- 司会の言葉
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炎症性腸疾患領域においては,近年,病態解明に向け,遺伝学,免疫学,再生医学,細菌学的な新しいアプローチからの研究が盛んにおこなわれている.特に,この分野の潮流の特徴はこれらのアプローチを複合的に融合し,新規治療法へのヒントとなるトランスレーショナルな研究を目指している点である.例えば,特定の腸内細菌とホスト側の免疫反応惹起の接点を解明し,新たなプロバイオティクスの開発が進行している.一方,実臨床...
第99回日本消化器病学会総会 >
炎症性腸疾患の病態解明を目指した新しいアプローチ
- 炎症性腸疾患における上皮再生機構の解明と粘膜再生治療への応用
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岡本 隆一(東京医科歯科大学消化管先端治療学)
【背景・目的】近年,炎症性腸疾患の治療は正常な粘膜上皮の再生を達成する「粘膜治癒」が目標となっている.我々は先に炎症粘膜の再生におけるキーシグナルとしてNotch-Hes1シグナルを同定した.今回,同シグナルの活性化が炎症粘膜という特殊な環境に於いて上皮再生を促進し得る分子機構を明らかにする為,同シグナルと炎症性サイトカインとの相互作用が粘膜再生に果たす役割につき検討を行った.【方法】ヒト腸管上皮...
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炎症性腸疾患の病態解明を目指した新しいアプローチ
- 腸上皮細胞特異的PipkIII欠損マウスの腸炎と腸線維化の発症機序の解析
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堀江 泰夫(秋田大学消化器内科学)
【目的】我々は,クローン病の候補遺伝子とされるMTMR3と細胞内小胞輸送を協調して制御するPIPKIII蛋白質を腸上皮細胞特異的に欠損するマウス(KOマウス)の腸管に炎症と線維化を見いだし,このマウスがクローン病の動物モデルであることを報告してきた.今回は,KOマウスの腸炎と腸内フローラ異常,腸線維化と上皮間葉転換(EMT)の関連について検討した.【方法】KOマウスの大腸内フローラを定量PCR法で...
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炎症性腸疾患の病態解明を目指した新しいアプローチ
- Clostridium butyricumの腸炎抑制効果およびIL-10産生マクロファージ誘導能の検討
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林 篤史(慶應義塾大学消化器内科)
[目的]近年,46種類のClostridium coccoides及びClostridium leptumの混合カクテルがIL-10産生制御性T細胞を誘導しマウス腸炎を抑制すること,ヒト炎症性腸疾患においてはこれらの腸内細菌が減少していることが報告されている.また,炎症性腸疾患の病態形成に腸管マクロファージの腸内細菌に対する過剰な免疫反応が大きく寄与している.本研究では...
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炎症性腸疾患の病態解明を目指した新しいアプローチ
- 腸内細菌Faecalibacterium prausnitziiとクローン病活動性との関連について
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藤本 剛英(滋賀医科大学大学院感染応答免疫調節部門(消化器免疫))
【背景】Clostridium cluster IVに属するFaecalibacterium(F)prausnitziiが術後クローン病の再燃に対して抑制的に作用することが報告されている.今回,クローン病の便中F. prausnitzii量を定量PCR法により測定するとともに,臨床パラメーターとの関連を検討した.
【方法】2012年1月から6月まで当...
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炎症性腸疾患の病態解明を目指した新しいアプローチ
- 腸内細菌由来物質の腸上皮内輸送を介した新しい宿主―細菌相互作用機構の同定と炎症性腸疾患病態への関与
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藤谷 幹浩(旭川医科大学消化器血液腫瘍制御内科学)
【目的】炎症性腸疾患(IBD)の病態に腸内細菌叢の異常が関係すると考えられている.一方,IBD患者ではレセプターやトランスポーター等の細胞膜分子の遺伝子多型が高率に認められるが病態との関係は不明な点が多い.我々は,腸内細菌の分泌物が宿主腸管の細胞膜分子を介して上皮内に取り込まれ,腸管恒常性維持やIBD病態の改善に寄与すると推測している.本研究ではバシラス菌,乳酸菌を対象としてこの仮説を検証する.【...
