- 司会の言葉
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自己免疫性膵炎に端を発し,わが国から発信された「IgG4関連疾患(IgG4-related disease;IgG4-RD)」は種々の免疫異常や血中IgG4高値に加え,膵,肝胆,唾液腺・涙腺,後腹膜腔など,全身の臓器に線維化,IgG4形質細胞浸潤,閉塞性静脈炎などを認める特異な疾患群として,ボストン国際シンポジウム(2011年)で国際的なコンセンサスが得られた.2011年には包括的診断基準に加え...
第99回日本消化器病学会総会 >
消化器領域におけるIgG4関連疾患の診断と治療~包括的診断基準を受けて~
- IgG4関連疾患の病理診断:消化器領域疾患の診断基準と包括的診断基準における考え方
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能登原 憲司(倉敷中央病院病理検査科)
IgG4関連疾患(IgG4-RD)の病理所見に関して,1)組織形態が特徴的であること,2)臓器により組織形態に違いがあること,3)多数のIgG4陽性細胞の出現は特徴的ではあるが,特異的ではないこと,がコンセンサスとなりつつある.1型の自己免疫性膵炎(AIP)やIgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC)では,花筵状線維化や閉塞性静脈炎といった特徴的な組織像が出現しやすく,そのため1型AIPの国際コン...
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消化器領域におけるIgG4関連疾患の診断と治療~包括的診断基準を受けて~
- 自己免疫性膵炎確診例を用いたIgG4関連疾患包括診断基準の検討
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塩川 雅広(京都大学消化器内科学講座)
【背景】2011年にIgG4関連疾患の包括的診断基準が作成されたが,ミクリッツ病の診断感度が高いのに比べ,自己免疫性膵炎では感度が低いといわれている.【目的】2011年の自己免疫性膵炎の診断基準を満たす確診例91例を用いて,IgG4関連疾患の包括的診断基準を検討する.【患者】カルテ上自己免疫性膵炎と診断された135人のうち,2011年の自己免疫性膵炎の診断基準で確診例となる94人について検討した....
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消化器領域におけるIgG4関連疾患の診断と治療~包括的診断基準を受けて~
- 自己免疫性膵炎臨床診断基準と包括的診断基準の有用性と問題点
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鷹取 元(金沢大学消化器内科)
【目的】自己免疫性膵炎・IgG4関連疾患の診断において問題となる非典型例は生検やステロイド診断投与を要する.今回,自己免疫性膵炎臨床診断基準とIgG4関連疾患包括的診断基準の有用性と問題点を検討した.【対象と方法】1995年より現在までに,当科および関連施設で自己免疫性膵炎・IgG4関連消化器病変と診断された85例(平均63.0歳,男女比70:15)を対象とした.統計学的解析にはχ2乗検定を用いた...
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- IgG4関連疾患としての自己免疫性膵炎の診断について
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内藤 格(名古屋市立大学消化器・代謝内科学)
【目的】自己免疫性膵炎(AIP)に関する診断基準としては近年,包括診断基準,AIP国際コンセンサス診断基準(ICDC),本邦のAIP診断基準(JPS2011)が提唱されている.今回,我々は各診断基準の現状を明らかにする目的で各基準での診断能を検討した.また,AIPはIgG4関連疾患であるとの観点から全身諸臓器の生検組織につき検討を行った.【方法】血中IgG4測定が可能であったAIP70例の包括診断...
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消化器領域におけるIgG4関連疾患の診断と治療~包括的診断基準を受けて~
- 超音波内視鏡検査による1型と2型自己免疫性膵炎の鑑別
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水野 伸匡(愛知県がんセンター中央病院消化器内科)
【目的】IgG4関連疾患の膵病変は,自己免疫性膵炎(以下AIP)国際コンセンサス診断基準(以下ICDC)における1型AIP(以下1型)と同義である.一方,ICDCにおける2型AIP(以下2型)はIgG4の関与がないと考えられているが,両者を画像所見や生検で鑑別診断することは困難なことが多い.超音波内視鏡検査(以下EUS)はAIP,特に1型の診断には有用であるが,2型の診断における有用性は不明である...
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消化器領域におけるIgG4関連疾患の診断と治療~包括的診断基準を受けて~
- 消化器領域におけるIgG4関連疾患の診断と治療の現状と問題点
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西野 隆義(東京女子医科大学八千代医療センター消化器内科)
【目的】IgG4関連疾患(以下IgG4-RD)の包括診断基準に基づく診断と治療の現状と問題点を検討した.【方法】2012年9月までに経験した包括診断基準で疑診以上のIgG4-RD 59例のうち,消化器領域病変を有した55例(M:F=38:17,平均年齢66歳)を対象とした.診断基準はIgG4-RD包括基準,自己免疫性膵炎診断基準2011年(AIP 2011)およびIgG4-SC 2012年を用いた...
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消化器領域におけるIgG4関連疾患の診断と治療~包括的診断基準を受けて~
- IgG4関連疾患症例からの発癌の検討
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平野 賢二(東京大学消化器内科)
【背景】IgG4関連疾患(IgG4RD)からの悪性腫瘍発生率については十分な検討がなされていないのが現状である.【対象と方法】当院ないし関連病院で経験したIgG4RD125例(男性100例,女性25例,平均発症年齢65歳,うちAIP非合併25例[20%])を対象とした.1)IgG4RD診断同時期に発生した悪性腫瘍の種類と頻度(IgG4RD発症前後6カ月未満を同時期とみなした),2)同時期発癌がなく...
