考える.そこで,MRIによる肝内の鉄沈着の定量化を試みた.【対象と方法】MRIにて肝内鉄定量評価を施行した各種慢性肝疾...

第99回日本消化器病学会総会肝疾患における金属代謝研究の進歩

走査型蛍光X線顕微鏡を用いた肝組織内鉄分布の解析
木下 秘我(神戸大学肝胆膵外科)
慢性C型肝炎において,肝内の鉄(Fe)過剰沈着が酸化ストレスを惹起し,線維化促進や発癌に関与していることが示唆されている.従来のベルリンブルー等の鉄染色では肝内の正確なFe沈着を測定できなかったため,放射光を用いた新しい検出法により微量金属元素の肝組織内局在を解析した.(方法)SPring-8の走査型蛍光X線顕微鏡を用いて正常肝,慢性C型肝炎,C型肝硬変の外科切除切片内の微量金属元素の二次元マッピ...

第99回日本消化器病学会総会肝疾患における金属代謝研究の進歩

C型慢性肝炎におけるHCV感染と鉄蓄積のインスリン抵抗性におよぼす影響
小林 由直(三重大学保健管理センター)
【目的】C型慢性肝炎(CH-C)の肝臓では鉄蓄積が高頻度に認められ炎症の進展や発癌に影響を与えるが,鉄沈着が糖代謝に及ぼす影響は十分に検討されていない.我々は,CH-CにおけるHCV感染および鉄沈着がインスリン抵抗性(IR)に及ぼす影響およびそのメカニズムを明らかにする目的で,血液データおよび肝組織について検討を行い,さらに,活性酸素種(ROS)を発生させた肝細胞株において糖新生の亢進メカニズムを...

第99回日本消化器病学会総会肝疾患における金属代謝研究の進歩

摘脾が肝臓の鉄蓄積に及ぼす効果についての検討
仁科 惣治(川崎医科大学肝胆膵内科学)
【目的】脾腫・血小板減少を伴うC型肝硬変に対して摘脾後にIFN治療を行うことも少なくないが,摘脾が肝臓に及ぼす影響は不明である.脾臓は鉄を貯蔵する体内最大の網内系組織である一方,肝臓の鉄過剰は肝発癌因子と考えられている.そこで摘脾が肝臓の鉄蓄積に及ぼす影響について検討を行った.【方法】8週齢♂のC57BL/6マウスに対し摘脾(摘脾群),あるいはコントロールとして開腹手術のみ(sham群)を行った2...

第99回日本消化器病学会総会肝疾患における金属代謝研究の進歩

C型慢性肝疾患患者における亜鉛欠乏とそれに伴う代謝異常について
樋本 尚志(香川大学総合診療部)
【目的】C型肝炎ウイルスの持続感染によってインスリン抵抗性,肝脂肪化や鉄過剰状態といった代謝異常をしばしば伴う.一方,亜鉛(Zn)は肝線維化や血糖の恒常性に重要な役割を果たしている.今回,C型慢性肝疾患(HCV-related CLD)患者におけるZn欠乏とそれらの代謝異常との関連について検討した.【方法】対象はC型慢性肝炎および肝硬変患者である.肝組織における酸化ストレスは,8-OHdGの発現を...

第99回日本消化器病学会総会肝疾患における金属代謝研究の進歩

ウイルソン病および重症肝障害における銅代謝の検討
千手 倫夫(産業医科大学医学部第3内科学)
【目的】銅代謝異常症であるウイルソン病では血中セルロプラスミン(以下,CPN)低値と尿中銅排泄(以下,尿中Cu)増加が認められ,その診断に有用である.一方で,重症肝障害症例においては,肝細胞でのCPN合成能低下による血中CPN低下と肝細胞からの銅逸脱による尿中Cu増加があり,ウイルソン病との鑑別が困難な可能性がある.また,重症肝障害症例においては出血傾向などの理由で肝生検施行が困難なことも多い.そ...

第99回日本消化器病学会総会肝疾患における金属代謝研究の進歩

C57BL/6における鉄代謝異常の解析
是永 匡紹(国立国際医療研究センター肝炎・免疫研究センター)
【目的】鉄代謝異常は発がんの促進因子であり,C型慢性肝疾患や脂肪性肝疾患では肝内鉄過剰状態が存在する.C型慢性肝疾患ではhepcidin発現低下が鉄代謝異常に関与し,瀉血により肝発がんが抑制されるが,脂肪性肝疾患における鉄代謝異常の意義や臨床的な長期予後は未だに明らかにされていない.今回われわれは,C57BL/6J(J)とJに比べ体重が増加傾向にあるC57BL/6N(N)を用いて以下の検討を行った...

第99回日本消化器病学会総会肝疾患における金属代謝研究の進歩

C型慢性肝炎と非アルコール性脂肪肝炎における鉄代謝異常の発生機序の検討
宮西 浩嗣(札幌医科大学内科学第四講座)
【目的】C型慢性肝炎(CHC)では,肝細胞内に増加した鉄がROS産生に働き細胞傷害やDNA損傷を引き起こす可能性が想定されている.非アルコール性脂肪肝炎(NASH)においても過剰鉄がいわゆる2nd hitの一因であるとする報告が散見される.しかし,両者において肝への過剰鉄沈着の原因は明らかとはいえない.本研究では,CHCとNASHにおける鉄代謝について鉄吸収動態,十二指腸鉄吸収関連分子及び肝由来の...

第99回日本消化器病学会総会肝疾患における金属代謝研究の進歩

脂肪肝マウスにおけるBMP6発現変化を介した鉄代謝調節異常
大竹 孝明(旭川医科大学消化器・血液腫瘍制御内科)
【目的】慢性肝疾患における鉄過剰症の一部はHepcidin(Hepc)の発現異常で説明されているが,非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)における鉄過剰症に関しては一定の見解がない.Hepcの発現調節系としてはトランスフェリン受容体からのシグナル,IL-6R-Stat系シグナル,BMPR-Smad系シグナルの3つが主である.我々はこれまでマウス脂肪肝においてHepc発現低下を報告してきたがそのメ...

第99回日本消化器病学会総会肝疾患における金属代謝研究の進歩