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司会の言葉
 
 2010年7月改正臓器移植法が施行され,年間数十例の脳死肝移植が施行されるようになった.医学的緊急性が高い劇症肝炎症例などで移植を受けるチャンスが増加したものの,肝硬変症例などの末期肝不全における脳死肝移植待機期間は依然長い.法改正から2年経過し,我々の診療は何か変わったのかを把握し,今後どのような取り組みが必要なのか検討する必要がある.劇症肝炎症例で脳死肝移植を受ける可能性が高まったことにより...

第99回日本消化器病学会総会改正臓器移植法施行後の肝移植の現状と展望

神戸大学における臓器移植法改正後の肝移植の現状
武部 敦志(神戸大学付属病院肝胆膵外科学)
 臓器移植法の改正は脳死ドナー数の増加に一定の効果を示し,脳死全肝移植は生体部分肝移植とともに末期肝不全症例への治療選択肢の一つとなった.一方で提供されたドナー数は本邦と同様の臓器提供システムを持つ諸外国と比して極端に少なく,現在もなお生体部分肝移植が肝移植医療の中心である.当院では2010年7月より17例に脳死移植登録を行った(劇症肝炎2例・B型肝炎急性増悪1例・生体肝移植グラフト機能不全1例・...

第99回日本消化器病学会総会改正臓器移植法施行後の肝移植の現状と展望

脳死肝移植登録患者の経過―劇症肝炎10点以前と以後
高木 章乃夫(岡山大学消化器内科)
【目的】2010年7月の臓器移植法改正から2年,2011年9月の修正により劇症肝炎・グラフト不全が10点,重症肝硬変が8点と優先度に差がついてから1年が経過した.修正の前後で移植に辿り着くことが出来た症例と,辿り着けなかった症例がどのように変化したかを明らかにし,現状の制度下での末期肝不全脳死登録患者に対する対応を検討する.【方法】当院で2010年7月の法改正以降に脳死登録申請を行った32症例の経...

第99回日本消化器病学会総会改正臓器移植法施行後の肝移植の現状と展望

当院における脳死肝移植症例の検討
永野 浩昭(大阪大学消化器外科)
本邦における脳死肝移植症例数は,改正臓器移植法の施行以後に若干増加したものの,依然として待機患者数は多く,提供者不足は顕著である.現状での問題点を明らかにするため,当院における脳死肝移植待機状況および肝移植施行症例について検討した.【対象】脳死肝移植登録数は2000年の初登録から2012年8月まで(約12年間)で,のべ212名であった.脳死肝移植施行例は,法改正(2010年7月)以前での約10年で...

第99回日本消化器病学会総会改正臓器移植法施行後の肝移植の現状と展望

当院における脳死肝移植施行症例,および脳死肝移植登録待機症例の検討
石上 雅敏(名古屋大学消化器内科学)
【背景】2010年7月の改正臓器移植法運用開始以来,改正前の14年間でわずか67例の脳死下肝臓提供が,改正後の2年余りで98例と飛躍的な増加を遂げた.それに伴い,肝不全患者の治療法選択にも影響を与えていると考えられる.今回我々は当院での脳死肝移植施行症例,および登録待機症例につき検討を行い,具体的な事例を挙げながら治療法の変化,および現状における問題点について考察する.【患者および背景】2003年...

第99回日本消化器病学会総会改正臓器移植法施行後の肝移植の現状と展望

脳死肝移植の現状と展望
田村 純人(東京大学病院肝胆膵外科・人工臓器移植外科)
法改正前には日本全体で年平均約5例であった脳死肝移植症例数は改正後増加し,2011年中には41例の脳死肝移植が実施された.劇的な飛躍ではあるものの,欧米や隣国韓国に及ばない現状は残念ながら大きくは変わっていない.同年の韓国の症例数を人口比で調整し,我が国に当てはめてみた場合,年間750例程度となる.どれほどの期間を要するか様々な要因が影響すると思われるが,日本での脳死移植医療を推進していく上で達成...

第99回日本消化器病学会総会改正臓器移植法施行後の肝移植の現状と展望

改正臓器移植法施行後の肝移植の現状と今後の課題
海道 利実(京都大学肝胆膵移植外科学)
【目的】改正臓器移植法施行後の肝移植の現状と今後の課題につき検討した.
【方法】対象は当科にて法改正以降2012年8月までの間に脳死肝移植を施行した17例.患者背景,緊急度,待機日数,生存率等につき検討した.連続変数は中央値で表示した.
【結果】1)脳死肝移植数(全国):法改正直後は増加したが,半期別に見ると徐々に減少し,2012年後半は再び増加.2)患者背景:成人(18歳以上)16例...

第99回日本消化器病学会総会改正臓器移植法施行後の肝移植の現状と展望

脳死肝移植待機リストにおける劇症肝炎患者の現状:改正臓器移植法の影響
玄田 拓哉(順天堂大学静岡病院消化器内科)
【目的】劇症肝炎患者には脳死待機リストでは最も高いpriorityが与えられている.改正臓器移植法実施後のドナー数増加は,待機リスト上位にある劇症肝炎患者の転帰に変化をもたらしたと推測されることから,その現状を検討した.【方法】1997年10月から2011年8月末までに日本脳死肝移植適応評価委員会において評価を受け,臓器移植ネットワークにレシピエント候補として登録された18歳以上の劇症肝炎患者14...

第99回日本消化器病学会総会改正臓器移植法施行後の肝移植の現状と展望

脳死肝移植数増加に向けた対策に関する検討
吉住 朋晴(九州大学消化器・総合外科)
【はじめに】改正臓器移植法施行後,脳死肝移植数は増加したが,未だに生体移植に頼らざるを得ない現状である.【目的】脳死移植数が増加しない原因を探り,更なる症例数増加に向けた対策を検討する.【対象】1)医学生73名,看護師54名,歯科医師25名,医師24名,事務職13名,その他13名.年齢20歳代―60歳代.男女比:33%:67%.2)2010年7月以降に我が国で脳死肝移植を施行された92例.【方法】...

第99回日本消化器病学会総会改正臓器移植法施行後の肝移植の現状と展望