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司会の言葉
 
 これまで大腸ESDは先進医療として行われてきたが,2012年4月から保険収載された.今後一般化することが期待されるが,食道や胃と比べて大腸ESDは難易度の高い手技であり技術的な精度管理が必要である.実際の保険適応は『最大径が2cmから5cmの早期癌又は腺腫』となったが,腺腫を適応とされた事への問題点が指摘されている.安全かつ効率的な治療のためには,臨床病理学的観点からみた適応の是非,安全性,簡便...

第99回日本消化器病学会総会大腸腫瘍に対するESDの課題と今後の展開

大腸ESDとEMRの治療成績と適切な棲み分け
笹島 圭太(さいたま赤十字病院消化器内科)
目的:ESDとEMRの成績を比較することによりESD適応の妥当性を検証する.対象:2007.6~2012.3までのESD施行200病変とEMR/EPMR施行592病変.ESD絶対適応:20mm以上の肉眼形態LST-NG,LST-G(mix),VI軽度不整.相対適応:超多分割が想定されるLST-G(homo),大型の隆起性病変.EMR/EPMR適応:ESD適応とならない平坦あるいは隆起性病変(比較の...

第99回日本消化器病学会総会大腸腫瘍に対するESDの課題と今後の展開

当院におけるESDとEMRの治療成績から見た大腸ESDの適応
豊嶋 直也(昭和大学横浜市北部病院消化器センター)
【目的】当院におけるESDとEMRの治療成績から大腸ESDの適応を検討した.【方法】2001年4月から2011年6月までに当院で内視鏡的切除または手術を施行され病理学的評価可能であった進行癌を除く腫瘍性病変14624病変の中で,内視鏡治療施行された20mm以上の1092病変を対象とした.治療方法別(EMR,EPMR,ESD)に治療成績(完全一括摘除率・偶発症・遺残再発)を比較検討した.【結果】対象...

第99回日本消化器病学会総会大腸腫瘍に対するESDの課題と今後の展開

2cm未満の大腸腫瘍に対するESDの適応に関する検討
大林 友彦(愛知県がんセンター中央病院消化器内科部)
【目的】現在の大腸ESDの保険適応は「最大径が2cmから5cmの早期癌又は腺腫」とされる.下限の2cmという数値はEMRで一括切除が可能な大きさと考えられるが,実臨床において2cm未満でも分割切除となり,遺残再発や正確な病理診断が困難となる病変をしばしば経験する.今回,2cm未満の病変に対するEMRとESDの成績を比較し,その妥当性を検討した.
【方法】対象は当院で2000年4月から2011...

第99回日本消化器病学会総会大腸腫瘍に対するESDの課題と今後の展開

大腸側方進展型腫瘍に対する治療選択―EMRかESDか?―
福永 周生(大阪市立大学大学院医学研究科消化器内科学)
【背景】2012年4月の大腸ESDの保険収載後,当院では特にESDの適応を変更していない.一方で2cm以上の側方発育型腫瘍(LST)に対しては,以前からEMRとの使い分けが問題となってきた.【目的】2cm以上のLSTに対するEMRとESDの治療成績を比較し,EMRで対応可能な病変を探る.【対象と方法】2005年4月~2012年9月に当院でEMR又はESDにて切除した,遺残再発を除く2cm以上の大腸...

第99回日本消化器病学会総会大腸腫瘍に対するESDの課題と今後の展開

腫瘍径からみた大腸ESDの適応
田沼 徳真(手稲渓仁会病院消化器病センター)
【背景】内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は大きな病変の内視鏡的一括切除を可能とし,今後さらに普及していくことが予想される.大腸ESDは2012年4月に保険収載されたが,現時点での適応は腫瘍径20mmから50mmまでの病変とされている.【目的】保険収載された大腸ESDの適応の妥当性を検証する.【対象と方法】2007年4月から2012年6月までにESDを施行した大腸腺腫および癌157例159病変を対象...

