セッション

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司会の言葉
高橋 信一(杏林大学第三内科)
 ヘリコバクター・ピロリがWHOより 1 群の発癌因子と認定され約20年が経ち,胃癌がピロリ菌感染症であると認識されてきた.また,2013年 2 月にピロリ感染胃炎に対する除菌治療が保険適用になり,胃癌予防という観点からの除菌治療が進められるようになった.しかしながら,ピロリ菌感染による発癌機序については,いまだ不明な点が多々残されている.近年の癌研究の進展を通して,癌発症には細胞の増殖異常や運動...

第100回日本消化器病学会総会胃癌発症とヘリコバクター感染―菌体成分の役割と慢性炎症の役割

Helicobacter pyloriのOuter inflammatory protein A(OipA)による病原性発現機構の分子基盤
城戸 康年(大分大学環境・予防医学)
【目的】H. pylori感染による胃上皮細胞の慢性炎症発生機構において,多様な菌側の病原因子が関与していることが知られている.我々は,ピロリ菌起因性胃炎にて,外膜タンパク質(outer membrane protein:OMP)に属するOuter inflammatory protein A(OipA)が胃上皮細胞から炎症性サイトカイン(特にIL-8)産生を誘導することを報告してき...

第100回日本消化器病学会総会胃癌発症とヘリコバクター感染―菌体成分の役割と慢性炎症の役割

H.pylori産生VacAは小胞体ストレスによるBim発現を介して胃上皮細胞にアポトーシスを誘導する
赤澤 祐子(長崎大学病院消化器内科)
[目的]VacAはH. pyloriが産生し胃粘膜障害に重要な役割を果たす空胞化毒素であり消化管潰瘍形成や発癌に関連することが知られている.VacAはBax活性化によるミトコンドリア障害を介し胃上皮細胞にapoptosisを誘導する.小胞体(ER)stressは様々な疾患の病態に寄与し,ER stress sensor PERKを介した転写因子CHOPの発現によるBH3 onlyファ...

第100回日本消化器病学会総会胃癌発症とヘリコバクター感染―菌体成分の役割と慢性炎症の役割

H. pylori CagAの胃発癌機構における役割
林 義人(大阪大学消化器内科学)
【背景】CagA陽性H. pyloriの持続感染は,胃発癌に重要な役割を果たしている.発癌の機序については,CagA,VacAなどの菌体成分による影響と,感染によって引き起こされる炎症やその他の微小環境の影響が考えられる.CagAトランスジェニックマウスでは,胃発癌することが既に報告されている.【目的】H. pyloriによって誘導される胃発癌機構におけるCagAの役割...

第100回日本消化器病学会総会胃癌発症とヘリコバクター感染―菌体成分の役割と慢性炎症の役割

ピロリ菌感染時の胃発がんリスクを規定する宿主キャラクター
津川 仁(慶應義塾大学医学部総合医科科学研究センター)
【目的】ピロリ菌感染は決定的な胃がんのリスクファクターであり,特に,ピロリ菌のエフェクター分子CagAはがん蛋白質として機能し,ピロリ菌感染時の胃発がんに強く関与する.しかしながら,ピロリ菌感染者のうち胃がん発症者は一部であることから,感染に伴う発がんプロセスには未知なる発がん制御システムが存在すると指摘されてきた.本研究では,CagAによるがん化促進機構を理解する目的で,宿主細胞内CagAの安定...

第100回日本消化器病学会総会胃癌発症とヘリコバクター感染―菌体成分の役割と慢性炎症の役割

H.Pylori感染における自然免疫受容体NOD1を介した胃癌発癌機構の解析
伏谷 淳(東北大学消化器病態学分野)
【背景・目的】Helicobacter pyloriH.pylori)の菌体成分であるCagAやペプチドグリカン(PGN)は炎症を惹起するとともに,種々の細胞内のシグナル経路を活性化し胃癌の発癌に関与する.胃上皮細胞質内に局在するNucleotide-binding Oligomerization Domain 1(NOD1)はH.pyloriのPGNを...

第100回日本消化器病学会総会胃癌発症とヘリコバクター感染―菌体成分の役割と慢性炎症の役割

胃炎―胃癌相関におけるSTAT3シグナル活性の意義について
福井 広一(兵庫医科大学内科学上部消化管科)
【背景・目的】STAT3は様々な炎症性サイトカインの責任転写因子として中心的な役割を果たし,その過剰活性を示すマウスに胃炎とそれに伴う胃癌が自然発生することから,胃炎―胃癌相関で重要な役割を果すと考えられる.そこで本研究では,早期胃癌患者の非腫瘍性胃粘膜におけるSTAT3活性とその抑制分子であるSOCS3のmethylationの意義を明らかにする.【方法】非担癌患者お...

第100回日本消化器病学会総会胃癌発症とヘリコバクター感染―菌体成分の役割と慢性炎症の役割

H.pylori感染胃炎からの胃癌発生―ハイリスク群とその分子機構を巡って―
吉田 岳市(和歌山県立医科大学第二内科)
【目的】胃癌,特にその主要な部分を占める分化癌はH.pylori感染による慢性炎症を基盤に,萎縮性胃炎(CAG),化生性胃炎を経て発生に至る過程がmain routeとして広く認識されている.一方,H.pylori感染胃炎からの発癌には解明されていない点も多く,特に未分化癌を含め,軽度CAGからの発癌の実態は詳細不明である.本シンポジウムでは,この点についての検討を報告...

