セッション

検索結果は18件です。

司会の言葉
橋本 悦子(東京女子医科大学消化器内科)
 1989年Kaplanにより紹介されたDeadly quartet(死の四重奏)は生活習慣病という網羅的な概念として日本の診療現場に登場して以降,消化器領域でも病因・病態的意義への関心が徐々に浸透してその基礎・臨床の双方における学究的取り組みが進められている.すでに消化管・肝胆膵の各分野において,その病態生理と肥満・糖尿病・脂質異常症・高血圧と関わりについてハイレベルな基礎的・臨床的研究成果が紹...

第100回日本消化器病学会総会生活習慣病と消化器疾患・病態生理学の新たな展開

生活習慣病と逆流性食道炎の相関についての経時的検討
守屋 昭男(三豊総合病院消化器科)
【目的】生活習慣病と消化器疾患の関連が指摘されているが,多くのエビデンスは横断研究に基づいたものである.今回われわれは特に胃食道逆流症(GERD)と生活習慣病との関連について経時的に検討した.【方法】当院人間ドック受診者のうち,2008年と2011年の両方で上部消化管内視鏡検査を受けた686名(男性408名,女性278名,年齢中央値53歳)を対象とした.2008年の時点でGERD治療中の受診者は除...

第100回日本消化器病学会総会生活習慣病と消化器疾患・病態生理学の新たな展開

脂質代謝に関与するアポリポプロテインEの動態変化に伴う胃運動及び胃壁内神経叢への影響
福原 誠一郎(慶應義塾大学医学部内科学教室(消化器))
【目的】糖尿病性胃不全麻痺は,糖尿病の発症から10年以上経過した患者の一部で発症する.病因として,消化管平滑筋の弛緩に関与する一酸化窒素を産生するneuronal nitric oxide synthase(nNOS)の減少が示唆されている.一方,脂質異常症は糖尿病性神経障害のリスク因子として挙げられている.脂質代謝に関与するアポリポプロテインE(apoE)は,中枢神経系ではグリア細...

第100回日本消化器病学会総会生活習慣病と消化器疾患・病態生理学の新たな展開

TGR5 agonist/DPPIV阻害剤の腸炎抑制効果
坂中 太輔(大阪医科大学第二内科)
【目的】胆汁酸がリガンドとして作用するTGR5の活性化は腸内分泌L細胞からGLP-1分泌を促進させることから,糖・脂質代謝異常に対する新たなアプローチとして注目されている.一方でL細胞はintestinotrophic effectを有するGLP-2も分泌し,DPPIVにより不活性化される.しかし消化管粘膜傷害への効果は不明であることから,今回我々はTGR5 agonistとDPPIV阻害剤の腸炎...

第100回日本消化器病学会総会生活習慣病と消化器疾患・病態生理学の新たな展開

全大腸内視鏡検査で10年以上観察症例での,生活習慣病と大腸癌との関連について
三谷 圭二(自衛隊中央病院消化器内科)
【目的】生活習慣病,特に高血糖は大腸癌の危険因子と考えられているが,疫学データや5年未満のS状結腸内視鏡検査を用いた研究による.今回,全大腸内視鏡検査(total colonoscopy;TCS)で10年以上経過観察し得た症例をもとに,大腸癌発生と生活習慣病関連検査値との関係を後ろ向きコホート研究で検討した.
【方法】1985年~2004年に初回TCSを実施し,10年以上TCSで経過観察出来...

第100回日本消化器病学会総会生活習慣病と消化器疾患・病態生理学の新たな展開

大腸CT検査(CTコロノグラフィー),内臓脂肪面積測定,アディポカイン測定による大腸腫瘍の評価
松本 啓志(川崎医科大学消化管内科学)
【背景】近年Multi detector-row CT(MDCT)用いた大腸CT検査(CTコロノグラフィー)の有用性が報告され,さまざまな臨床応用が試みられている.大腸CT検査は得られたCT画像を用いて大腸腫瘍の診断のみならず,腸管外病変の検出や皮下・内臓脂肪面積の測定も可能である.また近年,大腸腫瘍は内臓型肥満との関連性が指摘されている.【目的】大腸CT検査による大腸腫瘍の診断を行うとともに,肥...