第99回日本消化器病学会総会大腸腫瘍に対するESDの課題と今後の展開

最近2年間の当院における大腸ESD症例の検討
長尾 知子(がん・感染症センター都立駒込病院消化器内科)
【背景】当院では2004年8月から2012年8月までに計529例のESDを施行しているが,処置具も進歩し,2012年4月から保険収載され今後一般化が予想される.【目的】成績が安定し中級者も施行開始した最近2年間のESD症例を解析し,その適応を再検討する.【対象と方法】2011年1月から2012年8月までに施行されたESD症例の臨床病理学的事項についてretrospectiveに検討し,導入期との比...

第99回日本消化器病学会総会大腸腫瘍に対するESDの課題と今後の展開

大腸ESDの腫瘍径に関した保険適応制限条項は適当か
本間 清明(日本海総合病院治療内視鏡科)
【はじめに】食道では10cmを超える全周性病変や,胃では20cmを超える病変にもESDがなされ,術前検索で指摘しえなかった微小な病理所見をとらえることが可能となった.一方大腸では,腫瘍径に保険適応制限が盛り込まれており,今回この妥当性を検討する.
【対象と方法】先進医療導入後に大腸ESDを施行した108病変を対象とした.全例SBナイフJrタイプを用いた同一手法で切除し,ほぼ全例ゼオクリップを...

第99回日本消化器病学会総会大腸腫瘍に対するESDの課題と今後の展開

腫瘍径5cm以上の病変に対する大腸ESDの治療成績とその時代的変遷
中島 健(国立がん研究センター中央病院内視鏡科)
【目的】先進医療大腸ESDは2012年4月から保険収載されたが,適応は「最大径が2cmから5cmの早期癌又は腺腫」となっている.腫瘍径5cm以上の大腸ESDの成績を検討する.【方法】2012年8月までの当院大腸ESDについて,腫瘍径2cm以上5cm未満(A群)と5cm以上(B群)に分け,年代ごとの,両群の一括切除率,穿孔率,後出血率,施行時間,非治癒切除率を比較検討した.【結果】2cm以上の病変対...

第99回日本消化器病学会総会大腸腫瘍に対するESDの課題と今後の展開

大腸ESDに対する保険適応の妥当性
林 奈那(広島大学内視鏡診療科)
【目的】大腸ESDは2012年4月から保険収載となったが,その適応は径2-5cmの早期癌または腺腫である.今回,大腸ESDの治療成績からその妥当性を検討する.【対象と方法】(1)2012年5月までに施行した大腸ESD 440例のうち,最近2年間182症例について病理学的不完全摘除と穿孔の危険因子について検討する.検討項目は,大きさ(径5cm未満/5cm以上),部位(結腸/直腸),病型(LST-G・...

第99回日本消化器病学会総会大腸腫瘍に対するESDの課題と今後の展開

全ての大腸腫瘍にESDは必要か?
福澤 誠克(東京医科大学消化器内科)
【背景】大腸腫瘍に対する内視鏡的粘膜下層剥離術が保険収載され,その適応病変は『最大径が2cmから5cmの早期癌又は腺腫』とされた.【目的】2cm以上5cm以下の早期癌又は腺腫に対して行われた大腸EMR/ESDの治療成績からESDの適応病変の妥当性について検討する.【対象と方法】2007年6月から2012年8月までに2cm以上の大腸腫瘍性病変(Ipを除く)に対して内視鏡治療を行った552病変(EMR...

第99回日本消化器病学会総会大腸腫瘍に対するESDの課題と今後の展開

大腸SM1000μm以深癌に対するESDの将来展望
永田 信二(広島市立安佐市民病院内視鏡内科)
【背景】大腸SM1000μm以深癌の内視鏡治療適応拡大が議論されているが,大腸SM癌の完全摘除生検としてESDを選択するかEMRを選択するかに関する報告は少ない.【目的】大腸SM癌に対する内視鏡治療選択から大腸ESDの将来展望について検討する.【対象と方法】対象は内視鏡治療施行大腸SM癌74病変(EMR:47病変,ESD前期:10病変,ESD後期:17病変)である.これらを用いてSM癌最深部から深...

第99回日本消化器病学会総会大腸腫瘍に対するESDの課題と今後の展開