セッション

検索結果は13件です。

司会の言葉
三浦 総一郎(防衛医科大学校)
 腸疾患の病態形成には,免疫的な変化だけでなく,腸内細菌や食物抗原と関連した腸内環境の変化が大きく関与している.最近の基礎研究の進歩から,腸上皮幹細胞が同定され,Th1・Th17細胞の可塑性やInnate lymphopid cellsの病態への関与が明らかとなった.臨床の面では,小腸内視鏡の導入により小腸病変の診断のみならず組織学的な解析も可能となり,一方で,抗TNF‐α製剤に対す...

第100回日本消化器病学会総会腸疾患病態研究の進歩―免疫と腸内環境―

小腸生検検体を用いたクローン病病態解析
林 亮平(東京医科歯科大学消化器病態学)
【背景・目的】近年,カプセル内視鏡・バルーン内視鏡を用いた全小腸の観察が可能となったが,小腸疾患の病態に関する解析は進んでいない.小腸に病変を来すクローン病は生検診断率が低く確定診断に苦慮することが少なくない.欧米ではゲノムワイド関連解析により疾患感受性遺伝子が同定されたが,本邦では合致しないことから疾患感受性遺伝子に依存しない病態の存在が予想される.そこで我々は小腸粘膜を直接解析することがクロー...

第100回日本消化器病学会総会腸疾患病態研究の進歩―免疫と腸内環境―

Vitamin Aの腸粘膜バリアー機能に及ぼす影響
平賀 寛人(弘前大学消化器血液内科学講座)
【目的】食による消化管の生理機能維持機構の解明は,健康増進目的のみならず,炎症性腸疾患の病態解明においても重要である.脂溶性ビタミンであるVitamin Aは腸管免疫維持に不可欠な役割を果たしており,今回我々は粘膜バリアーにおける機能調節の分子機構を明らかにし,Vitamin A及び脂肪摂取の意義を示すことを目的とした.【方法】Vitamin A欠乏(Vitamin A-deficient:VAD...

第100回日本消化器病学会総会腸疾患病態研究の進歩―免疫と腸内環境―

ヒト腸管粘膜固有層におけるCD14陽性CD163low細胞の解析
西村 潤一(大阪大学消化器外科)
【目的】近年,Th17細胞が炎症性腸疾患に代表される自己免疫疾患の病因と深くかかわることが明らかになっている.マウス腸管においてTh17細胞の誘導や炎症抑制に関わる自然免疫系細胞の報告は多くあるが,ヒト腸管における自然免疫系細胞の役割は解析途上である.ヒト腸管におけるTh17細胞を誘導する自然免疫系細胞を同定し,機能解析することを目的とした.【方法】大腸癌手術症例の切除検体より非癌部を採取しこれを...

第100回日本消化器病学会総会腸疾患病態研究の進歩―免疫と腸内環境―

炎症性腸疾患におけるmucin1の機能解析
西田 淳史(滋賀医科大学消化器内科)
【目的】Bacterial productであるATPや,segmented filamentous bacteriaなどが腸炎においてTh17細胞を誘導することなど,炎症性腸疾患における腸内細菌の働きが解明されてきている.一方,宿主側のメカニズムについては明らかになっていない.【方法と結果】Interleukin(IL-)22は様々な細胞から誘導される.このIL-22が大腸上皮に作用し,STAT...

第100回日本消化器病学会総会腸疾患病態研究の進歩―免疫と腸内環境―

NFIL3欠損マウスにおける自然発症腸炎の免疫学的発症機序
小林 拓(北里大学北里研究所病院炎症性腸疾患先進治療センター)
【背景】NFIL3(nuclear factor,IL-3 regulated)は多様な免疫学的機能を持った転写因子である.ミエロイド系細胞において,NFIL3はIL-10によって誘導され,IL-12p40の抑制因子であることが見出された(Kobayashi T et al. J Immunol 2010).NFIL3はヒト炎症性腸疾患の感受性遺伝子のひとつであることも最近新たに報告された(Jos...

第100回日本消化器病学会総会腸疾患病態研究の進歩―免疫と腸内環境―

消化管マクロファージのサイトカイン産生における腸内環境の影響
栗原 千枝(防衛医科大学校内科学)
【目的】クローン病では,罹患臓器により治療反応性が異なることが知られるが,その理由は明らかではない.その病態にマクロファージ(Mφ)などの自然免疫を司る免疫細胞が主要な働きをしていることが知られるが,Mφは分化する環境により炎症性,抗炎症性などその機能が変化する.消化管においては腸内環境がMφの反応性に大きく影響を与えると考えられ,罹患臓器の違いによる疾患特性を規定する因子である可能性がある.我々...

