- 抗糖尿病薬Metforminよる胃癌細胞増殖の抑制―MetforminのターゲットmicroRNAの同定
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加藤 清仁(香川大・消化器・神経内科)
【目的】近年、抗糖尿病薬であるMetforminが前立腺癌、乳癌に対して抗癌作用を持つことが報告されている。今回、我々は、Metforminが胃癌に対して、抗癌作用を持つことをin vitro, in vivoの系で証明した。更に、Metforminの抗癌作用に関連するmicroRNAの同定を網羅的に解析した。【方法】1.in vitroの系:胃癌細胞株として,MKN1, MKN45, MKN74...
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消化器疾患における分子標的治療
- スプライシング阻害剤pladienolideの胃癌に対する抗腫瘍効果の検討-splicing factor 3bを標的として-
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佐藤 桃子(徳島大・消化器内科)
【目的】PladienolideはStreptomyces platensisから単離された12員環マクロライド化合物であり、splicing factor SF3bを標的としてスプライシングを阻害することにより抗腫瘍効果を発揮する。Pladienolideは、乳癌細胞株に対する抗腫瘍効果が示されているが、胃癌に対する有効性は検討されていない。そこで本研究では、pladienolideの胃癌培養細...
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消化器疾患における分子標的治療
- 切除不能・転移性消化管間質腫瘍に対するイマチニブ治療-二次耐性と増悪腫瘍切除
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神田 達夫(新潟大大学院・消化器・一般外科学)
【背景】転移性・再発性GISTにおける分子標的治療では、長期の奏効後に増悪に転じる二次耐性という現象が知られ、その克服が臨床的課題となっている。【目的】イマチニブ二次耐性への外科治療成績とその臨床的意義を明らかにする。【患者】2011年2月までに新潟大学医歯学総合病院でイマチニブ二次耐性に対して治療を受けた切除不能・転移性GIST患者43名。男性29名、女性14名。耐性診断時の年齢の中央値は66歳...
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消化器疾患における分子標的治療
- 大腸癌の増殖・転移における骨髄由来間葉系幹細胞の重要性
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北台 靖彦(広島大大学院・分子病態制御内科学)
【目的】癌組織は癌胞巣と間質組織から構成されている。我々はこれまで腫瘍間質においてplatelet-derived growth factor receptor (PDGFR)が高発現し、治療の標的分子となることを報告してきた。腫瘍間質に存在する筋線維芽細胞はcarcinoma-associated fibroblast (CAF)とも称され、腫瘍の増殖、進展を促進すると考えらている。CAFの由来...
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消化器疾患における分子標的治療
- 消化器癌におけるROS制御機構をターゲットにした新しい治療戦略
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石本 崇胤(熊本大・消化器外科)
癌の治療抵抗性や再発に癌幹細胞が深くかかわることが広く知られるようになり、癌幹細胞を標的にした治療法の確立が重要な目標として挙げられている。癌幹細胞を分離するためのマーカーの検索が盛んに行われている一方で、同定されたマーカーの機能的な役割についてはほぼ未解明のままである。ヒアルロン酸をリガンドとする接着分子であり主要な癌幹細胞マーカーであるCD44についても、その機能的な役割は不明であった。一方で...
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消化器疾患における分子標的治療
- 進行大腸癌の抗癌剤治療における分子標的治療薬の有効性―特にbevacizumab併用の有効性について
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傳田 忠道(千葉県がんセンター・消化器内科)
【背景】進行大腸癌の化学療法は2005年4月にFOLFOX、2007年6月にbevacizumab、2008年9月にcetuximab、2010年6月にpanitumumabが保険適用となり、新規抗癌剤と分子標的治療薬の併用により生存期間は延長した。しかし、多数例で有効性を検討した報告は少ない。【目的】進行大腸癌の抗癌剤治療の生存期間を治療開始日で2年ごとに前期・中期・後期の3郡に分けて検討した。...
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消化器疾患における分子標的治療
- ROCK/Rho-kinaseによる大腸がんの抑制機能について~新規治療標的の可能性~
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足立 政治(岐阜大・薬理病態学, 岐阜大・1内科)
はじめに:低分子量GTP結合タンパク質の一つであるRhoは細胞骨格の形成や細胞接着に重要な役割を果たしている。ROCK/Rho-kinaseはRhoのエフェクター分子の一つであり、各種細胞の形態制御、遊走などの生理機能に関与し、がん細胞においては細胞周期や悪性化、浸潤、転移に関わるとされているが、その詳細な役割は十分に解明されていない。今回我々は、大腸癌細胞SW480の増殖能・遊走能におけるRho...
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消化器疾患における分子標的治療
- クローン病におけるCT enteroclysis/enterographyを用いた生物学的製剤の治療効果判定の試み
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橋本 真一(山口大大学院・消化器病態内科学)
【目的】近年infliximabやadalimumabといった生物学的製剤がクローン病治療に使用可能となり,クローン病患者のQOLは確実に向上した.一方で臨床的寛解の患者でも炎症の持続に伴う消化管合併症の進展により手術が必要となる場合も多く,粘膜治癒の重要性が議論されている.今後のクローン病診療において,臨床的寛解状態の患者における治療効果判定を的確に行い,消化管合併症の進展予防および手術回避が課...
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消化器疾患における分子標的治療
- 炎症性腸疾患患者における抗インフリキシマブ抗体の出現と治療効果・アダリムマブへの変更について
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今枝 広丞(滋賀医大・消化器内科)
【背景】抗TNF-α抗体であるインフリキシマブおよびアダリムマブは、炎症性腸疾患を劇的に改善することに成功したが、一方で特に長期投与患者において2次無効となる症例が一定の割合で存在する。2次無効の最も大きな原因として、近年、抗インフリキシマブ抗体が注目されるようになった。現在、インフリキシマブが2次無効となった場合、アダリムマブへの変更を考慮するのが一般的であるとされているが、インフリキシマブの増...
