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司会の言葉
 
 胆道・膵癌は,唯一外科的切除でのみ根治が期待されるが,実際には切除不能で診断される場合が多く,また根治切除後も高率に再発を認める,いわゆる難治癌の代表である.これら難治癌克服のためには,有効な化学療法が必須であり,切除の補助療法,放射線治療との併用,さらに進行癌に対する治療まで,化学療法に対する期待は大きい.現在,国内外で様々な新しい治療開発が進められている.しかし現実には胆道・膵癌に対する化学...

第99回日本消化器病学会総会胆膵癌の化学療法の最前線

進行胆道癌に対する初回化学療法の実態調査とGemcitabine+Cisplatin+S-1(GPS)併用療法の試み
森脇 俊和(筑波大学消化器内科学)
現在,進行胆道癌に対する化学療法はgemcitabine(GEM)を中心として単剤あるいは併用療法が行われている.我々は実地臨床を調査し,さらに有効なレジメンを開発するためGEM+cisplatin+S-1(GPS)併用療法のPhase Iを開始した.茨城県内5施設で,08年1月~10年12月までに初回化学療法を開始した進行・再発胆道癌の原発部位,初回化学療法の内容,二次化学療法の有無,無増悪生存...

第99回日本消化器病学会総会胆膵癌の化学療法の最前線

多施設研究で可能になった胆道癌化学療法の臨床試験
井岡 達也(大阪府立成人病センター検診部消化器検診科)
【目的】胆道癌は予後不良な疾患で,大規模臨床試験はあまり実施されてこなかった.【方法】単施設で大規模臨床試験を実施することは困難と考えた医師らにより,2010年6月に研究グループが組織された.【成績】胆道癌に対する化学療法の実態を調査するため,18施設から計420例を集積してレトロ解析を行った.切除不能・再発胆道癌に対して,ゲムシタビン+シスプラチンの標準療法(GC療法)にS-1を追加した併用療法...

第99回日本消化器病学会総会胆膵癌の化学療法の最前線

進行胆道癌に対する術後補助化学療法例の成績
味木 徹夫(神戸大学肝胆膵外科)
【目的】進行・再発胆道癌に対する有効な化学療法としてgemcitabine(GEM),S-1,GEM+CDDPが普及したが,術後補助投与の有用性は未だ不明確である.我々はこれまでに胆道癌に対しGEM術後補助投与を行ってきたが,今回その成績を再検討した.またGEM術後補助投与の効果予測におけるGEM代謝酵素発現の有用性の検討を併せて行った.【方法】2002-2011年にGEM術後補助投与を施行した4...

第99回日本消化器病学会総会胆膵癌の化学療法の最前線

進行胆道癌に対する術前加療の意義とその問題点
田端 正己(三重大学肝胆膵・移植外科)
教室では治療成績不良な局所進行あるいはリンパ節転移陽性胆道癌に対し,2007年から術前放射線化学療法(NCRT)を,2009年からは術前化学療法(NAC)を導入した.今回はその治療成績を解析し,進行胆道癌に対する術前加療の意義と問題点について検討した.【対象と方法】術前加療後に切除した進行胆道癌25例(肝門部胆管癌13例,肝内胆管癌10例,胆嚢癌,下部胆管癌各1例).25例の術式は肝切除22例(右...

第99回日本消化器病学会総会胆膵癌の化学療法の最前線

化学療法の補助としての成分栄養療法を併用した膵癌の治療戦略
中村 陽介(名古屋大学医学部附属病院光学医療診療部)
【目的】切除不能膵癌(PC)に対する癌化学療法時に,成分栄養剤(ED)による栄養療法の併施が予後に与える影響について検討した.【方法】2009年4月から2012年6月までに当院を受診したPC72例を対象とした.Gemcitabine(+Erlotinib)による癌化学療法と同時に,栄養療法としてED(エレンタール2包/日)の投与を行った.EDを12週間以上継続したED群とそ...