第100回日本消化器病学会総会生活習慣病と消化器疾患・病態生理学の新たな展開

大腸ポリープ患者における大腸組織内脂肪蓄積―メタボリック・シンドロームとの関連性
和田 世里子(兵庫県立西宮病院消化器内科)
背景:メタボリック・シンドローム(MS)と肝,骨格筋,心筋における異所性脂肪蓄積との関連は知られているが,大腸における脂肪蓄積の報告はない.一方,インスリン(Ins)抵抗性やアディポネクチン(ADN)等MS関連因子が大腸腺腫や大腸癌発生の独立した危険因子であることが示唆されている.
目的:大腸ポリープ患者の大腸組織内に異所性脂肪蓄積があることおよび大腸組織内脂肪蓄...

第100回日本消化器病学会総会生活習慣病と消化器疾患・病態生理学の新たな展開

全国調査からみた急性膵炎における生活習慣病
菊田 和宏(東北大学消化器病態学)
【目的】急性膵炎(AP)は患者背景の違いにより予後が異なることが知られるが,その病態における生活習慣病の関与については未だ不明な点が多い.今回,全国調査のデータに基づいて疫学的検討を行った.
【方法】2007年1年間に受療した患者を対象に行われた厚生労働省難治性膵疾患に関する調査研究班の急性膵炎,重症急性膵炎の全国調査で集積されたAP症例2256例を対象とした.年齢,性別,Body mass...

第100回日本消化器病学会総会生活習慣病と消化器疾患・病態生理学の新たな展開

肥満,糖尿病関連遺伝子多型と膵癌についての多施設共同研究
来間 佐和子(東京都立駒込病院消化器内科)
【目的】肥満,2型糖尿病と膵癌の疫学的関連は知られているが,その関連を説明する遺伝要因や遺伝要因と生活習慣の交互作用については明らかでない.多施設共同症例対照研究により,肥満と関連が強いFTO遺伝子や,2型糖尿病関連遺伝子の多型と膵癌リスクの関連を検討した.【方法】2010年1月から2012年5月まで5施設で診断された膵癌360例を症例,参加施設において収集した悪性腫瘍以外の400例を対照とした....

第100回日本消化器病学会総会生活習慣病と消化器疾患・病態生理学の新たな展開

生活習慣病に注目した膵癌高危険群の囲い込み
深澤 光晴(山梨大学第一内科)
【目的】地域の検診施設と大学病院の共同研究により,生活習慣病と膵癌の関連について解析し,高危険群の囲い込みを試みた.【方法】2001-2011年に両施設で診療した膵癌305例中,過去の検診所見が得られた163例(P群)を対象とし,非膵癌検診受診者から年齢性を一致させランダムに抽出した1630例をコントロール(C群)とした.検討1:膵癌発見の前年のデータをコントロール群と比較し,膵癌の発癌危険因子を...

第100回日本消化器病学会総会生活習慣病と消化器疾患・病態生理学の新たな展開

脂質異常症と胆石症病態~コレステロール吸収阻害による代謝変動からみた診療のあり方~
岸川 暢介(広島大学病院総合内科・総合診療科)
【背景と目的】脂質異常症は胆石形成のリスクファクターとされる.2型糖尿病ではNPC1L1を介する腸管コレステロール吸収亢進が胆汁脂質過剰排泄を惹起する.本研究では脂質異常症を有する胆石症患者にNPC1L1選択的阻害剤Ezetimibe投与して脂質代謝動態の変動を評価し胆石症への治療的意義を検討するとともに,その機序を肝胆道系NPC1L1発現とその動態から探索した.【方法】1.臨床的検討:本研究の趣...

第100回日本消化器病学会総会生活習慣病と消化器疾患・病態生理学の新たな展開

抗糖尿病薬Metforminよる消化器系癌細胞増殖の抑制機構―MetforminのターゲットmicroRNAの同定
加藤 清仁(香川大学医学部消化器神経内科)
【目的】近年,糖尿病と癌罹患リスクとの関連が注目されているが,抗糖尿病薬であるMetforminは,疫学的研究,前臨床試験,臨床試験において抗腫瘍効果を持つことが報告されている.今回,我々は,Metforminの消化器癌に対する抗癌作用を培養細胞株,実験モデル動物を用いて検討した.【方法】1.in vitroの系:各々の消化器癌細胞株を用いてMetformin投与による細胞増殖をcell prol...

