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司会の言葉
 
 日本の人口の高齢化に伴って,従来比較的少なかった消化器疾患が多くみられるようになってきた.また,高齢者は種々の臓器機能の低下を有するだけではなく,消化器臓器以外の臓器にも合併症を有し,結果として,特異な病態を形成する場合がある.このため診断過程ならびに治療において,非高齢者とは違った注意が必要な場合が多い.実際,胃食道逆流症やC型肝炎においても,疾患保有者の年齢が徐々に高齢化しており高齢患者の標...

第99回日本消化器病学会総会高齢者消化器疾患の現状と対策:消化管

高齢者食道癌の臨床的特徴と治療上の問題点および対策に関する検討
千野 修(東海大学消化器外科)
[目的]近年,本格的な高齢化社会を向かえて高齢者食道癌患者も増加している.今回,高齢者食道癌の臨床的特徴および治療上の問題点と対策について検討した.[対象と方法]2004年1月~2007年12月の4年間に教室において治療し5年間経過を追えた455例の食道癌患者を対象とした.75歳以上の87例(19.1%)を高齢者群,75歳未満の368例(80.9%)を非高齢者群に分類し比較検討した.最高齢は88...

第99回日本消化器病学会総会高齢者消化器疾患の現状と対策:消化管

高齢者胃腫瘍におけるESD偶発症の検討
小林 沙代(岡山大学消化器内科)
【背景及び目的】近年の高齢化につれて,高齢者の胃腫瘍を発見する機会が増加しており,高齢者におけるESDも増加している.一般に,ESDの低侵襲性,安全性は確立されてきたが,高齢者におけるESDの有用性,及び偶発症発症の背景を検討する.【対象】2012年6月までに当院にてESDを施行した823症例.【方法】対象群を80歳以上(A群)144症例,70歳以上80歳未満(B群)338症例,70歳未満(C群)...

第99回日本消化器病学会総会高齢者消化器疾患の現状と対策:消化管

当科における高齢者早期胃癌に対するESDの現状
宮澤 正樹(富山県立中央病院内科)
【目的】近年,高齢者に対してもESDが行われるようになっている.当科における高齢者早期胃癌に対するESDの安全性と長期予後について検討した.
【方法】対象は2003年7月~2012年7月に胃ESDを施行した893例.これらを非高齢群(64歳以下),前期高齢群(65~74歳),後期高齢群(75歳以上)に分類し,基礎疾患および抗血栓剤内服の有無,術中の呼吸循環動態変動の有無,一括完全切除率,偶発...

第99回日本消化器病学会総会高齢者消化器疾患の現状と対策:消化管

大腸内視鏡検査からみた高齢者における大腸腫瘍有病率の10年の変遷と内視鏡治療における合併症とその特徴
長田 太郎(順天堂大学消化器内科)
【目的】内視鏡技術の進歩に伴い80歳以上の高齢者に大腸内視鏡検査を行う機会が増加し適応病変があればESD治療も可能である.これまで大腸ESD術後発熱をきたす要因として年齢が関与していることを報告してきた.最近3年間と10年前の大腸内視鏡検査に占める高齢者と腫瘍性病変の割合の変化を解析し,高齢者のESD治療における合併症の特徴について検討した.【方法】1999年から2001年,2009年から2011...

第99回日本消化器病学会総会高齢者消化器疾患の現状と対策:消化管

高齢者大腸癌の特徴と外科的治療成績
小林 宏寿(東京医科歯科大学低侵襲医学研究センター)
【背景】本邦における高齢化に伴い,高齢者大腸癌症例も増加すると考えられるが,その特徴と治療成績は明らかでない.【対象】当科において1991~2007年に手術を施行したStage I~IV大腸癌1572例.【検討1】75歳未満(A群)と75歳以上(B群)の2群間で,臨床病理学的特徴,予後について検討した.【結果1】A群1259例,B群313例における年齢の中央値は62歳,79歳であった.臨床病理学的...