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消化器領域におけるIgG4関連疾患の診断と治療~包括的診断基準を受けて~
- EUS-FNAによる自己免疫性膵炎の診断能―IgG4関連疾患包括的診断基準と自己免疫性膵炎臨床診断基準2011を用いて―
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菅野 敦(東北大学消化器内科)
(背景)2011年にIgG4関連疾患包括的診断基準(IgG4 RD CDC)が制定され,自己免疫性膵炎臨床診断基準(JPS2011DC)が改訂された.(目的)EUS-FNAで採取した膵組織を用いてIgG4 RD CDCとJPS2011DCによる自己免疫性膵炎(AIP)の診断能を検討すること.(対象)当科でEUS-FNAを施行しAIPと診断した36例(方法)(1)血清IgG4値(2)EUS-FNAで...
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- 自己免疫性膵炎診断基準2011とIgG4関連硬化性胆管炎診断基準2011におけるoverlap例ならびに両診断基準の診断特異性の検討
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渡邉 貴之(信州大学消化器内科)
【目的】IgG4関連疾患包括診断基準2011が提案されたが,消化器領域の対象疾患である自己免疫性膵炎(AIP),IgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC)の診断においては,組織学的検索が困難なことから,通常それぞれの診断基準が用いられる.IgG4関連硬化性胆管炎診断基準2011には膵内胆管病変も包括されているが,多くは自己免疫性膵炎膵頭部病変と合致すると考えられ,両診断基準のoverlap例ならび...
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- 自己免疫性膵炎合併の有無からみたIgG4硬化性胆管炎の病態の違い
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原田 憲一(金沢大学大学院医学系研究科形態機能病理)
【目的】自己免疫性膵炎(AIP)を伴わないIgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC)は,原発性硬化性胆管炎(PSC)および胆道癌との鑑別が重要であるが,臨床的に鑑別困難な症例が多い.今回,AIPの有無によるIgG4-SCの病理学的特徴の相違について検討した.【方法】対象は,AIP合併IgG4-SC7例,非合併IgG4-SC5例の外科的切除検体.【成績】病変の局在:AIP合併IgG4-SCでは中部か...
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- 自己免疫性膵炎の消化管粘膜におけるIgG4陽性形質細胞浸潤についての検討
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桑田 剛(東京都立駒込病院消化器内科)
背景:IgG4関連硬化性疾患は諸臓器にIgG4陽性形質細胞の密な浸潤を認め,線維化と閉塞性静脈炎を生じた臓器で臨床徴候を呈する全身性疾患であるが,消化管病変のIgG4陽性形質細胞浸潤ついては十分検討されていない.一方,自己免疫性膵炎(AIP)に伴わない潰瘍性大腸炎(UC)の大腸粘膜にIgG4陽性形質細胞浸潤を認めるとの報告が散見されている.目的:AIP患者における消化管粘膜,およびUCや他の大腸疾...
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- 自己免疫性膵炎例におけるステロイド治療前後の脾容積変化
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松林 宏行(静岡県立静岡がんセンター内視鏡科)
【背景】慢性膵炎例の一部には脾静脈閉塞による左側門脈圧亢進症,脾腫が報告されているが,自己免疫性膵炎(AIP)例では検討が少なくステロイド治療による効果もわかっていない.【目的】AIPにおける脾腫の頻度,ステロイド治療前後の脾容積の変化とそれらに関与する因子を検討した.【方法】当院で診断したAIP46例(男:女=36:10,年齢:64.3歳)と年齢,性別を合わせたcontrol 92例とdisea...
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- 自己免疫性膵炎診断基準に基づく診断能向上における顎下腺エコーの有用性評価
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高野 伸一(山梨大学医学部第1内科)
【背景】近年,診断精度の向上を目指して国際コンセンサス診断基準や自己免疫性膵炎臨床診断基準2011が相次いで作成された.いずれの診断基準でも膵外病変の存在が重視されているものの,その具体的な評価方法は確立されていない.自己免疫性膵炎(AIP)の膵外病変の中で最も体表に近く高頻度である顎下腺炎は,汎用される超音波機器で容易に客観的な評価が可能であるが,そのエコー所見に基づいた診断的意義の詳細な検討は...
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- 当科における消化器領域IgG4関連疾患の診断と治療
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内田 一茂(関西医科大学内科学第三講座)
【目的】2011年にIgG4関連疾患(IgG4-RD)包括診断基準が作成され,消化器領域では自己免疫性膵炎(AIP)臨床診断基準2011やIgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC)臨床診断基準(2012)が作成された.今回我々は消化器領域におけるIgG4関連疾患の診断と治療について検討した.【方法】2006年1月から2011年8月までの間に当科にて自己免疫性膵炎(AIP)を含むIgG4関連疾患と診...
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消化器領域におけるIgG4関連疾患の診断と治療~包括的診断基準を受けて~