セッション

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司会の言葉
松井 敏幸(福岡大学筑紫病院消化器内科)
 IBDの治療は最近進歩が著しい.潰瘍性大腸炎(UC)とクローン病(CD)両者において新規治療の導入とその実践が定着しつつあるがその選択には我が国の事情を考慮する必要がある.中でも生物学的製剤によってIBDの自然史が変わったとの実感がある.しかし,その長期効果を評価するためには二次無効の対策(その予知や追加治療)や病変の進展による外科治療の時期の適切な判定が必要である.各治療の目標のうち,腸管の粘...

第100回日本消化器病学会総会IBDの治療;Real practiceにおける選択とその根拠

クローン病に対する内科治療選択とその根拠
平井 郁仁(福岡大学筑紫病院消化器内科)
クローン病(以下,CD)には根治療法がなく,難治例も存在するが,抗TNF-α抗体の登場によって良好な経過を示す症例も少なくない.抗TNF-α抗体への反応性が個々の症例の自然史を規定しているといっても過言ではない.したがって,CDの治療選択を考慮する際には,まず抗TNF-α抗体の適応か否かを見定める必要がある.当科では,難治化の要因すなわち若年発症,診断時病型(小腸大腸型),診断時の高活動性,高度の...

第100回日本消化器病学会総会IBDの治療;Real practiceにおける選択とその根拠

インフリキシマブの早期導入と免疫調節薬の併用はクローン病の手術を減少させる
那須野 正尚(札幌厚生病院IBDセンター)
【目的】クローン病(CD)は慢性に進行し腸管合併症をきたす疾患であり,10年でおよそ50%の患者が初回手術を経験するとされる.抗TNF-α抗体製剤の登場により,寛解導入・長期寛解維持・粘膜治癒が得られることが明らかになりつつあるが,手術の減少や自然史改善に関する詳細な報告は少ない.今回我々はインフリキシマブ(IFX)により治療されたCDにおける累積手術率を検討し,手術の減少に寄与する背景因子を検索...

第100回日本消化器病学会総会IBDの治療;Real practiceにおける選択とその根拠

生物学的製剤二次無効と対策(治療薬物モニタリングを含めて)
安藤 朗(滋賀医科大学大学院感染応答・免疫調節部門)
2種類の抗TNF-α抗体の効果を最大限にひきだす投与法を考える必要がある.Infliximab(IFX)トラフ値とanti-infliximab antibodies(ATI)濃度からクローン病の病態を解析した.ATIのカットオフ値を10.2μg/ml,IFXトラフ値のカットオフ値を1μg/mlに設定すると,ATI陽性,トラフ値カットオフ以下の患者の多くが二次無効となりIFXの効果減弱例と判断され...

第100回日本消化器病学会総会IBDの治療;Real practiceにおける選択とその根拠

活動性クローン病治療における抗TNF-α抗体製剤インフリキシマブからアダリムマブへの変更のタイミングについての検討
竹内 健(東邦大学医療センター佐倉病院消化器内科)
【背景・目的】現在,本邦ではクローン病(CD)の治療にキメラ型モノクローナル抗体であるインフリキシマブ(レミケード?;IFX)と完全ヒト型であるアダリムマブ(ヒュミラ?;ADA)の2種類の抗TNF-α抗体製剤が使用可能である.IFX維持投与における効果減弱例に対してIFXの増量前にADAへ変更した場合と,増量後に変更が行われた場合の長期間の有効性について...

第100回日本消化器病学会総会IBDの治療;Real practiceにおける選択とその根拠

クローン病治療における外科の役割
東 大二郎(福岡大学筑紫病院外科)
【目的】クローン病(CD)の内科治療は生物学的製剤の登場により飛躍的に進歩したが,根治的治療が確立していない現在,治療体系のなかで外科治療は未だ欠かせない.また長期症例増加とともに癌合併症例が増えており,その診断,治療においても外科的アプローチは必須である.CD治療における外科の役割りとして再手術予防と癌合併症例について検討を行った.【対象・方法】術前後経過については内科治療の進歩に応じた外科治療...

第100回日本消化器病学会総会IBDの治療;Real practiceにおける選択とその根拠

難治性潰瘍性大腸炎(UC)における内科治療の有効性と手術例の予後の検討
齊藤 詠子(東京医科歯科大学消化器内科)
【目的】難治性UCにおける内科治療の有効性と外科治療の適切な選択のための因子を明らかにする.【方法】2010年4月~2013年8月まで当院にて入院加療を要したUC120例(男性72例,女性48例)を対象に1.rescue therapyとしてのカルシニューリン阻害薬(Tac/CyA)及びインフリキシマブ(IFX)の選択に関する背景因子及び治療成績の比較,2.手術例での背景因子,手術時期及び術後予後...

第100回日本消化器病学会総会IBDの治療;Real practiceにおける選択とその根拠

難治性潰瘍性大腸炎に対する経口tacrolimusとinfliximab投与時の寛解導入予測式および決定木の相互比較
中川 倫夫(千葉大学医学部附属病院消化器内科)
【目的】難治性潰瘍性大腸炎(UC)に対する経口tacrolimus(TAC)とinfliximab(IFX)投与時の早期臨床的判断のため寛解導入予測式と決定木を策定し相互比較を行った.【方法】対象は当院にてTACあるいはIFXを導入された難治性UC症例のうち,最低2週間まで初期治療継続,3ヶ月後まで経過観察可能であった症例.3ヶ月後のLichtiger score(以下LS)≧5,あるいは3ヶ月後...

第100回日本消化器病学会総会IBDの治療;Real practiceにおける選択とその根拠

難治性潰瘍性大腸炎に対する治療戦略および粘膜治癒の意義
長沼 誠(慶應義塾大学医学部内視鏡センター)
【目的】難治性潰瘍性大腸炎(UC)に対する治療法としてタクロリムス(Tac)およびインフリキシマブ(IFX)の有用性が報告されているが,両者の使い分けに関する研究は多くない.また潰瘍性大腸炎の内視鏡活動度と長期予後との関連について多くの症例を解析した研究は多くない.今回我々は1)UCに対するTac,IFXの治療成績,粘膜治癒率およびその予後,2)臨床的寛解例における内視鏡的活動度と長期予後の関係に...

第100回日本消化器病学会総会IBDの治療;Real practiceにおける選択とその根拠

潰瘍性大腸炎合併low grade dysplasiaに対する治療選択
小澤 毅士(東京大学腫瘍外科)
【目的】潰瘍性大腸炎(UC)は患者数の増加,罹患期間の長期化に伴いUC合併dysplasiaの増加が問題となっている.Dysplasiaの取り扱いは,一般的にhigh grade dysplasia(HGD)を認めた場合は手術が勧められているが,low grade dysplasia(LGD)の扱いは一定していない.当科における内視鏡的生検でLGDと診断された症例を検討し,LGDの取り扱いについて...

第100回日本消化器病学会総会IBDの治療;Real practiceにおける選択とその根拠

IBDの手術と術後治療
小金井 一隆(横浜市立市民病院外科)
【潰瘍性大腸炎】手術例数は,当科の過去6年では年間70例以上あり,減少していない.標準術式は大腸全摘,回腸嚢肛門あるいは肛門管吻合術である.当科では後者を標準とし,1992年以降の同術式施行例数は970例を超え,近年は70%以上で一期手術を施行している.colitic cancerまたはdysplasiaが過去4年は全手術例の15%以上と増加し,昨年は25%であり,これらには,大腸全摘,直腸粘膜抜...

第100回日本消化器病学会総会IBDの治療;Real practiceにおける選択とその根拠