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消化器疾患における分子標的治療
- TGF-β/Smadシグナルをターゲットとする肝線維症に対する分子標的治療の試み
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稲垣 豊(東海大・再生医療科学)
【目的】これまで演者らは、TGF-βとその細胞内シグナル伝達物質Smad3による I 型コラーゲンα2鎖遺伝子(COL1A2)の転写促進機構を解明してきた(Gut 2007)。また、抗線維化作用を有するIFN-γの細胞内シグナル伝達物質としてYB-1を同定し、IFN-γ刺激により細胞質から核内へと移行したYB-1がSmad3に拮抗してCOL1A2転写を抑制すること(JBC 2004)、YB-1の過...
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消化器疾患における分子標的治療
- 肝線維化に対する血管新生因子VEGFおよびインスリンをターゲットとした分子標的治療
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吉治 仁志(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科)
【目的】肝線維化の進展には血管新生を含む複雑なネットワークが関与し、線維化から肝発癌へと至る一連の病態形成が考えられている。我々はこれまでに、インスリン抵抗性 (IR) が血管新生を介して肝線維化進展に重要な役割を果たしていることを報告してきた。血管新生因子VEGFに対する分子標的治療薬Sorafenibが我が国においても進行肝癌に対し認可されたが、同薬剤を肝線維化と発癌の抑制のために投与するには...
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消化器疾患における分子標的治療
- 進行肝細胞癌に対するソラフェニブの予後因子の解析
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河岡 友和(広島大大学院・分子病態制御内科学)
【目的】進行肝細胞癌(肝癌)に対するソラフェニブ治療症例の予後因子の解析を行った.【対象と方法】対象は、2010年12月までに、ソラフェニブを投与された進行肝癌52例。平均年齢65.2歳,Child A/B 46/6例,PS0/1/2/3:38/9/2/3例.Stage III/IVa/IVb :11/9/32例,主腫瘍径中央値48mm,単/多発:7/45,Vp0/1/2/3/4:31/1/6/7...
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- 血管新生関連サイトカインによるソラフェニブ効果予測
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宮原 孝治(岡山大大学院・消化器・肝臓内科学)
【背景】ソラフェニブは血管新生阻害作用を持つ分子標的治療薬であり,進行肝細胞癌に対する予後改善効果が証明されているが(Engl J Med 2008, 359: 378-90),その効果予測因子は明らかになっていない.【目的】血管新生関連サイトカインのソラフェニブの早期効果判定予測因子としての有用性を検討する.【方法】対象は,2009年7月から2010年10月の間に,当院および関連施設で肝細胞癌に...
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消化器疾患における分子標的治療
- 進行肝細胞癌に対するソラフェニブ治療-有害事象からみた治療継続因子の検討-
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高田 樹一(北里大東病院・消化器内科)
【目的】ソラフェニブは肝細胞癌治療において生存期間を延長させるが有害事象(以下AE)により治療継続困難となる症例も経験する。今回我々は継続加療の規定因子をAEの側面から検討した。【方法】対象は 2010年12月までにHCCに対しソラフェニブが導入された進行肝細胞癌症例50例。エンドポイントをAEによる治療中断とし継続加療に関する寄与因子について検討を行った。【成績】:男/女42/8例、 年齢69歳...
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消化器疾患における分子標的治療
- 肝細胞癌で高発現し抗アポトーシス作用するWilms’ tumor 1: 肝癌に対する治療標的の可能性
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上杉 和寛(愛媛大・3内科)
【背景・目的】Wilms’tumor 1 gene (WT1)は、Wilms腫瘍の癌抑制遺伝子として同定されたが、様々な腫瘍で発癌遺伝子として報告され治療標的とされている。演者らは、肝細胞癌でWT1が高発現し、肝細胞癌の発癌、腫瘍の増殖に関与する事を報告した。その機序を解明するため、複数のヒト肝細胞癌由来細胞株、ヒト肝癌組織を用いてWT1の肝癌での生理活性を検討した。また、WT1エピトープペプチド...
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消化器疾患における分子標的治療
- 胆嚢癌に対するmTOR とMAPKを標的とした治療法の検討
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毛利 大(東京大・消化器内科)
【目的】胆嚢癌は切除不能な状態で診断されることも多く、膵癌に準じた化学療法が行われるが、その予後は不良である。近年各種癌においてチロシンキナーゼ阻害薬を中心とした分子標的薬の臨床応用が進み、新たな臨床試験も進行していることに比べ胆嚢癌の分野は遅れているといわざるを得ない。今回我々は、mTOR経路及びMAPK経路を標的とした阻害剤の抗腫瘍効果について検討した。【方法】1995年11月から2007年6...
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消化器疾患における分子標的治療
- 膵発癌モデルマウスを用いたGemcitabineとErlotinibの効果・メカニズムの検討
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宮林 弘至(東京大・消化器内科)
【目的】ヒトの切除不能膵癌に対する化学療法の第一選択はGemcitabine (GEM)で、それを凌駕する治療法は確立されていない。GEMとEGFR阻害剤Erlotinibの併用療法はGEM単独と比較して生存期間の有意な延長が認められ、本邦でも実臨床に導入される予定である。一方、Kras変異が90%以上に存在する膵癌におけるErlotinibの効果の詳細は分かっていない。われわれは、ヒト膵癌のモデ...
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