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炎症性腸疾患の病態解明を目指した新しいアプローチ
- Gene Related to T cell Anergy in Lymphocyte(GRAIL)陽性T細胞は腸炎に対して保護的に作用する
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向井 章(大阪大学消化器内科学講座)
【背景】腸管免疫系の恒常性の維持には免疫寛容が重要な役割を果たしている.GRAIL(Gene Related to Anergy In Lymphocyte)は,CD4陽性T細胞の不応答化に必須の因子として同定されたユビキチンE3リガーゼである.これまで,種々の自己免疫性疾患との関与が報告されているが,炎症性腸疾患との関与は未だ明らかでない.【目的】クローン病におけるGRAIL発現とその役割を明ら...
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炎症性腸疾患の病態解明を目指した新しいアプローチ
- Carbonic anhydrase Iを標的抗原とした炎症性腸疾患に対する新規治療法の開発
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山西 浩文(愛媛大学医学部附属病院腫瘍センター)
【目的】炎症性腸疾患への関与が想定されているcecal bacterial antigen(CBA)についてプロテオーム解析により主要抗原を探索し,同抗原を用いた新規治療法の開発を目的とした.【方法】CBAの主要抗原は2次元電気泳動法とMALDI/TOFMSにより同定した.腸炎モデルはSCIDマウスにCD4+CD25-T細胞を腹腔内投与して作成した.1)...
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- ヒト炎症性腸疾患におけるサイトカインプロフィールの解析
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井星 陽一郎(九州大学大学院病態制御内科学)
【目的】炎症性腸疾患は潰瘍性大腸炎(以下UC)とクローン病(以下CD)に大別されるが,その病態には不明な点が多い.個々の症例の病型,反応性,予後,合併症などの「表現型」は非常に多様であり,その背景には多数の(疾患感受性)遺伝子の複雑な関与が推察される.遺伝的な背景のもとに腸管局所においてヘルパーT細胞(以下Th)を中心とした生理的,病的な免疫反応が惹起され,多様な表現型が観察されると考えられる.今...
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炎症性腸疾患の病態解明を目指した新しいアプローチ
- 炎症性腸疾患とその癌化におけるIL-6トランスシグナルの役割
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光山 慶一(久留米大学医学部内科学講座消化器内科部門)
目的:我々は,IBD患者において,腸内細菌の刺激によりマクロファージから産生されるIL-6や可溶性IL-6受容体(sIL-6R)の増加がみられ,両者は結合してIL-6・sIL-6R複合体を形成していること,さらに,IL-6・sIL-6R複合体の刺激により,T細胞においてIL-6トランスシグナルを介したSTAT3活性化がみられることを報告した.今回,IL-6トランスシグナル促進剤と抑制剤を動物モデル...
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- IBDに合併するCMV感染の病態生理学的意義に関する基礎的検討―新規CMV感染合併IBD動物モデルを用いた病態解析―
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松浦 稔(京都大学消化器内科学)
【目的】サイトメガロウイルス(CMV)感染は炎症性腸疾患(IBD),特に潰瘍性大腸炎(UC)にしばしば合併することが臨床的に知られている.しかしながら,CMV感染がIBDの病態生理に与える影響については必ずしも明らかではない.そこで,今回我々はCMV感染合併IBD動物モデルを用いて,CMVの感染動態および慢性腸炎に及ぼす影響を検討した.【方法】UCモデルであるTCRα KOマウス(1週齢)にマウス...
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炎症性腸疾患の病態解明を目指した新しいアプローチ
- IFX二次無効クローン病における関連因子の検討
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曽野 浩治(東邦大学佐倉病院内科学講座消化器分野)
【目的】抗TNF-α抗体製剤であるInfliximab(IFX)はクローン病(CD)に対して,中心的治療薬として汎用されている.しかし,長期寛解維持投与中にIFXの有効性が減弱する二次無効症例(Loss of Response:LOR)が30%程度出現することが明らかにされ,IFX治療上の大きな課題となっている.今回我々は,LOR発現機序に免疫学的異常が存在する可能性と,その免疫学的異常の是正とL...
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炎症性腸疾患の病態解明を目指した新しいアプローチ
- 難治性Crohn病に対するInfliximab倍量投与の検討
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上小鶴 孝二(兵庫医科大学病院下部消化管科)
【目的】Crohn病(CD)の治療はinfliximab(IFX)が保険適応になり,栄養療法主体の治療から劇的に変化した.IFX投与により寛解導入,維持が可能な症例も多く認めるが,無効症例,Loose of response(LOR)も存在し治療に難渋する症例も多い.2011年8月17日より既存量で十分な治療効果が得られない症例に対して10mg/BWの投与が可能となった.LORに対して様々な策を講...
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