- 司会の言葉
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緒方 晴彦(慶應義塾大学内視鏡センター)
近年,原因不明消化管出血だけではなく,クローン病を含む小腸疾患全てに保険適応を持つ機種が登場し,カプセル内視鏡の臨床応用範囲は非常に拡大した.クローン病に対する使用法,小腸疾患が疑われる病状に対して使用した場合の疾患やその頻度,小腸疾患の経過観察法などに新たなる知見が集積されてきている.また,カプセル内視鏡の応用範囲は大腸にまで拡大し,全消化管検査の可能性を探る段階に来ている.ここでは,カプセル...
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カプセル内視鏡の臨床応用,新たな展開
- Developments of capsule endoscopy in a clinical setting:To a new dimension
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Spada Cristiano(Digestive Endoscopy Unit, Catholic University, Italy)
Capsule endoscopy(CE)was introduced as a novel method for direct exploration of the mucosa of the small bowel(SB). Several studies have shown that it is a useful diagnostic modality for SB disorders s...
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カプセル内視鏡の臨床応用,新たな展開
- 原因不明の消化管出血患者における便潜血検査の意義に関する検討
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小林 由佳(東京大学・消化器内科)
【背景・目的】便潜血検査は大腸癌のスクリーニング検査として広く利用されている.一方,便潜血検査と小腸疾患の関連性についての報告は未だ少ない.今回我々は,カプセル内視鏡検査(capsule endoscopy:CE)を用いて,原因不明の消化管出血(obscure gastrointestinal bleeding:OGIB)症例における便潜血検査(fecal occult blood test:FO...
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カプセル内視鏡の臨床応用,新たな展開
- カプセル内視鏡(CE)の適応拡大によってもたらされた新たな知見
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光藤 章二(京都九条病院消化器内科)
適応拡大により小腸の出血性病変以外の症例でCEを施行する機会が増加した.【目的】適応拡大で得られた所見を検査目的別に検討した.【方法】2008年8月より2013年8月までにCE診断ネットワークに登録された528例のうち,適応拡大症例は142例(26.9%)であった.これら適応拡大症例の有所見率と所見内容を検討した.【成績】検査目的は極めて多彩で,有所見率は症例数の多い順に,1)小腸腫瘍の疑い19例...
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カプセル内視鏡の臨床応用,新たな展開
- カプセル内視鏡による小腸疾患診断の変遷と課題
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馬來 康太郎(日本医科大学消化器内科学)
【目的】カプセル内視鏡(CE)は,自主研究使用から2007年にOGIB診断目的,2012年には小腸疾患に対して保険適応となった.この間の小腸疾患の診断治療の変遷を解析し,課題を探ることが目的である.【方法】当院では2004年からCEを行い,2013年7月において臨床使用目的で施行したカプセル内視鏡検査は約750件である.自主研究期間(I期:124件),OGIB適応後小腸疾患保険適応まで(II期:5...
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カプセル内視鏡の臨床応用,新たな展開
- 医療過疎地域における読影ネットワークの運用とその効果
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金子 剛(筑波大学消化器内科)
【背景・目的】当院では2008年10月にカプセル内視鏡(CE)を導入し,県内の小腸疾患の診断に貢献してきた.しかしながら病院間の物理的距離や小腸疾患に対する関心の低さから,その潜在的ニーズにこたえきれていない現状があった.このため我々は患者を初診施設から当院に移動させるのではなく,CE検査に必要な機材を患者のもとへ移動させるという発想転換を基にCE読映ネットワーク(ICE Net)を構築した.本発...
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カプセル内視鏡の臨床応用,新たな展開
- PillCam?パテンシーカプセルによる消化管開通性評価に影響する因子の検討
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山村 健史(名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学)
【背景・目的】PillCam?パテンシーカプセル(PC)の臨床導入によってカプセル内視鏡(CE)を主とした小腸疾患診療に新たな展開が得られたが,PC開通性が得られない患者の特徴はまだわかっていない.本研究の目的は,PCの開通に関わる臨床的因子を調べ,PC非開通であった状態の患者の特徴をレトロスペクティブに検討することである.【対象・方法】対象は2013年8月までに小腸狭窄性病...
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カプセル内視鏡の臨床応用,新たな展開
- Patency capsuleの開通性評価向上に関するmosaprideの有効性の検討:前向きランダム化比較試験
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渡辺 憲治(大阪市立大学・消化器内科学)
【目的】欧米のAgile Patency Capsuleと異なり,本邦のPillCam Patency Capsule(PPC)の保険適応における消化管開通性評価は嚥下後30~33時間と限定的になっている.この判定条件において開通性有りと評価される確率は,現在進行中の国内多施設共同前向き大規模試験(J-POP Study)などを通じて明らかになっていくと思われるが,本来カプセル内視鏡(CE)が滞留...
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カプセル内視鏡の臨床応用,新たな展開
- カプセル内視鏡による寛解期クローン病の小腸病変評価の有用性
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渡邉 千之(県立広島病院消化器内科)
【背景】カプセル内視鏡(VCE)の登場により困難であった小腸病変のスクリーニングを簡便に行うことが可能となった.しかし,クローン病(CD)は滞留の危険性からVCEは禁忌であったが,PillCam?パテンシーカプセル(PC)による開存性が確認できた症例にVCEが認可され,CD小腸病変の簡便な評価が可能となった.【目的】CDで臨床寛解の指標であるCDAI値が寛解の症例も粘膜治癒に...
