セッション

検索結果は10件です。

司会の言葉
屋嘉比 康治(埼玉医科大学総合医療センター消化器・肝臓内科)
 視床下部を中心とした中枢には栄養・代謝統御や消化管機能調節を行う神経ペプチドが豊富に存在する.一方,消化管は,第 2 の脳ともいわれ,多数の消化管ペプチドが産生・遊離され,生体機能調節に重要な役割を演じている.例えば,成長ホルモン分泌促進因子受容体の内因性リガンドであるグレリンは,胃で主に産生・分泌されるが,成長ホルモン遊離以外に,摂食亢進や消化管運動促進作用も有している.また,ソマトスタチンも...

第100回日本消化器病学会総会FGIDの病態生理学と脳腸相関研究の進歩

CRF-関連ペプチド,ウロコルチン1脳室内投与の食欲抑制作用機序に関する研究
魯 昭輝(帝京大学ちば総合医療センター共同研究室)
機能性消化管障害(FGID)の発症機序において心理的ストレスは重要な発症要因である.一般的にストレス発症時には視床下部からCRFが分泌され視床下部-下垂体-副腎を介する内分泌系と交感神経系を刺激することによってストレス反応が形成される.今回,FGID発症のメカニズムを明らかにするためにCRF-関連ペプチド,ウロコルチン1(UCN1)をラット脳室内に投与して,食欲と胃運動,グレリン分泌の変化を検討し...

第100回日本消化器病学会総会FGIDの病態生理学と脳腸相関研究の進歩

LPS前投与urocortin1脳槽内投与ラットにおける消化管粘膜局所の炎症及び胃排出能と小腸通過時間の比較検討
山脇 博士(日本医科大学消化器内科学)
【目的】消化管運動能は,脳内peptideや粘膜局所の炎症などのいわゆる,脳腸相関による影響を受けている.一方で感染後FDといった感染を契機とした機能性消化管障害が注目されているが,その詳細は不明である.今回我々は,LPSを投与したラットにurocortin1を脳槽内投与し,胃排出能及び小腸通過時間と粘膜局所の炎症性変化を比較検討し,興味深い結果を得たので報告する.【方法】SDラットを用いてLPS...

第100回日本消化器病学会総会FGIDの病態生理学と脳腸相関研究の進歩

ストレスによる胃機能異常にはグレリンシグナルの異常が関与する
武藤 修一(北海道医療センター消化器内科)
【目的】ディスペプシア症状が,ストレスによって誘発されたり増悪したりすることはよく知られている.この現象にはストレスによる胃機能の変化が関与すると考えられているが,胃運動を強力に促進するグレリンの役割は明確にされていない.本研究は,身体的な拘束ストレスおよび心理社会的な新奇環境ストレスにおいて,胃機能低下にグレリンシグナルの異常が関与するか否かを明らかすることを目的とした.【方法】拘束ストレス負荷...

第100回日本消化器病学会総会FGIDの病態生理学と脳腸相関研究の進歩

機械刺激感受性のあるTRPV2イオンチャネルを欠損させたマウスの作出及び,その胃排出異常の検討
三原 弘(富山大・3内科)
【背景/目的】我々は機械刺激感受性のあるTRPV2イオンチャネルが,マウスでは全消化管の抑制性運動神経に発現しており,胃では適応性弛緩,排出能に,小腸では移動に関与していることを報告してきた(Mihara et al. J Neurosci 2010 & Am J Physiol 2013).FGIDの病態へのTRPV2の機能異常の関与が推察されるが,固体レベルでのTRPV2イオンチャネルの機能解...

第100回日本消化器病学会総会FGIDの病態生理学と脳腸相関研究の進歩

松果体ホルモン,メラトニンのストレス応答への関与と臨床応用の可能性
加藤 公敏(日大板橋病院臨床研究推進センター)
胃酸分泌や消化管運動など様々な消化管の機能が,内分泌機能だけでなく概日リズムによっても制御されていることが明らかにされつつある.松果体ホルモンのメラトニンは,生体の明-暗周期による概日リズムの調節に関与し,抗酸化作用をはじめ様々な作用があり,脳腸相関における重要なメディエーターとして,ストレスを介した消化管病変への病態生理学的役割が示されている.我々は,ラットにおける23℃の水浸拘束ストレス(4時...

第100回日本消化器病学会総会FGIDの病態生理学と脳腸相関研究の進歩

内視鏡的メントール投与後の前庭部運動評価
楠 裕明(川崎医科大学総合臨床医学)
近年,鎮痙剤を使用しない上部消化管内視鏡(内視鏡)検査が行われるようになり,検査開始後にメントールを散布することがある.今回われわれは,鎮痙剤を使用しない内視鏡施行中に観察された,いくつかの肉眼的所見を記録し,胃十二指腸運動機能の評価を試みた.また,散布チューブを用いて0.8%メントール(ミンクリア)を前庭部と十二指腸球部に散布し,前庭部収縮運動の変化を観察した.【対象】内視鏡検査を施行した12例...

第100回日本消化器病学会総会FGIDの病態生理学と脳腸相関研究の進歩

H. pylori感染を有する機能性ディスペプシア患者における菌体由来因子と症状の関連性の検討
松崎 潤太郎(慶應義塾大学病院予防医療センター)
【目的】H. pylori感染を有する機能性ディスペプシアは,約10人に1人の割合でH. pylori除菌治療により改善することが知られている(Aliment Pharmacol Ther 36:3, 2012).このことはH. pyloriの一部にディスペプシアを誘導する因子を持つ菌株が存在する可能性を示唆している.Luiらは機能性ディスペプシア患者では...

第100回日本消化器病学会総会FGIDの病態生理学と脳腸相関研究の進歩

FGIDにおける小腸・大腸運動評価の意義
洲崎 文男(横浜南共済病院消化器内科)
【目的】我々は超音波法と画像解析を組み合わせて腸管運動を数値化する手法を考案した.まずCTボリュームナビゲーション機能を持つ超音波装置を用い,客観的に部位を同定して腸管運動を記録した.次いでParticle Imaging Velocimetryという手法で腸管運動をベクトル化し,乱流解析を行い乱流エネルギーから運動の強度を,渦度から運動の方向を評価した.この手法でFDおよびIBSにおける小腸・大...

第100回日本消化器病学会総会FGIDの病態生理学と脳腸相関研究の進歩

炎症性腸疾患患者に合併したIBS様症状
富田 寿彦(兵庫医科大学内科学上部消化管科)
【背景】クローン病(CD)や潰瘍性大腸炎(UC)などの炎症性腸疾患(IBD)患者が寛解状態であっても過敏性腸症候群様(IBS)症状が残存し,その要因として微小炎症の残存が症状を誘発している可能性が示唆されている.これまで本邦での多数例や対照群と比較したIBDのIBS様症状の頻度やQOL,精神症状に与える影響はほとんどない.【対象と方法】2011年4月から2012年12月までに当院を受診したIBD患...

第100回日本消化器病学会総会FGIDの病態生理学と脳腸相関研究の進歩