第100回日本消化器病学会総会胃癌発症とヘリコバクター感染―菌体成分の役割と慢性炎症の役割

H. pylori感染により慢性胃炎粘膜に生じる遺伝子異常と胃癌
清水 孝洋(京都大学消化器内科)
【目的】H. pylori感染に伴う慢性胃炎を背景として胃癌が発生することはよく知られている.本研究では,H. pylori感染による慢性胃炎粘膜に潜在する遺伝子異常の全体像を明らかにすることで,胃癌の発生機序を明らかにすることを目的とする.【方法】1.胃癌5症例における癌部及び非癌部胃炎粘膜について,次世代シーケンサーを用いた全エクソン解析,2.H. pylor...

第100回日本消化器病学会総会胃癌発症とヘリコバクター感染―菌体成分の役割と慢性炎症の役割

胃癌および十二指腸潰瘍発症におけるPSCA(prostate stem cell antigen)遺伝子多型の影響
市川 仁美(浜松医科大学第一内科)
【目的】H.pylori(HP)感染は胃癌(GC)と十二指腸潰瘍(DU)発症の重要な危険因子である.HP感染による発癌機序については不明な点が多々残されている一方で,DU症例は同じHP関連疾患にもかかわらずGC発症の危険性が低いことが知られている.両疾患の発症にはHPの菌側因子,宿主因子,環境因子などが影響を及ぼすが,両疾患の易罹患性を規定する因子は明らかではない.近年,宿主因子の中...

第100回日本消化器病学会総会胃癌発症とヘリコバクター感染―菌体成分の役割と慢性炎症の役割

Helicobacter感染による幹細胞マーカー遺伝子発現変化と腫瘍形成能の検討
芝田 渉(横浜市立大学消化器内科)
【目的】ヘリコバクター感染は萎縮性胃炎や腸上皮化生を惹起し胃発癌に関与すると考えられているが,その発癌メカニズムはいまだ不明な点が多い.近年腫瘍幹細胞の概念が提唱され,その同定は新たな治療標的ともなりうることから,臨床的にもきわめて重要である.今回我々はヘリコバクター感染による上皮幹細胞マーカーの推移を検討し,胃発癌に及ぼすヘリコバクター感染の影響について検討した.【方法】ヘリコバクター感染胃の病...

第100回日本消化器病学会総会胃癌発症とヘリコバクター感染―菌体成分の役割と慢性炎症の役割

マウスモデルを用いたH.pylori感染による胃幹細胞マーカー発現変化の検討
芹澤 多佳子(東京大学医学部付属病院消化器内科学)
【目的】cagPAIが機能している菌であるHelicobacter pyloriH. pyloriPMSS1株を用いて,経時的に胃粘膜の変化と幹細胞マーカーの発現について検討した.
【方法】C57BL/6マウスにPMSS1を感染させ,感染量を定量し,H. pylori長期感染胃炎マウスの胃粘膜変化について...

第100回日本消化器病学会総会胃癌発症とヘリコバクター感染―菌体成分の役割と慢性炎症の役割

Helicobacter pylori除菌後状態で有用な胃がんリスクマーカーの同定
南條 宗八(富山大学内科学第三講座)
【目的】Helicobacter pyloriH. pylori)感染は胃粘膜にエピゲノム異常を誘発し,特定のCpGアイランド(CGI)のメチル化レベルが胃がんリスクと関連していることが明らかにされてきた.H. pylori除菌により胃がんリスクは減少するが,非感染者レベルまでは戻らず残存し,除菌後胃がん発生の母地となる.この高危険群の個人レベルでの発が...

第100回日本消化器病学会総会胃癌発症とヘリコバクター感染―菌体成分の役割と慢性炎症の役割

H. pylori陽性胃炎患者におけるCOX-2のSNPを用いた除菌後ハイリスク群の絞り込み
小高 康裕(日本医科大学消化器内科学)
(目的・背景)慢性胃炎に対する除菌治療が保険適応となり,急速にH.pylori胃炎に対する除菌症例が増加している.しかしながら,除菌後の内視鏡フォローをどの程度の期間で行うかなど,リスク管理は明確でない.一方で,我々は以前よりH. pylori感染により誘導されるCOX-2の重要性について報告してきた(Gut, 2000, 46, 782;Gut, 2003, 52, ...

第100回日本消化器病学会総会胃癌発症とヘリコバクター感染―菌体成分の役割と慢性炎症の役割

OLGA systemを用いたH. pylori除菌後発見胃癌と慢性炎症の関連
兒玉 雅明(大分大学消化器内科)
【目的】H. pylori除菌後発見胃癌の高危険因子として組織学的胃炎分類を用いたOperative Link for Gastritis Assessment(OLGA)systemによる予測の検討を行った.【方法】除菌治療成功した2355例(男1482例,女821例)中,非胃癌例と除菌後胃癌例にて除菌時年齢,疾患,内視鏡萎縮度,updated Sydney system,OLGA...

第100回日本消化器病学会総会胃癌発症とヘリコバクター感染―菌体成分の役割と慢性炎症の役割