第99回日本消化器病学会総会高齢者消化器疾患の現状と対策:消化管

高齢者に対する腹腔鏡下大腸癌手術の成績―腹腔鏡下手術は本当に低侵襲なのか
市原 隆夫(西宮市立中央病院消化器センター外科)
(はじめに)腹腔鏡下手術は低侵襲が利点とされるが,現状は高リスク,高齢者に対しては回避されている.当科では2007年以後全大腸癌例をLC適応(96%)としているが,以前の全例開腹(OC)適応期間の症例と検討した.(対象,方法)2007年以後のLC327例(開腹移行率1.8%),75歳以上(LCo)67例,以下(LCu)167例を対象とし,2000年1月から2004年12月までのOC234例,75歳...

第99回日本消化器病学会総会高齢者消化器疾患の現状と対策:消化管

高齢者に対する大腸ESDの治療成績と安全性の検討
小薗 雅哉(鹿児島大学大学院消化器疾患・生活習慣病学)
【目的】近年食道・胃腫瘍に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が広く普及し,加えてH24年4月からは大腸ESDが保険収載された.人口の高齢化に伴い,高齢者に対してもESDが施行される機会が増えている.今回75歳以上の高齢者に対するESDの治療成績と安全性を検討した.【方法】2009年1月から2012年7月の期間に当院でESDを施行した大腸腫瘍性病変91例(男性51名,女性40名),94病変(上皮...

第99回日本消化器病学会総会高齢者消化器疾患の現状と対策:消化管

高齢者における出血性胃十二指腸潰瘍の特徴と治療成績
樋口 徹(佐賀大学医学部内科)
【目的】高齢化に伴って合併症を有する症例や多くの薬剤を服用する症例が増加しており,それに伴い高齢者の出血性胃十二指腸潰瘍が問題となっている.今回,高齢者出血性胃十二指腸潰瘍の特徴および止血成績について,当院で経験した症例を中心に検討した.【対象】1999年1月1日より2011年12月31日の13年間に内視鏡的止血術を施行した461例を対象に検討した.男性327名,女性134名で,平均年齢は62.9...

第99回日本消化器病学会総会高齢者消化器疾患の現状と対策:消化管

高齢者における消化性潰瘍と心因性ストレスとの関連―東日本大震災前後の集計結果から―
飯島 克則(東北大学消化器内科)
大きな自然災害では,地域住民に同時に広く心因性ストレスが加えられるため,災害前後での消化性潰瘍の成因を調べることは,人における心因性ストレスと消化性潰瘍の関連を調べる貴重な機会となる.我々は,宮城県内の主要7病院での東日本震災前後に発症した消化性潰瘍を集計し,H. pylori(HP)感染やNSAIDs薬剤服用などのない(non-HP,non-NSAIDs),純粋な心因性ストレス性潰...

第99回日本消化器病学会総会高齢者消化器疾患の現状と対策:消化管

高齢者における感染性急性胃腸炎の現実と課題―明らかになった混合感染・重複感染―
中嶋 均(東邦大学総合診療科)
【背景・目的】細菌やウィルスが原因の急性胃腸炎では小児や高齢者などが弱者とされより注意深い対応が必要とされている.我々は以前から急性胃腸炎における病原検索を続けているが,今回,当科を受診した急性胃腸炎患者のうち特に60歳以上の症例に関して検討したのでその現実と課題について報告する.【対象・方法】対象は2011年1月から2012年2月までの期間に当センターを受診し,ウィルスと細菌の両者の検索をしえた...

第99回日本消化器病学会総会高齢者消化器疾患の現状と対策:消化管

高齢者潰瘍性大腸炎におけるGMAの有効性と免疫調節剤の必要性
生方 聡史(大阪府済生会中津病院消化器内科)
【目的】潰瘍性大腸炎(UC)に対する顆粒球除去療法(GMA)による寛解導入,免疫調節剤による寛解維持は確立しているが,高齢者では合併症が懸念される.高齢者UCのGMAの寛解導入と安全性,免疫調節剤の必要性を検討した.【方法】1).60歳以上を高齢者と定義,PSL非投与の活動期UCでweekly GMA(1回/週)を行った高齢者UC10例と,病変範囲をマッチングさせた非高齢者UC 10例の2週毎の寛...

第99回日本消化器病学会総会高齢者消化器疾患の現状と対策:消化管