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司会の言葉
 
 肝腫瘍の診療では,造影超音波,MD-CT,EOB造影MRI,アンギオCTなど,多くの画像診断が広く使用可能となっている.さらに最近では,CT/MRIなどのDICOMデータとUSとの融合画像技術のほか,MRIからの肝機能評価やMRIラパロスコピー,US・MRIによるエラストグラフィーなどの肝病態評価に関する画像診断法の進歩も著しい.肝画像診断の進歩は,EOB肝細胞相のみ陽性の超早期肝癌の問題を提起...

第99回日本消化器病学会総会肝画像診断の最前線

C型慢性肝炎における非侵襲的肝線維化診断法の比較
玉城 信治(武蔵野赤十字病院消化器科)
【目的】C型慢性肝炎における各種非侵襲的肝線維化診断法の予測精度について比較を行った.【方法】2011年11月以降に肝生検を施行した84例のC型慢性肝炎患者をProspectiveに検討した.全症例,肝生検前後1日以内にReal-time Tissue Elastography(RTE)によるLF indexおよびAcoustic Structure Quantification(ASQ)を測定し...

第99回日本消化器病学会総会肝画像診断の最前線

Acoustic Structure Quantification(ASQ)を用いた脂肪肝の定量的評価と生化学マーカー,線維化との関連性の検討
最勝寺 晶子(済生会川内病院内科)
【目的】超音波は脂肪肝の診断に有用でその感度は極めて高いが,客観性や定量性に乏しく臨床判断に苦慮する場合がある.エコー信号のレイリー分布からの逸脱度を分散値の比で評価し,スペックルパターンの均質性を定量化したASQ(Acoustic Structure Quantification)により脂肪肝を評価しその有用性と生化学検査,線維化との関連性を検討した.【方法】撮像装置は東芝メディカルシステムズA...

第99回日本消化器病学会総会肝画像診断の最前線

肝癌合併慢性肝疾患症例におけるVTTQによる肝硬度測定の意義
高木 慎太郎(広島大学病院消化器・代謝内科)
【はじめに】VTTQ:virtual touch tissue quantificationによるSWV(shear wave velocity,m/s)の測定による慢性肝疾患の肝繊維化診断の有用性は多く報告されているが,肝癌合併症例における検討は多くはない.【目的】肝癌合併慢性肝疾患の臨床経過におけるVTTQの測定意義を明らかにする.【方法】対象は2009年1月より2011年3月までにVTTQと...

第99回日本消化器病学会総会肝画像診断の最前線

異なる超音波弾性法とELFスコアによる肝線維化診断の有用性
高嶋 智之(兵庫医科大学内科学肝胆膵科)
【目的】肝線維化は肝生検で確定診断されるが,侵襲的等問題がある.我々は超音波線維化診断法Virtual Touch Tissue Quantification(VTTQ)を中心に検討している.今回,異手法Shear Wave Elastgraphy(SWE)の有用性を検討した.また新血清Enhanced Liver fibrosis panel(ELF)も検討した.【方法】2008年10月~201...

第99回日本消化器病学会総会肝画像診断の最前線

ソナゾイド造影超音波を用いた肝実質微小循環解析の臨床診断的意義
住野 泰清(東邦大学消化器内科(大森))
門脈血は富栄養で肝にとって重要な血流であるが低圧であり,慢性肝疾患の進行・線維化に伴い圧の上昇,流量の減少を来す.それを代償するように高圧の動脈血流が肝実質に灌流する.いわゆる肝実質血流の動脈化である.このように肝病変を反映して変化する微小循環を我々はソナゾイド造影超音波で解析検討してきたのでその成績を示す.施設倫理委員会承認済み.【対象・方法】早朝空腹時に肝実質造影超音波を施行した急性肝炎17例...

第99回日本消化器病学会総会肝画像診断の最前線

CTおよびEOB-MRIのFusion imagingによるRFA治療効果判定
牧野 祐紀(市立池田病院消化器内科)
【目的】RFA効果判定におけるfusion画像の有用性の検証.【方法】(検討1)2006年1月~2012年2月にTACE非併用のRFA単独治療を施行したHCC中,CTで描出され完全焼灼し得たと判断し,6か月以上経過観察した102結節を対象とし,RFA前後のCT fusion画像を作成し,minimal margin(MM)を含め局所再発(局再)に寄与する因子についてretrospectiveに検討...

第99回日本消化器病学会総会肝画像診断の最前線

EOB-MRIの肝細胞癌切除前画像診断への導入による肝切除後無再発生存率および累積生存率に与えるインパクト
松田 政徳(山梨大学外科学第一講座)
(はじめに)EOB-MRIは肝細胞癌(HCC)の検出能に優れ,さらに従来は診断の困難な早期HCCの検出も可能であり,術前画像診断法として不可欠のモダリティーである.しかし,HCC肝切除後の治療成績に与える影響は明らかでない.今回,術前EOB-MRIのHCC肝切除後の再発率および生存率に与える影響を明らかとすることを目的とした.(対象と方法)2008年のEOB-MRI導入後3年間のHCC治癒切除症例...

