セッション

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司会の言葉
 
 消化器領域における幹細胞研究の進歩には目覚ましいものがある.消化管領域では新たに腸幹細胞の同定,分離,培養技術の確立,その移植利用の基盤研究が国内から発信され世界をリードしている.一方肝臓領域では,骨髄由来細胞を用いた再生修復療法の臨床研究も進んでいる.また癌領域では癌幹細胞のコンセプトを基に,癌の転移,再発のメカニズムを解明すべく新たな研究が進んできた.本シンポジウムでは,最先端の消化器領域(...

第99回日本消化器病学会総会消化器領域における幹細胞研究の進歩

Paneth細胞による腸管上皮幹細胞制御機構
佐藤 俊朗(慶應義塾大学医学部消化器内科)
 腸管上皮は絨毛と陰窩から構成され,幹細胞ヒエラルキーが組織構造と一致している.幹細胞は陰窩底部に存在し,幹細胞の自己複製と全ての腸管上皮分化細胞を産生している.我々は,腸管上皮幹細胞を単離し,in vitroにおいて幹細胞機能を維持し,絨毛―陰窩を擬似化した組織構造体(オルガノイド)を再構成することに成功した.オルガノイドは非上皮細胞を必要とせず,腸管上皮幹細胞とWnt/R-spondin,EG...

第99回日本消化器病学会総会消化器領域における幹細胞研究の進歩

腸幹細胞ニッシェにおけるLgr5シグナル伝達経路の役割
大谷 顕史(国家公務員共済組合連合会新小倉病院消化器科)
絶え間ない腸粘膜再生を担う腸幹細胞(ISC)システムは,血球系幹細胞や毛包系幹細胞と同様に,複数の幹細胞グループにより巧妙に構築されていることが我々の報告を含め最近明らかにされてきた.Lgr5は活動期,Bmi1は休止期にあるISCに発現している.G蛋白共役型受容体であるLgr5はWnt受容体と会合してR-spondinシグナル伝達を仲介するが,その生体における働きは現在まで不明である.我々はISC...

第99回日本消化器病学会総会消化器領域における幹細胞研究の進歩

pSmad2/3L-Thrの消化管幹細胞マーカーとしての検討とその応用
高橋 悠(関西医科大学消化器肝臓内科)
【目的】Smad2/3蛋白はTGF-β受容体でC末端のSer残基がリン酸化され,ERK,JNK等MAPキナーゼやCDK4にてlinker部がリン酸化される.抗pSmad2/3L-Thr抗体にて認識されるリン酸化Smad2/3蛋白のリン酸化部位Thr220/Thr179はCDK4にてリン酸化され,細胞増殖に関わる.pSmad2/3L-Thr陽性細胞(以下陽...

第99回日本消化器病学会総会消化器領域における幹細胞研究の進歩

正常腸管および腸腫瘍におけるDclk1/Lgr5陽性細胞の役割
中西 祐貴(京都大学消化器内科)
[目的]Dclk1は「+4 position幹細胞」のマーカーとして当初報告された.しかし最近,Dclk1は分化した細胞(Tuft細胞)のマーカーであるとも報告され,Dclk1の幹細胞マーカーとしての役割については議論が分かれている.また,ヒト大腸癌やマウス腸腫瘍においてDclk1陽性細胞の存在が確認されているが,腫瘍内での役割についてはほとんど解明されていない.今回我々は,正常腸管および腸腫瘍に...

第99回日本消化器病学会総会消化器領域における幹細胞研究の進歩

small GTPase Cdc42は腸管幹細胞の恒常性に必須であり,腫瘍形成を促進する
阪森 亮太郎(大阪大学消化器内科学)
【目的】腸管上皮細胞はcryptに存在する自己複製と多分化能を有する幹細胞(ISC)により持続的に再生・補充される.近年Lgr5+ISCの細胞系譜追跡により単一の幹細胞のクローンがcryptの恒常性を保つことが報告され,またPaneth細胞が腸管上皮幹細胞のnicheを構成することが明らかとなるなど,腸管上皮幹細胞研究は飛躍的に進んでいる.今回我々はsmall GTPaseであるCdc42が腸管上...