第100回日本消化器病学会総会生活習慣病と消化器疾患・病態生理学の新たな展開

飽和脂肪酸による肝細胞アポトーシス~IAP蛋白が果たす役割~
赤澤 祐子(長崎大学病院消化器内科)
【目的】NASHではインスリン抵抗性の上昇に伴い,脂肪組織から過剰に放出された血清遊離脂肪酸により肝細胞アポトーシスが誘導される.我々は飽和脂肪酸がDeath Receptor 5(DR5)を介し肝細胞死を誘導することを報告した.Cellular inhibitor of apoptosis(IAP)-1,-2はDR5による細胞死を抑制することが知られている.しかしIAP蛋白が脂肪酸による肝細胞死...

第100回日本消化器病学会総会生活習慣病と消化器疾患・病態生理学の新たな展開

喫煙による肝細胞オートファジー抑制を介した脂質代謝障害
山科 俊平(順天堂大学医学部消化器内科)
[目的]喫煙は生活習慣病の原因の一つであり,慢性肝炎において生活習慣病の合併は肝障害増悪因子として重要である.また喫煙者では非喫煙者と比べ有意に肥満の割合が少ない一方で,BMIが同程度の場合には非喫煙者と比べ内臓脂肪沈着が多いことが報告されている.我々はニコチンが細胞内蛋白分解機構の一つであるオートファジー誘導を抑制することを報告してきた.オートファジーは脂肪滴代謝にも関与することから肝細胞内脂肪...

第100回日本消化器病学会総会生活習慣病と消化器疾患・病態生理学の新たな展開

微量エンドトキシンは肝MTTP抑制による脂質排泄障害を介して脂肪肝炎病態進展に関与する
今城 健人(横浜市立大学医学部附属病院消化器内科)
【目的】腸管由来エンドトキシン(ET)は非アルコール性脂肪肝炎(NASH)病態進展に関わるとされる.我々はこれまで脂肪肝における炎症の惹起には脂肪細胞より分泌されるレプチンがクッパー細胞におけるCD14発現を亢進することにより腸管由来ETへの過剰応答が関与することを報告した.さらに脂質代謝の分野においてヒトNASHでは肝における脂質排泄のkey factorであるMTTPが低下していることを報告し...

第100回日本消化器病学会総会生活習慣病と消化器疾患・病態生理学の新たな展開

p62,Nrf2遺伝子二重欠損マウスにおける腸肝相関よりみたNASH発症機序の解明
蕨 栄治(筑波大学医学医療系医療科学)
【目的】我々の作製したp62遺伝子ならびにNrf2遺伝子の二重欠損(double knockout;DKO)マウスは,通常食餌による飼育下で約10週齢以降に過食による肥満と単純性脂肪肝を呈し,約25週齢以降にNASHを発症,50週齢以降の約10%の個体に腫瘍が出現する.本マウスについて,クッパー細胞の貪食能,糞便中LPS,腸管透過性の解析を行い,肝,腸管,内臓脂肪の病理形態と比較することより,NA...

第100回日本消化器病学会総会生活習慣病と消化器疾患・病態生理学の新たな展開

Duodenal-jejunal bypassはmicrobiotaの変化・GLP-1分泌の亢進を介して糖尿病・NASHを改善する
柏原 秀也(徳島大学消化器・移植外科学)
【背景】これまでにSD ratを用いてDuodenal-Jejunal bypass(DJB)の糖尿病改善効果は回腸の胆汁酸吸収増加がL細胞を増加させGLP-1分泌を上昇させることによると発表してきた.近年ではGLP-1がNASH改善効果を有するとの報告や腸内細菌叢microbiotaがGLP-1分泌,NASH改善に寄与しているとの報告がある.今回DJBがmicrobiotaを変化させ,胆汁酸吸収...

第100回日本消化器病学会総会生活習慣病と消化器疾患・病態生理学の新たな展開

メダカモデルを用いた概日リズムの変化による非アルコール性脂肪肝炎の誘導に与える影響の解析
寺井 崇二(山口大学大学院医学系研究科消化器病態内科学)
【目的】我々はメダカNASHモデルを開発し解析してきた(DMM2010).メダカなどの小型魚類は,概日リズムの光同調が知られており,光刺激により体内時計を容易に変調させることが可能である.そこで本研究ではメダカNASHモデルを使って,概日リズムの変化とNASHの誘導との関係を解析した.【方法】メダカは2-3カ月齢のcabメダカを使用し,12時間周期の明暗サイクルで飼育した.さらに午前3時から4時の...

第100回日本消化器病学会総会生活習慣病と消化器疾患・病態生理学の新たな展開