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カプセル内視鏡の臨床応用,新たな展開
- カプセル内視鏡による腸管型ベーチェット病の小腸病変の検討
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河内 修司(松山赤十字病院胃腸センター)
【目的】腸管型ベーチェット病(BD)の小腸病変の臨床的特徴をカプセル内視鏡(CE)施行例において明らかにすること.【方法】BD診断基準主要項目(再発性口腔内アフタ,皮膚症状,眼症状,外陰部潰瘍)の一項目以上を満たし,かつ回腸もしくは大腸に打ち抜き潰瘍を認める症例(腸管切除例含む)を腸管型BDと定義し,2009年3月から2013年9月までに当センターでCEを実施した15例を対象とした.男性7例,女性...
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カプセル内視鏡の臨床応用,新たな展開
- 消化管原発濾胞性リンパ腫の診断・経過観察におけるカプセル内視鏡の役割
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小林 聡(信州大学医学部消化器内科)
【目的】消化管原発濾胞性リンパ腫(Gastrointestinal Follicular Lymphoma:GIFL)は小腸に病変を認めることが多い.しかし診断・経過観察方法については一定の見解は得られていない.当科ではカプセル内視鏡(CE)を用いて診断・経過観察を行っており,この現状について報告する.【方法】当科で2007年11月から2013年7月の間にGIFLの検査目的に施行したCE 73件4...
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カプセル内視鏡の臨床応用,新たな展開
- 腸管原発濾胞性リンパ腫:“watch and wait”と治療効果判定におけるカプセル内視鏡の有用性
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田利 晶(広島赤十字・原爆病院総合内科)
【目的】腸管原発濾胞性リンパ腫(腸管FL)は高頻度に小腸に病変を有し,治療方針として“watch and wait”が有力な選択肢と考えられているが,定期的な経過観察を要する.小腸病変診断においてDBEと遜色がないことが報告されているカプセル内視鏡(VCE)の,腸管FLに対する“watch and wait”における小腸病変の評価と治療効果判定についてその有用性を検討した.【患者】診断確定後12ヶ...
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- 肝移植予定患者における小腸病変の評価に対するカプセル内視鏡の安全性と有効性の検討
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川野 誠司(岡山大学光学医療診療部)
【背景】カプセル内視鏡(VCE)の登場により比較的容易に小腸の検査が可能となり,肝硬変患者における小腸病変の報告も散見されるようになった.一方,移植を必要とするような重度の肝障害症例における小腸病変の検討は十分でなく,またこうした症例に対するVCEの安全性の検討も十分ではないのが現状である.そこで我々は肝移植を予定している患者に対してVCEを施行し,その安全性と移植前検査としての有効性について評価...
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- 腸管寄生虫感染症診療におけるカプセル内視鏡検査の位置づけ
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半田 修(京都府立医科大学消化器内科)
【背景】本学は開学当初から日本における様々な寄生虫疾患の発見やその撲滅の歴史と深い関わりを持ちながら歩んできた.衛生環境が改善されたとはいえ,日常診療において腸管寄生虫感染症に遭遇する機会も稀ではなく,その臨床的重要性は依然として存在する.カプセル内視鏡(CE)は小腸疾患の診断に有用であるが,腸管寄生虫診療におけるCEの重要性は不明である.【目的】本検討の目的は,腸管寄生虫感染症のなかでも比較的多...
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- 機能性胃腸障害患者における小腸カプセル内視鏡検査所見の検討
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前田 光徳(獨協医科大学病院日光医療センター)
【目的】腹痛,下痢などの便通異常を訴える患者で,上部消化管内視鏡検査(EGD)と下部消化管内視鏡検査(CS),CTなどの検査で明らかな所見がない場合,機能性胃腸障害と診断されることが多い.この様な患者に対して,カプセル内視鏡検査(CE)を行い,小腸病変の有無と小腸通過時間について検討した.【対象と方法】2003年2月から2013年10月までに腹痛,下痢などの便通異常を認め,EGD,CSにて明らかな...
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- 潰瘍性大腸炎患者に対する大腸カプセル内視鏡の前処置法:クエン酸モサプリドの効果
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細江 直樹(慶應義塾大学内視鏡センター)
【目的】我々は,潰瘍性大腸炎(UC)患者に対し,大腸カプセル内視鏡の内服量を減量した前処置法を用い,その病勢評価の実現可能性を報告してきた.今回,前処置法のさらなる検討のため潰瘍性大腸炎患者に対する前処置法追加の試験を行った.【方法】本試験は,北里研究所病院,慶應義塾大学との共同研究で行った.診断済みUC患者30例を組み入れ,表1の方法で大腸カプセル内視鏡を行った.我々の過去の検討では,大腸カプセ...
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カプセル内視鏡の臨床応用,新たな展開
- 自走式カプセル内視鏡の新たな展開:PillCam?SB2とPillCam?ESO2の観察能の比較
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太田 和寛(大阪医科大学第2内科)
カプセル内視鏡は消化管の蠕動で進むため,チューブ式内視鏡と異なり,病変部を検者がリアルタイムに任意の方向から観察することはできない.この欠点を克服するため,当科では龍谷大学理工学部機械システム工学科と共同で,磁場を利用して駆動制御する自走式CE(Self-propelling capsule endoscope:以下SPCE)の開発・研究を行っている.これまで,ヒトの消化管内でSPCEの自走を行い...
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カプセル内視鏡の臨床応用,新たな展開
- イノベーションが拓くカプセル内視鏡の未来:診断から治療へのパラダイムシフト
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太田 英敏(札幌整形循環器病院消化器内科)
背景:カプセル内視鏡(CE)は侵襲が少なく,被験者が受け入れやすい検査法であるが,操作できないため,広い胃,屈曲の強い大腸では見落としのリスク,検査時間,コスト等から全消化管スクリーニング法としては認知されなかった.しかし,体外磁場を用いた制御,可変撮影などの新技術はこれらの課題を克服し,全消化管スクリーニング代替技術の一つとして認知される時代に入った.一方,ネット,ロボット技術のイノベーションは...
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