- 司会の言葉
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荒川 哲男(大阪市立大学消化器内科学)
小腸・大腸の粘膜傷害を惹起する代表的薬剤として非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)が知られている.NSAIDsによる小腸粘膜傷害は1980年代にその存在が報告され,小腸内視鏡検査の普及に伴い臨床の場で大きな問題となっている.しかしながら,NSAIDsの種類を含めた本症の危険因子,予防の必要性とその方法などに関しては一定の結論は得られていない.一方,小腸粘膜傷害の発生機序に関しては,小腸上皮に...
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薬剤起因性下部消化管粘膜傷害―基礎と臨床のUpdate―
- 下部消化管出血患者におけるNSAIDsと輸血,院内死亡との関連:Diagnosis Procedure Combination(DPC)データベースを用いた検討
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新倉 量太(東京大学医学部附属病院消化器内科)
【背景】下部消化管出血は,頻度が高く時に重篤な転帰をとりうる.しかし,下部消化管出血患者の死亡に関する大規模な検討は乏しい.DPCデータベースは日本の急性期病院の入院患者の約50%,年間700万人をカバーする大規模なデータベースである.今回,このデータベースを用いて,下部消化管出血患者におけるNSAIDsの使用と入院中の輸血および院内死亡の関連について検討した.【方法】2010年7月から2012年...
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薬剤起因性下部消化管粘膜傷害―基礎と臨床のUpdate―
- NSAIDs起因性小腸・大腸病変症例の臨床像:外科的切除例を含めて
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蔵原 晃一(松山赤十字病院胃腸センター)
【目的】NSAIDs起因性小腸・大腸病変の臨床的特徴を明らかにすること.【方法】1996年以降の最近18年間に当科および関連病院においてNSAIDs起因性小腸ないし大腸病変と診断した症例を対象とし,その臨床的特徴を遡及的に検討した.診断基準は,1.小腸ないし大腸病変の確認,2.NSAIDs(低用量アスピリンを含む)の使用歴の確認,3.他疾患の除外(病理組織学的と細菌学的診断を必須とする),4.NS...
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薬剤起因性下部消化管粘膜傷害―基礎と臨床のUpdate―
- NSAIDs・抗血小板薬による小腸粘膜障害の病理学的検討
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岡田 英理子(東京医科歯科大学消化器病態学)
【目的】非ステロイド性抗炎症薬(non-steroidal anti-inflammatory drugs:NSAIDs)・抗血小板薬は小腸に粘膜障害を引き起こすが,その発症部位や機序は未だ明らかでない.我々はダブルバルーン内視鏡(DBE)にて全小腸を対象にマッピング生検を施行して病理学的に検討し,NSAIDs・抗血小板薬の小腸全部位に対する影響を検討した.【方法】対象はDBEにて全小腸を観察した...
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薬剤起因性下部消化管粘膜傷害―基礎と臨床のUpdate―
- 下部消化管出血における薬剤の影響とリスクreduction
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永田 尚義(国立国際医療研究センター消化器内科)
【目的】抗血栓薬の種類,2剤併用と下部消化管出血との関連の知見は乏しい.さらに,リスク薬剤の中止変更における出血イベントの再発抑制効果は不明である.今回,下部消化管出血の中でも最も多い原因であり,再発率の高い疾患の一つである大腸憩室出血に注目し,薬剤との関連を明らかにする.【方法】対象は,前向きに登録された大腸憩室症(758例)と大腸憩室出血(153例)である.内視鏡当日に9種類のNSAIDs,2...
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薬剤起因性下部消化管粘膜傷害―基礎と臨床のUpdate―
- 大腸憩室出血における関与薬剤の検討―アスピリンとの関連を中心に
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黒澤 学(大阪府済生会中津病院消化器内科)
【目的】上部消化管出血のcommon diseaseである消化性潰瘍のrisk factorや治療は確立しているが下部消化管出血のcommon diseaseである大腸憩室出血の臨床的検討は少ないと言わざるを得ない.今回,大腸憩室出血における薬剤の関与と臨床的特徴を検討した.【方法】対象は過去10年に受診した大腸憩室出血194症例(平均年齢68.7歳,男女比125:69)である.これとランダムに選...