第99回日本消化器病学会総会胆膵癌の化学療法の最前線

当科における進行膵癌に対する化学療法の試み:1次治療と不応例の治療戦略
中井 陽介(東京大学消化器内科)
【目的】進行膵癌に対する1次治療は,標準治療とされてきたGemcitabine(Gem)だけでなく,FORFIRINOXなど多剤併用療法も期待される一方,2次治療の開発・標準化は依然として進んでいないのが現状である.当科における1次治療と不応例に対する治療戦略について検討した.【対象】1次治療の臨床試験(Gem+S-1 vs. Gemの比較試験[n=106]・Gemcitabine+Candesa...

第99回日本消化器病学会総会胆膵癌の化学療法の最前線

Erlotinibは膵癌治療をどう変えたか?~当院での1年間の使用経験より~
今岡 大(愛知県がんセンター中央病院消化器内科)
<背景>膵癌に対する化学療法において,昨年よりようやく本邦においてもgemcitabine(GEM)とerlotinibの併用療法が承認されるに至った.しかし併用療法による予後延長効果が僅かであることや毒性の問題から,治療の位置づけに関しては未だ議論の分かれるところである.<方法>2011年7月より当院にてGEMとerlotinibの併用による化学療法が行われた切除不能進行膵癌20例を対象に,予後...

第99回日本消化器病学会総会胆膵癌の化学療法の最前線

局所進行切除不能膵癌に対するTS-1併用化学放射線療法第2相臨床試験の長期成績
新地 洋之(鹿児島大学保健学科)
【目的】遠隔転移のない局所進行切除不能膵癌50例(膵頭部癌36例,膵体尾部癌14例)を対象としたTS-1併用化学放射線療法&TS-1維持化学療法の効果と安全性を評価する目的で,第2相臨床試験を施行し以下の長期成績を得た.【方法】体外放射線は1回1.25Gyを朝夕2回の2.5Gy/日,週5日間で4週間,計50Gy施行.TS-1は80mg/m2/日(分2)を3週間投与.維持化学療法として,TS-1 8...

第99回日本消化器病学会総会胆膵癌の化学療法の最前線

局所進行膵癌に対する化学放射線療法および化学療法を中心とした治療戦略
須藤 研太郎(千葉県がんセンター消化器内科)
【目的】近年,化学療法および放射線治療の進歩により,切除不能局所進行膵癌の治療成績は改善しており,生存期間中央値(MST)15ヶ月を越える臨床試験も複数報告される.また,化学療法や化学放射線療法(CRT)が奏効し,根治切除可能となった症例も報告され,conversion therapyとしての役割にも期待される.一方,局所進行膵癌に対する治療はエビデンスの乏しい領域であり,標準的治療は定まっておら...

第99回日本消化器病学会総会胆膵癌の化学療法の最前線

膵癌に対する術前化学療法(GS療法)の有効性評価:大規模比較試験に向けて
元井 冬彦(東北大学肝胆膵外科)
【背景】切除企図膵癌に対する術前治療は有望な可能性があるものの,どのような治療戦略が最適か確立していない.我々は現在,膵癌術前治療の前向きII相試験(UMIN-1504,3402,4148)を行い,その有効性,安全性の検証を進めてきた.【目的】切除企図膵癌に対する術前全身化学療法(NAC)の意義を検証し,また治療レジメン(GEM単剤vs GS療法)別に有効性を比較した.【方法】2004年以降に当科...

第99回日本消化器病学会総会胆膵癌の化学療法の最前線

膵癌切除後補助化学療法における塩酸ゲムシタビン療法とS-1療法の第III相比較試験(JASPAC 01):2013年ASCO-GIの発表から
小西 大(国立がん研究センター東病院上腹部外科)
【背景・目的】2007年にCONKO-001の結果が発表されて以来,膵癌術後補助療法の標準治療は塩酸ゲムシタビン(GEM)であった.膵癌補助化学療法研究グループ(JASPAC)では,GEM療法とS-1療法の第III相比較試験を行い,その中間解析結果を2013年ASCO-GIで発表するので,その詳細を本学会で報告する.【プロトコールの概略】1)目的:膵癌切除後補助化学療法として,GEM療法に対するS...

第99回日本消化器病学会総会胆膵癌の化学療法の最前線