セッション

検索結果は9件です。

GALTは慢性大腸炎発症及び維持に必須か?
金井 隆典(慶應義塾大・消化器内科)
腸管は多様かつ膨大な腸内細菌、食餌などの抗原の暴露にもかかわらず、一層の上皮細胞によって外部と接する特殊な臓器である。また、免疫活性化のリスクをはらんだ臓器にもかかわらず平時では免疫の寛容が保たれて消化と吸収という第一義的な機能を効率よく担っている。共生する腸内細菌に対しては免疫寛容を維持し、一方病原微生物がひとたび侵入すると瞬く間に自然免疫系が発動され効率よく獲得免疫系へと転換し病原体の排除を行...

第53回日本消化器病学会大会GALT研究の最前線

免疫システムを形作る腸内フローラ
本田 賢也(東京大大学院・免疫学)
腸内細菌と常に接する腸管粘膜は、非常にユニークな免疫システムを形成しています。中でも、インターロイキン-17を高産生するT細胞サブセット(“Th17細胞”)や、制御性T細胞(“Treg細胞”)が、消化管粘膜に恒常的に多数存在することが知られています。私たちは無菌マウスを検討することで、腸内細菌の存在が、Th17細胞・Treg細胞それぞれの分化に必須であることを見出しました。さらにどのような腸内細菌...

第53回日本消化器病学会大会GALT研究の最前線

食餌性分子を介した腸管免疫の制御と免疫疾患との関連
國澤 純(東京大医科学研究所・炎症免疫学)
腸管に存在する免疫システムは脾臓などの全身系免疫システムとは異なる性質を示すことで、生体の最前線における生体防御と恒常性維持における中核的役割を担っている。この腸管免疫システムの有する特徴の一つとして、サイトカインなどの生体内分子を介した相互作用だけではなく、腸内フローラや食餌性成分などの腸内環境因子を介した相互作用もその制御に関わっていることが挙げられる。これまでの多くの基礎的、臨床的報告から腸...

第53回日本消化器病学会大会GALT研究の最前線

Induction siteである腸管膜リンパ節(MLN)に対する自然免疫の調節作用についての検討
蓮井 桂介(弘前大大学院・消化器血液内科学)
【目的】樹状細胞(DC)やTransforming growth factor-β (TGF-β)は免疫寛容と組織修復に重要である.炎症性の刺激や炎症性サイトカインの上昇はDCの成熟とTGF-βの上昇をもたらすとされ,抑制的な効果を示すことも示唆される.我々はIL-8 familyである好中球走化因子ペプチド遺伝子(CINC-1)をラットへ導入し,Th1型免疫応答を示すTrinitrobenzen...

第53回日本消化器病学会大会GALT研究の最前線

NSAID起因性小腸粘膜障害に対するパイエル板の関与
日山 智史(大阪大大学院・消化器内科学)
【目的】近年、NSAID服用者の増加に加え、小腸内視鏡、カプセル内視鏡の出現によりNSAID起因性小腸粘膜障害が注目を集めているが、腸管免疫との関連に関する報告は少ない。パイエル板の腸管内腔側には抗原の取り込みに特化したM細胞が存在し、腸管免疫における免疫誘導の中心的な役割をはたしている。我々はNSAID起因性小腸粘膜障害におけるパイエル板の役割を明らかにするため検討を行った。【方法】(1)8-1...

第53回日本消化器病学会大会GALT研究の最前線

炎症性腸疾患におけるパイエル板微細病変観察の臨床的意義
松島 加代子(長崎大・消化器内科)
【緒言】炎症性腸疾患(IBD)の病態にせまる上でパイエル板(P板)の内視鏡的微細観察は重要となる可能性がある。
【対象と方法】研究1:クローン病(CD)患者18例に対して、通常倍率下でP板の基本形態を分類した(藤倉らの分類)のち、拡大内視鏡観察によってP板のドーム領域表面構造を観察した。また、P 板領域内での特異的病変や微細病変の有無を検討した。同部の狙撃生検を行って、走査電顕による超微細形...

第53回日本消化器病学会大会GALT研究の最前線

カテコールアミンによる小腸上皮細胞間リンパ球のサイトカイン産生制御
高柳 泰宏(浜松医大・1内科)
【目的】腸管上皮間リンパ球(Intraepithelial lymphocyte: IEL)は腸管粘膜免疫の最前線に位置するGALTの効果装置である。腸管には多数の交感神経線維が粘膜固有層まで分枝する。カテコールアミンは交感神経の主要な神経伝達物質だが、免疫系制御にも関与し、末梢血リンパ球ではβ2受容体を介してTh1系サイトカイン産生の抑制に働くことが報告されている。本研究では、ノルエピネフリン(...

第53回日本消化器病学会大会GALT研究の最前線

潰瘍性大腸炎およびCrohn病のabberant lymphocyte migrationに対するautotaxinの役割
八月朔日 秀明(防衛医大・2内科)
【目的】Autotaxin(ATX)は、生理的なlymphocyte migrationに関与することが報告されているが、炎症性腸疾患のabberant lymphocyte migrationでのATXの関与は報告されていない。我々は、Crohn病と潰瘍性大腸炎(UC)患者、および腸炎モデルマウスにおいてATXの発現を比較検討した。【方法】Crohn病、UCの患者を対象とし、活動性および非活動性...

第53回日本消化器病学会大会GALT研究の最前線

アレルギー惹起性thymic stromal lymphopoietin (TSLP)の消化管自己免疫疾患での役割
西浦 尚代(京都大大学院・消化器内科学, 京都大次世代免疫制御を目指す創薬医学融合拠点)
IL-7に類似したTSLPは、主に上皮細胞から分泌されるサイトカインであり、Th2型免疫応答を誘導し、喘息やアトピー性皮膚炎に加え、アレルギー性鼻炎や食物アレルギー下痢症などの病態形成に関わり、さらに、好酸球性食道炎患者の炎症粘膜局所において発現が増強していることも報告されている。一方、腸管上皮でのTSLP発現は、腸管での免疫恒常性維持に寄与し、腸管感染症において感染排除のためのTh2免疫応答に働...

第53回日本消化器病学会大会GALT研究の最前線