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- 薬剤起因性Collagenous colitis症例の検討
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山崎 健路(岐阜県総合医療センター消化器内科)
【緒言】Collagenous colitis(CC)の発症の原因は未だ不明であり,本邦ではPPI(Proton Pump Inhibitor)に起因する症例が多いとされるが,その他にもNSAIDsやSSRI(Selective Serotonin Reuptake Inhibitor)がCCの発症との関連が強いとされる.また近年では慢性下痢以外の症状で発症する症例の報告も散見される.【対象】当院...
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薬剤起因性下部消化管粘膜傷害―基礎と臨床のUpdate―
- 全身+局所投与によってアスピリン起因性小腸傷害が惹起される
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富田 勉(筑波大学数理物質科学研究科)
【目的】アスピリン(ASP)は抗血小板薬として500万人以上に服用されている.同薬剤は5年以上の服用で30%に何らかの消化管傷害が惹起される薬剤であり,有効な治療法確立が必要である.ASP起因性消化管傷害は,COX阻害によってプロスタグランディン産生が抑制され,防御因子である粘液が不足するために惹起されると理解されてきたが,攻撃因子である胃酸のない下部消化管での消化管出血病変の形成機序は現在もなお...
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- Aspirin起因性小腸粘膜傷害の機序解明ならびに予防薬の検討
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福居 顕文(京都府立医科大学北部医療センター消化器内科学)
背景,目的:低用量aspirin(ASA)起因性小腸粘膜傷害の機序解明ならびに予防薬の確立は急務である.我々は,発症初段階において,小腸上皮細胞内ミトコンドリアで産生亢進するsuperoxideが,tight junction(TJ)構成蛋白質の一つであるZO-1蛋白質を特異的に酸化修飾し,その機能が障害され,上皮細胞透過性の亢進が引き起こされることを明らかにした(Am J Phsiol. Gas...
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- 非ステロイド系抗炎症薬起因性小腸傷害におけるインフラマソームおよびinterleukin-1βの意義
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谷川 徹也(大阪市立大学消化器内科学)
【目的】インフラマソームはcaspase-1前駆体とASC(apoptosis-associated speck-like protein containing a CARD)およびNOD-Like receptor(NLR)で構成される分子複合体でありcaspase-1を活性化させる機能を有する.種々の炎症惹起物質により活性化されたインフラマソームはcaspase-1を活性化させ,...
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薬剤起因性下部消化管粘膜傷害―基礎と臨床のUpdate―
- celecoxib単剤投与はloxoprofenとlansoprazoleの同時投与と比較して小腸潰瘍性病変が少ない:二重盲検無作為化プラセボ比較対照試験
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藤森 俊二(日本医科大学消化器内科学)
【目的】米国でCOX-2選択的阻害剤による小腸病変は通常型NSAIDsより少ないことが報告されている.本邦で頻用されている通常型NSAIDsであるloxoprofen(LOX)と比較してCOX-2選択的阻害剤であるcelecoxib(CEL)が小腸病変を抑制するのか追証することが本試験の目的である.【方法】同意が得られた150例の健常成人に対して,採血等の検診で異常がないことを確認後カプセル内視鏡...
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薬剤起因性下部消化管粘膜傷害―基礎と臨床のUpdate―
- 非ステロイド系消炎鎮痛剤起因性小腸粘膜傷害の病態と,健常ボランティアにおける臨床試験についての検討
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倉本 貴典(守口敬任会病院消化器内科)
【目的】原因不明消化管出血(OGIB)において,カプセル内視鏡(CE)を用いた小腸病変診断の有用性について様々な報告がなされている.NSAIDsは胃のみならず小腸においても粘膜傷害を惹起するが,酸が関与しない小腸粘膜傷害のメカニズムや傷害に対する予防法については未だ明らかでない点が多く,動物実験において酸分泌抑制薬は小腸傷害を悪化させるとの報告もある.低侵襲なCEの普及により高齢患者で診断されるが...
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