第100回日本消化器病学会総会腸疾患病態研究の進歩―免疫と腸内環境―

制御性B細胞による腸管免疫の機能維持とその破綻による腸炎発症機序の検討
岡 明彦(島根大学内科学講座第二)
【目的】腸管免における制御性B細胞(IL-10産生性Breg)の機能は十分に明らかにされていない.これまでに我々は,クローン病(CD)モデルマウス(SAMP1)の病態にBregの機能異常が関連する可能性を報告してきた.今回は,マウスモデルとCD患者サンプルを用いたその後の検討から得られた結果を治療応用も踏まえて報告する.【方法と結果】<マウス>1.腸管B細胞のIL-10産生と細胞表面マーカーの解析...

第100回日本消化器病学会総会腸疾患病態研究の進歩―免疫と腸内環境―

炎症性腸疾患に対する炭酸脱水酵素1を治療標的抗原とした経口免疫寛容療法の開発
八木 専(愛媛大学大学院消化器・内分泌・代謝内科学)
【目的】経口免疫寛容療法は炎症性疾患や自己免疫性疾患の治療に応用できる可能性が示唆されている.演者らは炎症性腸疾患への関与が想定されているcecal bacterial antigen(CBA)についてプロテオーム解析を行い炎症性腸疾患の主要抗原として炭酸脱水素酵素1(CA1)を同定した.また,CA1の経口投与によりCD4+CD25-T細胞移入SCIDマ...

第100回日本消化器病学会総会腸疾患病態研究の進歩―免疫と腸内環境―

炎症性腸疾患患者腸内で低下するFusicatenibacter saccharivoransによるIL-10産生誘導能についての検討
竹下 梢(慶應義塾大学消化器内科)
【背景】近年,腸内細菌が炎症性腸疾患(IBD)の発症や病態への関与を示唆する研究が相次いで報告されている.IBD患者ではClostridium coccoides groupが減少しているなど,特定の細菌について疫学的挙動は明らかになってきているが,各菌種がIBDの病態に与える影響については未だ不明な点が多い.今回我々は,活動期IBD患者腸内細菌叢で偏性嫌気性グラム陽性桿菌であるFusicaten...

第100回日本消化器病学会総会腸疾患病態研究の進歩―免疫と腸内環境―

腸管内の短鎖脂肪酸はGPR43を介して単核球からのサイトカイン産生を制御し腸炎を抑制する
野田 久嗣(愛知医科大学消化器内科消化管部門)
【背景】腸内細菌により産生される短鎖脂肪酸は腸管免疫を促進するとされるが,そのメカニズムは明らかでない.近年,短鎖脂肪酸の受容体(G protein-coupled receptor(GPR)41,GPR43)が同定され,細胞表面に存在するGPRを介した作用機序が注目されている.【目的】短鎖脂肪酸がGPR43を介して腸管免疫をどのように制御するか明らかにする.【方法】GPR43 knock out...

第100回日本消化器病学会総会腸疾患病態研究の進歩―免疫と腸内環境―

Lactbacillus brevisはCD103+樹状細胞分化制御を介して腸管炎症を抑制する
高木 智久(京都府立医科大学消化器内科)
【背景】腸管関連リンパ組織に特徴的に存在する樹状細胞として同定されたCD103+樹状細胞は,TGF-β産生を介して制御性T細胞を誘導し,免疫応答抑制性に作用することが知られている.一方,CD103-樹状細胞は,抗原刺激応答性に炎症性サイトカインを産生し,炎症促進性に作用するため,腸管炎症制御にはCD103+/CD103-<...

第100回日本消化器病学会総会腸疾患病態研究の進歩―免疫と腸内環境―

潰瘍性大腸炎に対する抗菌薬多剤併用療法の治療効果と粘膜細菌叢の変化
大草 敏史(東京慈恵会医科大学附属柏病院消化器・肝臓内科)
【目的】潰瘍性大腸炎(UC)をはじめ炎症性腸疾患の原因として腸内細菌が注目されてきている.われわれはUCの原因の1つとしてFusobacterium varium(F.varium)に注目し,このF.variumを標的とした抗菌薬多剤併用療法(ATM療法)の二重盲検試験を実施し,その有効性について報告してきた.今回,ATM群と偽薬投与群における治療前後の大腸粘膜細菌叢の...

第100回日本消化器病学会総会腸疾患病態研究の進歩―免疫と腸内環境―