第99回日本消化器病学会総会消化器領域における幹細胞研究の進歩

ラット大腸発癌モデルにおける外因性骨髄間葉系幹細胞の時相的影響について
勝野 貴之(大阪市立大学消化器内科学)
【目的】自己複製能や多分化能を有する骨髄由来間葉系幹細胞(BM-MSC)は,自身の悪性転化,腫瘍の増大・転移への関与が報告されている一方,腫瘍抑制作用の報告もある.しかし,腫瘍発生時期前後におけるBM-MSCの外因性投与による影響については不明である.【方法】既報に従い,F344ラット(7週齢雌)に対し第1週目に1-2 dimethylhydrazine(40mg/kg)を3度皮下投与し,第2週目...

第99回日本消化器病学会総会消化器領域における幹細胞研究の進歩

培養大腸上皮細胞による消化管再生へのアプローチ
中村 哲也(東京医科歯科大学消化管先端治療学)
体外培養技術を用いた腸管上皮再生医療研究に期待が集まっている.我々はこれまでに,マウス正常大腸上皮細胞の体外培養を可能とする新しい技術を開発し報告した(TMDUプロトコール).この方法では,正常な大腸上皮細胞が非上皮細胞なしに,無血清培地で,3次元的に,継代操作を経て,長期にわたり培養することが可能となった.また,ここに得られる培養細胞を用いた移植実験の結果,体外培養を経た大腸上皮細胞が,傷害部位...

第99回日本消化器病学会総会消化器領域における幹細胞研究の進歩

自己脂肪組織由来間葉系前駆細胞を用いた組織再生医療の臨床応用―消化器外科領域における展開と現状―
水島 恒和(大阪大学消化器外科)
近年,幹細胞を用いた組織再生医療に対する期待が高まりつつあり,種々の疾患において臨床応用に向けての試みが行われている.脂肪由来幹細胞(Adipose Derived Stem Cells;ADSC)は多能性に加えて,抗炎症作用や血管新生作用を有することも報告されており,再生医療における有力な候補の一つである.われわれは,消化器外科領域における自己脂肪組織由来間葉系前駆細胞を用いた組織再生医療の臨床...

第99回日本消化器病学会総会消化器領域における幹細胞研究の進歩

肝前駆細胞分化におけるMETおよびEGFRの役割
北出 光輝(奈良県立医科大学第3内科)
【目的】肝前駆細胞(HPC)の活性化や分化誘導にHepatocyte Growth Factor(HGF)-MET,およびEpithelial Growth Factor(EGF)-EGFRのシグナル伝達が重要な役割を果たしていることが報告されている.しかし,HPC分化における各シグナルの役割は未だ明らかにされていない.今回我々は,conditional knockout modelを用いて各増殖...

第99回日本消化器病学会総会消化器領域における幹細胞研究の進歩

肝組織幹細胞および肝癌幹細胞における表面マーカーCD133の意義
末次 淳(岐阜大学医学部消化器病態学)
組織・器官には,自己複製能と増殖能力を保持している幹細胞が存在しており,増殖・分化することにより組織機能・形態が維持されている.組織・器官を構成する細胞は組織幹細胞,前駆細胞,成熟細胞に分化し,肝臓においても幹細胞システムが存在している.我々は,骨髄のみをGFP細胞に置換したC57/BL6マウスにヘム蛋白合成阻害剤である3,5-diethoxycarbonyl-1,4-dihydrocollidi...

第99回日本消化器病学会総会消化器領域における幹細胞研究の進歩

EpCAM陽性肝細胞癌幹細胞維持機構におけるクロマチンリモデリング蛋白CHD4の役割
山下 太郎(金沢大学附属病院消化器内科)
【目的】近年肝細胞癌において幹細胞性を有する癌幹細胞(CSC)が同定され,治療標的として重要視されている.我々はEpCAMが肝CSCマーカーであり,AFP陽性肝癌の門脈浸潤や抗癌剤耐性,予後不良に関わることを報告してきた.本研究ではEpCAM+CSCにおける活性化シグナル伝達経路を解析,CSCを標的とする治療法の確立を試みた.【方法】388例の肝細胞癌外科切除標本を用いてマイクロアレイ解析および免...

