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司会の言葉
 
 2007年のACTS-GCとSPIRIT試験の公表以来,S-1による術後補助療法と進行再発胃癌に対するS-1/CDDP療法が,本邦における胃癌の標準的治療として確立した.その後,2009年のToGA study試験の結果からXeloda/CDDP/Trastuzumab療法がHER2陽性例の治療として認められ,胃癌にも分子標的薬の時代が到来した.しかし,解決すべき課題は多く,標準的な二次治療の確...

第99回日本消化器病学会総会胃癌化学療法の新しい知見

胃癌二次治療における標準治療の確立と今後の展開
廣中 秀一(千葉県がんセンター臨床試験推進部)
進行胃がんに対する二次治療の臨床試験は,1985年にEORTCからシスプラチンの第II相試験が初めて報告され,その後2000年代には多数の報告がなされている.一方,第III相試験は現在までに4試験が報告された.2009年にドイツAIOグループからBest Supportive Care(BSC)とイリノテカンの第III相試験が報告され,イリノテカンの全生存期間における優越性が示されたが(2.4ヶ月...

第99回日本消化器病学会総会胃癌化学療法の新しい知見

胃癌腹膜播種の現状と新しい治療法の開発
沖 英次(九州大学消化器・総合外科)
【はじめに】胃癌は各種再発形式で異なる転帰を持つことが明らかであるが,これまでの臨床試験では再発転移形式により治療対象が限定されていない.したがってそれぞれの転移臓器に適切な治療選択という考え方は行われておらず,全身化学療法のみが有効な治療手段とされてきた.【腹膜播種治療の現状】現在の切除不能胃癌の標準的化学療法は,転移臓器にかかわらず,HER2 statusによりS-1/CDDP(SP)療法もし...

第99回日本消化器病学会総会胃癌化学療法の新しい知見

腹膜播種陽性胃癌に対する腹腔内投与併用化学療法
石神 浩徳(東京大学外来化学療法部)
腹膜播種陽性胃癌に対して,標準治療である全身化学療法のみでは限界があり,治療成績を向上させるためには,効果の高い局所療法である腹腔内化学療法と胃切除を付加した集学的治療の開発が急務である.Paclitaxel(PTX)は腹腔内投与により腹腔内濃度が高く維持されるという薬物動態的特性を有し,卵巣癌では既に第III相試験により有用性が確認されている.胃癌でも治療効果が報告されてきたが,未だコンセンサス...

第99回日本消化器病学会総会胃癌化学療法の新しい知見

切除不能進行/再発胃癌に対するS-1+Cisplatin分割療法の第II相臨床試験:HGCSG0702―安全性の解析報告―
結城 敏志(北海道大学病院消化器内科)
背景:切除不能進行/再発胃癌に対する初回化学療法ではSPIRITS試験の結果よりS-1+Cisplatin(CDDP)(SP療法)が標準化学療法の一つとして選択されている.しかし,多くの施設ではCDDP 60mg/m2の投与時にハイドレーション目的の入院を要し,外来投与可能な治療法開発が望まれている.そこで北海道消化器癌化学療法研究会(HGCSG)では多施設共同第II相臨床試...

第99回日本消化器病学会総会胃癌化学療法の新しい知見

進行胃癌に対するDocetaxel+Cisplatin+S-1併用化学療法の効果予測因子の開発
三井 康裕(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部消化器内科学)
【目的】我々はこれまで切除不能進行胃癌を対象にDocetaxel+Cisplatin+S-1(DCS)併用療法の第I相試験(Br J Cancer,2007)及びII相試験(Cancer Chemother Pharmacol,2009)を行い,高い奏効率とdown stage率が得られることを報告した.また,胃癌stageIII症例を対象にDCS療法のneoadjuvant療法の有効性を調べる第...

第99回日本消化器病学会総会胃癌化学療法の新しい知見

胃癌周術期補助化学療法の進歩~S-1+αの可能性~
掛地 吉弘(神戸大学食道胃腸外科)
胃癌に対する術後補助化学療法は,ACTS-GC試験の結果よりT3(SS)N0を除くStage II/IIIに対するS-1の1年間投与が標準療法となっている.ACTS-GC試験でのStage II,IIIA,IIIBの5年生存率はS-1投与群で各々84.2%,67.1%,50.2%であり,StageIIIA,IIIBでは再発率が高く,より再発を抑えるためにS-1単独投与よりも強力な化学療法が臨床試験...

第99回日本消化器病学会総会胃癌化学療法の新しい知見

胃癌化学療法における個別化医療の可能性
中島 貴子(聖マリアンナ医科大学)
 進行・再発胃癌に対する化学療法における個別化医療は開発されつつあるが,肺癌や乳癌に比し遅れていると言わざるを得ない.本邦における胃癌の個別化はおおきく二つの方向で開発が進んでいる.臨床病理学的特徴に基づく個別化と,分子生物学的マーカーによる個別化である.低・未分化型腺癌と分化型腺癌の組織型の違いは,転移臓器や病態の違いをもたらす.S-1もしくはS-1+cisplatinは低・未分化型腺癌により強...

第99回日本消化器病学会総会胃癌化学療法の新しい知見