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司会の言葉
 
 近年,分子生物学,ゲノム・プロテオーム解析などの進歩により生体蛋白,DNA,RNAなどから見出された分子マーカーは,疾患の存在や進行度の評価に加えて,治療法の選択,効果や副作用出現の予測にも有用であることが明らかになってきた.
 消化器疾患においても,病態の責任分子を標的とした抗体療法や分子標的治療法が導入されるようになり,また標的分子の発現を有効性の分子マーカーとして捉えるようになってい...

第99回日本消化器病学会総会消化器疾患における新規分子マーカー

StageII/III胃癌における新規バイオマーカーの検索
大島 貴(横浜市立大学消化器病センター外科)
【目的】StageII/III胃癌の標準治療は根治切除後の補助化学療法であるが,新規バイオマーカーによる個別化治療によりさらなる治療成績の改善が期待される.われわれは胃癌組織と近接正常粘膜のペアの凍結検体よりmRNAを抽出してcDNAバンクを構築し,個別化治療を目的としたStageII/III胃癌の新規バイオマーカーの検索を進めて来た.これまでの成果を報告する.【方法】術後5年以上経過したStag...

第99回日本消化器病学会総会消化器疾患における新規分子マーカー

クローン病診断・治療マーカーにおけるHeat shock protein 47の重要性
本澤 有介(京都大学消化器内科)
【目的】Crohn’s disease(CD)は腸管特異的な慢性炎症に伴い腸管粘膜に線維化が生じる.Heat shock protein47(HSP47)は小胞体に局在するストレス蛋白質として発見され,正常なcollagen(Col)の産生に必須の分子である.更にこの分子はColの蓄積を特徴とする各種線維化疾患において強く誘導され,その病態への関与が示唆されている.今回我々はHSP47のCDに対す...

第99回日本消化器病学会総会消化器疾患における新規分子マーカー

クローン病バイオマーカーとしての「ガラクトース欠損IgG」―Agal-IgG ELISAの開発と臨床応用に向けた検討
新崎 信一郎(大阪大学消化器内科学)
【目的】炎症性腸疾患(IBD)診療において,臨床に有用かつ簡便に測定可能なバイオマーカーが求められて久しい.我々はこれまでに,IBD患者の血清IgGに結合する糖鎖を解析し,ガラクトース欠損IgGがIBD特にクローン病(CD)患者で増加し,有用なバイオマーカーとなり得ることを報告してきた(Shinzaki S, Iijima H, et al. Am J Gastroenterol 2008).糖鎖...

第99回日本消化器病学会総会消化器疾患における新規分子マーカー

ガスクロマトグラフィー質量分析を用いた血清メタボロミクスによる新規大腸がん診断システムの開発
吉田 優(神戸大学消化器内科学)
大腸がんの完治には,その早期発見が不可欠である.従来の簡便な大腸がん検査法として糞便の免疫学的便潜血反応検査や血液検査による腫瘍マーカー診断が挙げられるが,これらの検査で陰性であっても,大腸がんの発症を否定することはできない.これらのことから,健康診断でも利用でき,そして,高感度,かつ,高特異度を有する画期的な大腸がんスクリーニングシステムの開発が強く求められている.そこで,我々はガスクロマトグラ...

第99回日本消化器病学会総会消化器疾患における新規分子マーカー

KRAS,BRAF,PIK3CA変異と有意な相関を示すmicroRNAの同定を目指したアレイシステムによる網羅的検討
能正 勝彦(札幌医科大学内科学第一講座)
【目的】近年,抗EGFR抗体薬の効果が報告され,本邦においてもKRAS野生型転移性大腸癌の治療薬として使用されている.またBRAF,PIK3CA遺伝子は,KRASと同様にEGFRを介したRAS-RAF signaling,PI3K/Akt pathwayでそれぞれ重要な働きをする遺伝子であり,それらの変異症例では,KRAS遺伝子が野生型であっても抗EGFR抗体薬の治療効果が期待できないと報告されて...

第99回日本消化器病学会総会消化器疾患における新規分子マーカー

HCV感染者血清中に出現する補体C4断片は抗ウイルス治療効果の分子マーカー候補である
馬渡 誠一(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学)
【目的】C型肝炎ウイルス(HCV)の持続感染成立には,HCVにより産生されるウイルス蛋白が,HCV感染に対する宿主免疫応答に対し抑制的に作用することがその一因と考えられる.一方我々は,HCV持続感染者の血清プロテオミクスで,補体C4の断片が血清中に増加していることを見出した.本研究では,補体C4断片化とHCV由来蛋白との関連,および血清中C4断片の臨床的有用性を明らかにすることを目的とした. 第99回日本消化器病学会総会消化器疾患における新規分子マーカー

C型肝炎における発癌を予測する新規組織学的分子マーカーAKR1B10
佐藤 俊輔(順天堂大学静岡病院消化器内科)
【目的】C型肝炎患者における血清AFPの上昇は,肝発癌危険因子と報告されている.したがって,AFP値上昇を伴うC型肝炎患者の肝内では,その高癌化状態を規定する分子変化が生じていると考えられる.今回我々はAFP値上昇を伴うC型肝炎患者の肝内発現遺伝子解析から肝発癌に関与する新規分子マーカーの同定を試みた.
【方法】C型慢性肝炎48症例をAFP値上昇群(≧10ng/mL)と非上昇群に分け,cDN...