第99回日本消化器病学会総会肝画像診断の最前線

肝細胞癌に対するSorafenib治療の効果判定基準の比較―多施設共同班研究より―
荒井 邦明(金沢大学消化器内科)
【目的】今回我々は腫瘍径の変化のみを評価するRECISTと,血流評価も加味したmodified RECIST,RECICLを用いて肝細胞癌に対するSorafenibの治療効果判定を行い,治療継続ならびに予後予測における意義に関して比較検討を行った.【方法】2011年11月の間,班研究に登録された全国16施設のSorafenib治療を開始した肝細胞癌459症例のうち,治療効果,予後解析が可能な268...

第99回日本消化器病学会総会肝画像診断の最前線

超音波検査による肝細胞癌の腫瘍因子の評価
小川 眞広(日本大学医学部内科学系消化器肝臓内科分野)
【目的】肝癌に対する画像診断には現在,超音波検査,CT,MRI検査などが挙げられるが,空間分解能の高い超音波検査はさらに第2世代の超音波造影剤sonazoidを用いた検査の導入により極めて時間分解能の高い血流診断も可能とし,さらに磁気センサーを用いた他画像との統合画像診断なども可能となりもはやスクリーニングでは無く精密検査としての位置づけも担うようになっている.これにより組織学的所見を反映した診断...

第99回日本消化器病学会総会肝画像診断の最前線

肝切除時における術中造影超音波の役割
佐藤 公太(東京医科歯科大学肝胆膵・総合外科)
【目的】今回,我々は肝細胞癌(HCC)に対する肝切除時における術中Sonazoid造影超音波(CEIOUS)の有用性を1)術前画像検査との検出能,診断能および診断精度の比較,2)腫瘍血管像に対する臨床病理学的解析,により検討したためここに報告する.
【方法】1)2007年8月から2008年12月までのHCC切除症例中,術前血管造影CT(Angio-CT)とCEIOUSを施行した52症例を対象...

第99回日本消化器病学会総会肝画像診断の最前線

肝癌術前画像診断による標的結節悪性度予測の有用性の検討
川村 祐介(虎の門病院肝臓センター)
【目的】これまでにDynamic-CT造影における“不整リング状濃染”が“低分化型HCC”の予測に有用であり,かつラジオ波凝固療法(RFA)施行時には腫瘍の進行再発と関係することを報告している.今回,従来のDynamic-CT造影パターンによる悪性度評価に加え,EOB-MRI Hepatobiliary phase(HBP)での肉眼型予測につき検討を行った.
【対象・方法】2008年2月より...

第99回日本消化器病学会総会肝画像診断の最前線

手術中肝腫瘍同定困難例に対するICG蛍光肝臓手術ナビゲーションの有用性
海堀 昌樹(関西医科大学外科)
【はじめに】ICG蛍光法は術中の肝区域染色や胆道造影の他,ICG試薬の術前投与により,肝腫瘍にICGが取り込まれる特性より,微小な肝癌を術中に特定するのに有用とされる.今回,最近2年間に当科で経験した術中視触診および腹部エコー(US)において腫瘍の同定が困難であった肝腫瘍症例をICG蛍光法により腫瘍部位特定が可能であった数例を経験したので報告する.【対象および結果】TACEおよび局所凝固療法治療後...

第99回日本消化器病学会総会肝画像診断の最前線

3D Fusion画像を用いた肝癌に対するRFA治療の効果診断と新たな画像支援下追加治療への応用
榊原 充(大阪府立成人病センター肝胆膵内科)
【目的】肝癌に対するRFA治療において凝固マージンと局再率に相関があると報告されている.マージン判定には治療前後CTを比較するが,異時的に撮影された画像間では肝に変位があるため正確な判定は困難である.そこで前後画像を3次元的に重ね合わせて変位を補正したVolume Fusion Image(VFI)を作成し,より精度の高いマージン判定を行うことを目的とした.また,治療不足部位へのVFIを応用した新...

第99回日本消化器病学会総会肝画像診断の最前線

Interventional radiologyにおける支援画像「FlightPlan」の有用性
南 康範(近畿大学医学部消化器内科)
【背景】多発肝細胞癌の診断・治療で用いられる腹部血管造影は2次元画像であるために立体的な腫瘍血管の走行を把握することが難しい場合がある.FlightPlan for Liverはcone-beam CTによって得られた肝動脈の3次元情報を画像的に解析し,腫瘍への栄養動脈の識別を可能にする非侵襲的なソフトウェアである.【目的】Interventional radiologyにおける支援画像「Flig...

第99回日本消化器病学会総会肝画像診断の最前線