第99回日本消化器病学会総会消化器領域における幹細胞研究の進歩

食道がん幹細胞におけるTGF-β/Notchシグナルを標的とした新規治療法の創出
夏井坂 光輝(北海道大学消化器内科学)
 癌幹細胞の存在が多くの固形癌においても報告され,癌幹細胞が再発,転移,治療抵抗性に深く関与していることが明らかとなってきた.また,上皮間葉移行(EMT)をした間葉系癌細胞が癌幹細胞である可能性を示唆する結果が多く報告されている.現在では多くの癌において癌幹細胞の同定および癌幹細胞を標的とした治療法の開発がすすめられているが,食道扁平上皮癌を用いた研究は極めて少ない.
 我々はCD44 第99回日本消化器病学会総会消化器領域における幹細胞研究の進歩

CD274(-)細胞分画は胆管癌細胞株においてがん幹細胞様の性質を有する
玉井 恵一(宮城県立がんセンター研究所がん先進治療開発研究部)
【目的】がん組織はヘテロな細胞集団から構成されており,一部の悪性細胞が「がん幹細胞」として造腫瘍性を持つことも多い.がん幹細胞は治療抵抗性を示すことから,難治性がんのの治療標的として注目されている.実際に,胆管癌におけるがん幹細胞は不明な点が多い.我々は胆管がん幹細胞に関連する新規マーカーを探索した.【方法】胆管癌細胞株RBEを用いて,これまで大腸がん等で確立されているがん幹細胞マーカー(CD1...

第99回日本消化器病学会総会消化器領域における幹細胞研究の進歩

癌幹細胞の治療抵抗性獲得と解除におけるepigenetic修飾の関与
森根 裕二(徳島大学外科)
【はじめに】癌治療抵抗性に癌幹細胞の役割が注目され,我々も癌幹細胞マーカーCD133・CD44発現の意義(J Gastroenterol. 2010)とともにHistone acetylationによる制御の可能性について報告してきた(Surgery 2012).今回,癌幹細胞におけるmethylation statusの変化について新たな知見を得たので報告する.【検討】検討1.Histone a...

第99回日本消化器病学会総会消化器領域における幹細胞研究の進歩

新しい培養技術による癌幹細胞を標的としたオーダーメード治療の可能性
林 義人(大阪大学消化器内科)
近年,固形腫瘍においても癌細胞の幹細胞的性質の重要性が注目されている.幹細胞性は,高い腫瘍形成性,化学療法抵抗性と関連しており,癌の転移・再発過程において重要な働きをしていると考えられている.そのため,癌細胞の幹細胞性維持に関わる分子を同定し,それに対する分子標的治療を行うことは,癌の根治を目指した抗癌治療に必須と考えられる.我々は,ヒト大腸癌由来培養細胞株を,無血清培地で浮遊培養してsphero...

第99回日本消化器病学会総会消化器領域における幹細胞研究の進歩

培養骨髄由来細胞を用いた肝硬変症に対する修復療法の開発へのProof of Concept
寺井 崇二(山口大学大学院医学系研究科消化器病態内科学)
【目的】我々は現在までに,肝硬変症に対する自己骨髄細胞投与療法を臨床開発し,その安全性と有効性を検証してきた.さらに低侵襲の培養骨髄由来細胞を用いた肝硬変症治療を開発するため,前臨床研究でのProof of Conceptを確立する.【方法】(1)ヒト骨髄単核球細胞を2継代・約20日間通常培養することで間葉系細胞を増幅する.この培養細胞をNOD/SCID四塩化炭素投与肝硬変症モデルマウスに投与し,...

第99回日本消化器病学会総会消化器領域における幹細胞研究の進歩