第99回日本消化器病学会総会消化器疾患における新規分子マーカー

肝細胞癌診断における高感度AFP-L3測定法の臨床的有用性
田村 康(新潟大学消化器内科学)
【目的】AFP-L3は肝細胞癌(HCC)の診断に用いられている.近年,AFP-L3の高感度測定法が開発され臨床応用されている.今回,我々は,これまでAFP-L3評価困難であったAFP低濃度症例(<20ng/ml)に対する,HCC診断における高感度化AFP-L3測定の意義について検討した.また,外科切除された83例の血清AFP-L3と肝細胞癌の切除組織所見との関連性を評価したので報告する.
【...

第99回日本消化器病学会総会消化器疾患における新規分子マーカー

新しいPIVKA-II分画(NX-PVKA)の肝細胞癌患者予後との関連
竹治 智(愛媛大学大学院医学系研究科先端病態制御内科学)
【目的】P-11及びP-16抗体によって同定する新しいPIVKA-II(NX-PVKA)は,MU-3抗体によって同定される従来のPIVKA-IIとは分画が異なる.従来のPIVKA-IIはN末端に9から10個のグルタミン酸(Glu)残基を有するが,NX-PVKAはGlu残基数が異なり,ワーファリンにより増加する分画に近似する.新しいPIVKA-II分画であるNX-PVKAの臨床的意義,特に肝細胞癌患...

第99回日本消化器病学会総会消化器疾患における新規分子マーカー

肝細胞癌の治療抵抗性を担う新規分子マーカーの解析
直江 秀昭(熊本大学消化器内科学)
蛋白質の微細な構造・機能変化を捉えて病態との関連を明らかにするとともに,その成果をデータベース化する研究は「プロテオミクス」と呼ばれ,近年注目を浴びている.我々は肝癌の細胞死抵抗性を担う分子群を明らかにするために,プロテオミクスと遺伝子発現解析,ならびにそれらを統合したpathway解析を行った.具体的には,ヒト肝癌細胞株を対象に細胞死誘導刺激前後のcell lysateを回収し,2次元電気泳動に...

第99回日本消化器病学会総会消化器疾患における新規分子マーカー

膵癌患者における網羅的血清糖鎖解析の臨床応用
能祖 一裕(岡山大学分子肝臓病学(消化器内科))
【背景】多くの血清蛋白質には糖鎖が結合しており,様々な疾患でその構成が変化することが知られている.膵癌患者でもフコシル化ハプトグロビン等,特定のタンパク質に結合した糖鎖の変化が,診断に有用であることが示されてきた.今回我々は,血清中に生じている糖鎖変化を網羅的に解析し,全容を明らかにするとともに,その臨床応用の可能性について検討した.【方法】治療前膵癌患者92名と健常人243名より得られた血清を,...

第99回日本消化器病学会総会消化器疾患における新規分子マーカー

膵腫瘍におけるNotch signalを通じたIndolamine 2,3-deoxygenase(IDO)陽性樹状細胞から誘導される末梢血中調節性T細胞モニタリングに関する検討
池本 哲也(徳島大学外科)
【背景】我々はIPMNの組織学的悪性度が増すと,末梢血中調節性T細胞(Treg)が樹状細胞(DC)のIndolamine 2,3-deoxygenase(IDO)を介して誘導されることを報告した(Pancreas 2012)が,このIDOのkey regulatorは不明である.我々はDCの機能を制御すると報告されているNotch signal(Jagged)に着目し,IPMNの臨床病理学的因子お...

第99回日本消化器病学会総会消化器疾患における新規分子マーカー

膵癌組織で異常高発現するノンコーディングサテライトRNAを応用した膵癌早期診断への試み
岸川 孝弘(東京大学消化器内科)
【目的】膵癌の予後改善のためには,効率的な検出法の確立が希求されているが,現存の方法を工夫するだけでは抜本的な改善は見込みにくい.近年の次世代RNAシークエンス法の発展によって,ノンコーディングRNAとよばれる機能的RNA群が生命機能に重大な役割を果たしていることが次々と明らかになり,分子生物学に一大新領域を築きつつある.このノンコーディングRNAの一種であるサテライト配列由来RNAが膵癌組織で異...

第99回日本消化器病学会総会消化器疾患における新規分子マーカー

血液細胞の遺伝子発現解析による生体のがん反応解明と消化器癌診断法開発の可能性
酒井 佳夫(金沢大学消化器内科)
【目的】全身を循環する血液の血球細胞は,生体内の疾病に応じた反応を示すと考えられる.今回,胆道癌,膵癌,大腸癌,胃癌患者の末梢全血の遺伝子発現解析をDNAマイクロアレイにて行い,血液に反映される生体のがん反応解明を試み,血液の遺伝子発現解析による癌診断の可能性について検討した.【方法】胆道癌8例,膵癌17例,大腸癌12例,胃癌22例,健常者13例よりRNA即時安定化剤添加PAXジーンRNA採血管に...

第99回日本消化器病学会総会消化器疾患における新規分子マーカー